少し、相談にのってみる。②
「サリアの悩みの解決のために、最初にすることは…
自分で考えて動くこと、かな」
「自分で考える…」
「そうだよ。簡単にいえば、自分で自分のやりたいことをやるってことだよ。サリアの今のやりたいことは何?」
「エルラさんに頼りきりにならないことです」
そこの意思ははっきりしているらしい。
「じゃあ、いきなりそこにたどり着くのは難しいと思うから、まずはそうするためにどうすればいいか、手順を考えよう。そうすればやることが明確になるから」
「難しい感じがしますが、がんばります」
「あ、いたっ!すーずー!」
突然明るい元気な声が響く。
リルが来たようだ。
「はあ、はあ、もう、見つけるの、苦労したんだからね」
息を切らしながら話すリルの様子から、相当苦労して探し回ったことが分かる。
「どうしたの?」
リルは呼吸を整えながら答える。
「ちょっと話したいことがあったんだけど、後でも大丈夫だよ~。すずは何話してたの?」
「サリアの相談を受けていたの。話してもいいかな?
「はい。聞かれて困ることでもないのでどうぞ」
「えっとね…」
リルに内容を伝えると、少し考えてから、なら、とリルが口を開いた。
「普通にエルラに話しちゃえば~?」
「あっ、確かに」
それは思いつかなかったな。
案外簡単なことだったのかもしれない。
「どうかな?」
「ですが迷惑に…」
サリアに提案すると、サリアは口ごもった。
エルラに迷惑をかけないように、自分で何とかしようとしていたってとこかな。それかエルラは協力してくれないと思っている。でも私のイメージでは、エルラは逆に、喜んで手伝ってくれそうだけどな。
「言ってみないとわからないじゃない。そうやって迷って、行動しないと今までと同じだよ。変わりたいんでしょ?」
「その通りですね。やってみないことには結果はわかりません。勇気を出して頑張ります!」
「その意気だよ!早速レッツゴー!」
「「れっつご~」」
***
「あっ、エルラいたよ。いってきて」
「ハイ。ガンバリマス。」
ガチガチに緊張してしまっているようだ。
「あんまり固くなりすぎないでね~」
サリアはエルラのところへ向かった。
私はリルと二人で、物陰から様子を窺う。
「あの、エルラさん」
「あれっ、どうしたの?珍しいね、サリアが自分から話しかけに来るなんて。何かあった?」
「えっと……..私、エルラさんにずっと頼りきりではいけないと思って、自分で考えて行動したいと思ったんです」
「そうだね」
エルラは、いつもと違う、静かな声で言った。
少し寂しそうな顔をしているように見えた。
「あっ、でも、エルラさんが嫌いとか、嫌になったとかではもちろんないです。好きなんですけど…」
焦って早口になってしまっている。
がんばれサリア!
「うん。分かってるよ。いつかは自立しようとすることは、ずっと前から分かってたんだよ。でも、いつも私を頼ってくれて、一緒に行動していたから、妹みたいに思っていて少し寂しいかな」
「エルラさん…」
「話してくれてありがとう。じゃあ、これから自分で考えることを意識してみよ! 私もできるだけ手伝うからね!」
エルラは、しんみりとした空気を振り払うように、いつもの元気な声と口調に戻した。
「ありがとうございます。これからもよろしくおねがいします」
たぶん、サリアはもともと行動力があったけど、きっかけが掴めなかったんだと思う。
ちょっとでも助けられてたらいいな。
お読みいただきありがとうございます。




