大天使様は異世界に1歩踏み出すみたいです
気候がぐちゃぐちゃです
寒すぎてサムスになったわね
それから私は神様達に少しだけだけど魔力の使い方、魔法の使い方、武器の出し方戻し方、この世界のアレコレなど常識面も色々教えてもらった。
この世界の人間は魔力量で強さが決まると言っても過言ではなく、ある程度魔力が扱えるものは肉体に魔力を流して身体を強化することも可能らしい。
身体強化って言うんだって。
魔力がない人間も極小数ながら居る。こればっかりはしょうがないらしい。そういう不平等が世界を作りやすい……らしい。確かに強いリーダーがいた方が統治がしやすい。なるほどね。
身体強化……魔力が多ければ多いほど強化量も多くなる。つまり私はある程度のことなら怪我しない。病気にならない。毒も無効。なんなら身体強化でもっと頑強になる。うーんチート。これで戦わなくてもいいんでしょ?過剰戦力すぎる。
こんなこと言ったら満場一致で「死なれる方が困る」ですって。そりゃそうか。
「……そういえば女神様達……ちょっといいですか??」
身体強化がある程度馴染んできて普通に走ったり歩いたり出来始めてから、真剣そうなお話をしている女神様達に声をかけた。
「はぁい♡なあに?」
「あの〜……私って皆さんに創り直された……創られた?じゃないですか。」
「まぁ…………そうだね。僕達が君を創り上げた。」
「だったらお願いなんですけど……我儘……なんでしょうか?」
「いえいえ。好きに仰ってください。できる限りの事は致します。」
「名前がほしいな〜……なんちゃって」
「「「「!!!…………」」」」
「……あれ?…………おーい……動かなくなっちゃった……?」
手を振ってみる。なんか……固まってる?……あれ????
「「「「な……」」」」
「……な?」
「「「「名前……ですか……!?(ですって……!?)(だと……!?)(だって……!?)」」」」
「……はい。だって私実質皆さんの【娘】みたいな物ですよね?」
「「「「娘!!!!!!」」」」
「私の事ママって呼んでくれていいのよ???ネプネリアママって呼んで〜♡」
「ちょっ!?ネプネリアさっ……むーーーーっ!?!?」
息が!!!息!!!!!首決められてる!!!!いい匂い!違うぅぅ!!!!!死ぬ!もっかい死ぬ!!
「……呼吸ができなくなっただけじゃ死にはしないよ。……君の身体は言わば魔力の塊。呼吸をしなくても生命活動になーんにも問題は無いからね。…………僕の事もママって呼んでくれていいよ?」
「もがっ……むむむっ……んんんんーーー!!」
「よさぬかネプネリア。まずやるべきことが増えたであろう。最優先事項だ。」
「ジュジュちゃん……確かに。誰からも愛される名前を考えないと……可愛くて……」
「……素晴らしくて……」
「勿論勇猛で……」
「…………」
「「「ヴィヴィナンシェ?(ヴィヴィ?)」」」
「……………………」
「あっこれ普通に自分の世界に入っちゃってるだけだわ。脳がバグってる。」
ネプネリア様ってこんな冷めた目できるんだ……
「ママって言ってね♡」
「もごご……もご」
「はぁいママですよ〜♡よしよし♡」
「……ずるいよネリィ。次は僕の番だ。」
「まずは名前だお前たち。……名前か……ふむ。……なにかいいものはないか……」
「……アステルムーン……」
「ヴィヴィナンシェ?」
「大天使……アステルムーン……私達の名前はさつきさんが元いた世界の惑星を元に付けられました。であれば私達の【娘】は同じように名前をつけるのが普通では?」
「なるほどな。アースとムーンか……いいんじゃないか。我は賛成だな。」
「いいんじゃなーい?私はどんな名前でもこの子が好きよ?」
「……僕も……いいと思う。アステルムーン……いい名前じゃないか。……自分の世界にトリップしていた人が考えたのは少々癪だけどね……くひひ」
「マズトリア!!!!」
「……んしょ!!……アステルムーン……アステルムーン!……うん!いいですね!!気に入りました!ありがとうございますヴィヴィナンシェ様!」
「……ママ」
「え?」
「私もママと呼んでください。」
そんな今にも泣きそうな顔で言わなくても……
「え…………ヴィヴィナンシェ……ママ……」
「ぐふっ……」ぱたん
「ヴィヴィナンシェママ!?!?血吐いて倒れたけど大丈夫ですか!?!?」
「私の娘が可愛すぎる件について……」
「思ったより大丈夫そうだな……」
「……ヴィヴィナンシェ……お前と言うやつは……はあ……」
「それよりも。ジュリアリンデママもありがとうございます。色んなこと教えてくださって。」
「ン゛ッ……なるほど……これは強いな……うむ……」
「……マズトリアママもこの身体ありがとうございます。動きやすいです!」
「うん……うん……当然だとも。僕……ママの研究成果だ。」
「……なんだろう……少しだけ皆さんがポンコツに見えてきました。」
あまり口に出すものでもないが、ポロッと出てしまった。ママ達が少し落ち込んでしまったが、何とか気を取り直して貰ってもう少しだけ訓練をした。ママの教え方がいいのか、割と早い段階である程度自然に出来るようになった。さすがママ。さすママ。
ママ達はすごく良くしてくれた。でも、私にはママ達から託された使命がある。
「さつきさん…いえ。大天使アステルムーン。貴女はこれから……私を信仰している帝国の祈りの時間に、教会に降り立ってもらいます。」
「女神様毎に信仰している国が違うんですね。」
「うむ。ひとりで全部は難しいからな。大陸を4等分してそれぞれ管理している。」
「私の管理している王国にも時間があったら行ってみてね♡」
「…………僕が管理してる聖国にもね。」
「勿論我が管理している海洋王国にもな。」
「…………はい!わかりました!!ぜひ行かせて貰います!!」
「そろそろですアステルムーン。私の魔術で教会まで飛ばして差し上げますね。…………最後に1回だけママって……」
「もー……ナンシェママ……ありがとうね」
「ヴッ…………今からでも使命取り消しできない?」
「ダメだ」「ダメです」「ダメだねぇ……」
「……はあ……わかりました。どの国の教会でも、あなたが祈ればいつでも私たちに会うことが出来ます。たまには会いに来てくださいね。」
「うむ。何時でも見守っているとはいえ、アステルムーンとはやはり対面で話した方が何倍と良いからな。」
「悲しいことがあったらいつでもママに会いに来てね?抱っこしてよしよししてあげるからね?」
「……何か不具合があったらすぐに連絡してくれ。……何も無いことを祈るよ。良い旅を。」
「……っ……ありがとう……ございます!行ってきます!!!」
「「「「行ってらっしゃい!」」」」
私の視界は光に消えた。これから最高の人生が始まる。
……始まるはずだったんです。
「おお!天使様!!我らの祈りをお聞きくださいませ!」
どうしてこうなった??
ここまで読んでくださってありがとうございました