閑話 ある日の狩りにて
私は今、森の中で獲物を探している最中だ。
それは今のところ、ひたすらそこら辺を歩き回るという、とてもシンプルでとても非効率的な方法である。ロディニアと二手に分かれているから一人よりははいいはず。風魔法で飛ぶこともできるが、魔力が多分すぐ無くなるし、運動にもなるかと思ったので歩いている。
ちなみに魔力の量がどれくらいだかはいまだに知らない。いつか魔力がどれくらいあるのか、分かる人がいるなら誰か教えてほしいものである。
そして獲物を見つけたらひたすら狩る。
それは、突然現れた。
私がいつも通り狩りをしていたときの事だ。
近くからガサガサッと音がしたのでその方向に向かうと、なんだかプルルンっと効果音がつきそうな、いかにもな透き通った水色のスライムらしき何かが現れた。なぜか顔が少しかわいい。
スライムってなんか、何でも食べるイメージがあるなぁ。
これは危険ではないのだろうかと思い、リルに尋ねると、
「全然危険じゃないし、そんな能力ないからだいじょぶだよ〜。水の妖精が少しの遊び心で水を固めて、いろいろいじくったらこんなのができちゃっただけだから〜」
という返事が返ってきた。
いろいろいじくったってところを聞きたいけれど聞いてはいけない気がする。
とりあえず人畜無害の、そこら辺飛び跳ねてるやつというイメージでいいのね?
なら、少し触ってみていいかな。
恐る恐る私が手を伸ばしても、スライムは逃げなかった。
少し触れると、プニプニしてるけどプルプルもしているような不思議な感覚が伝わってきた。
新感覚!癖になりそうだ。
私がしばらくプニプニプルプルしていてもスライムはされるがままで大人しい。
あっ、そうだ。
プルンッと中に何か入らないのだろうか。
宝石とか入れたら綺麗だな〜と想像を膨らませていると、ちょうど小さい綺麗な石を持っていた事を思い出した。
石を何個か取り出してスライムの体に少し押し付けてみると、予想通りプルンッと中に入った。
水の中を漂うように石は動くと、スライムの頭らへんに落ち着いた。
へぇースライムって中は水?面白いなぁ。
というか石が上手く連なって飾りみたいになっている。
リルが躊躇いがちに声をかけてくる。
「す、鈴?スライムでこんなことしてるひと見たことも聞いたこともないんだけど〜?」
リルに言われてはたと気づく。
ある意味動物実験っぽいことをしている?
スライムくんごめんよぉ〜!
と思いながら森に返した。
プルンプルン跳ねてどこかへ行ったけど、頭の飾りみたいな石は取れなかった。
その日は反省して、少し落ち込んでもいたのでいつもより獲物は少なかった。
お読みいただきありがとうございました。
面白いと思って頂けたら評価など、よろしくお願いします。




