世代の勇者「ライシ」
来ると思ってた。
無駄話はいらない…もう見たからな。
"俺"が産まれる少し前。"俺"が産まれた。
「意味不明だろ?でも本当の事だ。」
歩く前に身体は歩いてて、喋る前に喋ってる。
そんな事が当たり前の日常。
だから"俺"は、"俺"を見失った。
先に言う"俺"と、同じ事を言う"俺"。
歩いた場所を、歩く"俺"
今日もまた…同じ事を繰り返す。
それはきっと退屈で…きっと………
「…はぁ……その答えは何回も聞いた。この言葉も…この挙動も…このセリフも見た……」
…"俺"は一体……誰なんだろう……
「ライシ」
スキル[三人称未来]
これが全ての始まりだ。
未来の出来事を三人称視点で見ることの出来る力。
未来が見えるのは凄い事…とか……考える奴はど三流。実際は扱える事の出来ない爆弾だ。
しかも… "俺"のスキルは常時発動…そして…未来の"俺"も未来を見てる。
例えば……そうだな…
1
道を歩く→穴にハマる→怪我をする。
※未来を見た未来の"俺"の見た未来
2
未来を見る→道を歩く→穴を避ける→怪我回避
※未来を見た未来の"俺"
3
未来を見る→道を歩く→穴を避ける→怪我回避
※未来を見た"俺"
って感じだ。分かりやすいだろ?…?2と3が同じ?…知ってる…だからこそ… "俺"は"俺"を見失ったんだ。
2を行うと… "俺"は同じ事しか出来ない…つまり"俺"の人生は、未来を見た未来の"俺"の奴隷って訳だ。…分かるだろ?…まぁ…
「分からなくても…別に良いけどよ……」
結局…スキルを扱うには力が必要だった。
何回も……助けを求めた。でも…
見たくも無い未来が、"俺"を縛り上げる。
…
一人で強くなるしかない。
笑えるだろ?…"俺"って言葉で強がって…拒絶から逃げた。
…はぁ。実際…めちゃくちゃ怖ぇよ。
周りのみんなは一人で生きてる。
"俺"は……
____________________________
「…ダセェな…これが魔神か?」
「…あ?」
一人だった時。一人じゃなくなった。
「…で?これ以上やったら…お前死ぬぞ?」
「…うるせぇよ… "俺"には力しか… 自我を保つ方法がないんだ!だから!!力に負けるわけにはいかねぇんだよ!!!」
「…クソダセェな。魔神」
「…!!」
言い返せない…。だってそうだろ?…自分自身を見つける為に、必死こいて…魔神が頑張るなんて…
[神]の名を持つ"俺"達は…完璧じゃないといけない。これは"俺"達が産まれた時に刻まれた意思だ。
絶対に抗えない契約。でも…
「…それがダセェんだよ。」
彼は[神]に抗った。
「今のお前が…生きてるお前だろ?自分すら分からない奴が、俺に勝てるわけない。それに今、お前は未来が見えるのか?」
「…あ…」
…未来は…見えなかった。
「なんで…」
「…俺の未来を勝手に見せるわけないだろ。俺の未来は俺が決める。…これは強者の特権だ。もし…お前が未来を見て動いてるのなら、それは未来の奴隷じゃない。」
「決めた未来に…突き進むお前だ。」
「…ぁ……」
「…強くなれ。それが最低条件だ。そして滅ぼせ。お前より弱い奴を、片っ端からねじ伏せろ。」
「…」
「今日から俺が…お前の主だ」
「…名は?」
「[エンド]…今日から俺はそう名乗る。」
「…殺す目的はなんだ?」
「…魔神がそんな事を聞くのか?……理由もなく、ただ快楽の為に人間を殺すのがお前達じゃなかったのか?」
「…"俺"をそこらの奴と一緒にするな」
「……?。…良い」
「…」
「お前になら、伝えても良いかも知れんな。」
「あ?」
「…青い流星を見逃すな。…計四回。五回目は…」
「……」
「###################」
「…?!?!ほんとかよ?!」
「…嘘を付く理由はない。…手始めに10人。[絶対強者を見つけ出せ。]これは…」
____________________________
「絶対に遂行せねばならない…」
…あれから530年。エンド様は勇者に殺された。流星の数はあれから1回。絶対強者も、何人か検討はついてる。
ゼロ、ブラック、ゼウス…
残り7人…
空を見上げ、目を閉じる。勇者、魔神、勇者候補…推薦入学者、魔王軍…この中に、絶対強者は何人いる?
「?!」
突然。全細胞が、弾けた。南東に振り向き、空を見下す青い流星が一直線に掛ける。
覚えのある感覚に、喉の奥から声が漏れた。
「……まじか」
ご覧頂きありがとうございます。いいねと感想。ブックマーク登録も是非是非!!それでは!!!
「本当に…異世界!!」
(嬉しそうだな)