第7話 女神の加護
「呪いが...なくなってる...」
とか細くツィアが言葉を発した。そして、自分の体をもう一度焦ったように見返していた。
そんなツィアの行動を状況が全く理解できない俺は、固まったように見ているしかできなかった。
そして、ツィアは自分の体を一通り確認した後、ヘタッと床に力が抜けたように座り込んだ。そして、
「そして、呪いが...本当に...こんな日が来るなんて。」
と下を向きながら、すすり泣き始めてしまった。
それでも、俺は状況に追いつけなかった。というよりも、人を殺してしまったという恐怖の感情の状況から一転、呪いの解呪の成功という状況に変わり、完全に脳の処理が追い付かず、パンクしていた。もう、喜んだらいいのか悲しんだらいいのかわからない。
それでも、
「こんな...こんなことが...!!」
と泣いている女の子を目にして、とりあえず何か声をかけなければ、
そして、俺は泣いているツィアに近づき、
「ツィア、よ、よかったな。」
とどうにか声をツィアにかけた。すると、ツィアは目をウルウルさせて、事らを見上げてきた、
「う、ぅ、ご主人さまぁ~...ありがとうございます!!」
と言った瞬間、俺の腹部あたりに顔から飛び込んできた。
そして、そのまま俺はしりもちをついた。ツィアは、俺のお腹あたりに顔を当ててしがみつき、わ~んというように大きな声で鳴いている。
そして、俺はというと、
またもフリーズしていた。
いや、今度は完全に脳みそが爆発してしまったというべきか。まさか、顔から飛び込んでくると思わなかったうえに、女の子が抱き着き泣いている状況もどうしていいかわからない。そのうえ、なぜ俺がご主人様呼びになっているかもわからない。俺は、魂が抜けたように真顔のまま思考停止していた。
そして、数十分が経った。ようやく、ツィアは、泣きやみ始めたようだ。しかし、俺はいまだにフリーズしていた。
そして、ツィアは、手で涙を拭い、ひっくひっくと呼吸を整え、顔をようやく上げながら、
「本当に...本当に...ありがとうございます。ご主人さまぁ...」
と言った。そして、顔を上げてツィアが俺の顔を見た。俺は、魂が抜けたようなままだ。それに気が付いた瞬間、ツィアは俺の両腕を掴み、
「ご主人様!ご主人様!どうしちゃったんですか!」
と俺の体を懸命に揺らし、俺に問いかける。そして、
「おっ!」
と変な声を上げ、我に返る。
「ツィアか...大丈夫だったか?」
と俺は言った。
「何言ってるんですか。ご主人様が助けてくれたんじゃないですか。」
と満面の笑みで返してくれた。俺は、うつらうつらの状態で、美少女の笑みか、もう死ぬのかななどとくだらないことを思っていると、先ほどの状況を思い出し、完全に自分を取り戻した。
「そういえば、呪いが解けたって本当か!」
と問いかけた。すると、
「本当です。見てください!」
と明るい返事で、先ほどまで紋章のようなものが入っていた腕と呪いのクリスタルが突き刺さるように刺さっていた胸をみせた。
本当に消えている、呪いが駆け巡るように刻まれていた肌は綺麗な素肌になっていた。
「本当だ、良かったな。力も戻ったのか?」
と続けて俺は質問した。
するとツィアは、
「まだ、試していないので、分からないのですが、呪いがあった時と違って、何となく体に力が入る気がします。」
とグッと拳を握りしめた。
(本当に、俺が触ったぐらいで呪いが解けるのだろうか)
と俺は、疑心暗鬼になっていたため、俺は立ち上がり、馬車の中に立てかけてあった斧を持ってきた。そして、それをツィアに渡し、
「力が戻ったのなら、これを折ってで試してみたら?力自慢の種族だっていってたし。」
と言って、ツィアに力試しをさせてみた。
斧を受け取ったツィアは、
「はい、やれるだけやってみますね...」
と言って立ち上がった。斧は、持ち手が木でできており、先端部分が鉄らしきものでできた、よく想像されるような、いたって普通の斧だった。
そして、ツィアは「フンッ」と可愛い声で力を入れた。
すると、
バキィィィン
と大きな音が馬車に響いた。
(おー折れた、折れた.................頭の鉄の部分が...)
俺は、斧の鉄の部分をへし折ったツィアを見て、苦笑いを浮かべながら、冷や汗をたらし始めた。そして、一応、拍手しといた。
(普通、そこ折る?てゆうか折れるもんなのそこ?)
正直、持ち手の木の部分を折ると思っていた俺は、予想以上のドワーフの力を見てドン引きしていた。逆に、このパワーを押さえつけていた呪いの力に少し関心してしまった。
その上、斧を折った当人は、当たり前の様に照れ隠ししながら、『いやー、こんなもんあたり前ですよ。』と言った表情で、照れ隠しに手で後頭部をこすっている。
(その華奢な体のどこからそんなパワーが出てきているのだろう)
そう思いながら、さっき泣きつかれた時のことを思い出すと少しぞっとした。この子の加減次第では、ぺしゃんこになってたかもしれない。
そんな中、いまだに引っかかっていることがある。なぜ、俺が触れただけでこの呪いは消えてしまったのだろう、そんな疑問が残ってしまう。ツィアに対する呪いの根源であるクリスタルは、完全に焼けこげ、炭になったように転がっている。
そうして、少し考えこんでいると、ツィアが、
「ご主人様、どうしたんですか?」
と声をかけてきた。それに対し、
「いや、さっきどうして俺が呪いを触っただけで解けたんだろうなとおもってな?」
と答えた。すると、ツィアも考えだし、何かを思い出したように答えた。
「そういえば、呪いが見つかったとき、ご主人様が倒した、奴隷商の中心核のような人間が、『この呪いは神でもねえと解けねぇな』とよく、私の前でぼやいてました。もしかして、ご主人様は、神様か何かとかかわりがあるんじゃないんですか?」
と言った。大正解だ。その瞬間、あることを思い出した。そして、俺は、ツィアに少しここにいてくれと馬車の中に待機してもらい、俺は馬車の外に出て、スマホを取り出した。
そして、起動し、ステータス画面を開いた。
あなたのレベル level10
身体状況
・異常なし
スキル
・身体強化
・急速成長
・女神の加護
・洞察力(極限)
・天才肌
・スキル隠し
・言語翻訳
レベルは、上がっていなかった。追い返しただけだからだろうか?とそんなことを考えている場合ではないと思い、もしやという気持ちで女神の加護をタッチした。
・女神の加護
あらゆる呪い、状態異常を女神の力により無効化する。また、瀕死の状態に女神の助けを乞うと大きく回復する。また、ダメージを負うと少しずつ回復し、怪我などの治りも早くなる。
このように説明文が表示された。そして、間違いなく先ほどの呪い無効化はこのスキルのおかげであると悟った。そして、これもぶっ壊れスキルだなと心底思った。それと同時に、この様な強大な恩恵があるからこそ、今後行動に注意しなければと思った。安易に、この様なことをしてしまっては間違いなく注目を浴びてしまう。女神様の転生者であることを悟られないためにも注意せねばと思った。
そして、言語翻訳のスキルにもタッチした。やはりこのスキルがなければ会話ができなかったのだろうかと気になった。
・言語翻訳
あらゆる言葉を使用者の主の言語に置き換えるスキル。また、言語だけでなく、視覚に寄与し文字なども翻訳できる。また、時間、距離、数字なども使用者の主の言語、文化に沿った意訳を行う。
と書いてある。なんだこの便利なスキル。と思っていると。
「ご主人さまぁ~?まだですかぁ~?」
と声が聞こえてきた。俺は、やべぇと思って、すぐにスマホを直し。
「ツィア今すぐ戻る。」
と言って馬車に戻った。
その後、馬車に戻ってから、ツィアと『呪いが解けて良かった』と言った、談笑をしていた。そのように、話してから少し時間が経った頃、
ツィアから、
「ご主人様は、どこに行かれていたのですかと質問された。」
それと同時に、自分の目的を思い出した。そうだ、人のいる場所を目指して歩いていたんだった。と思い、
「人里目指して、歩いていたんだ。ツィアは、この辺に町か何かあるかしらないか?」
と質問した。するとツィアは、
「それなら、私の故郷であるドワーフの村が近いと思います。私が案内できます!」
と満面の笑みを浮かべて答えた。俺は、かわいいなと心の中で思いつつ、
「それなら、案内をツィアに頼んでいいかな?」
と言いうと、ツィアは、
「もちろんです!!」
顔を近づけて即答した。
そうして、俺とツィアは、ドワーフの町を目指すことになった。
もともと用意していた、リヤカーの様なものに食料などを詰められるだけ詰めて、それを俺が引きながら歩き始めた。馬車にいた馬たちはどうやら逃げ出したようだ。最初から姿を見なかったので、さっきの連中が連れて行ったのかもしれない。そういったこともあり、リアカー旅になった。そして、そのリアカーの様なものをツィアが、自分が引くと言ってきたが断った。そのせいか少し申し訳なさそうにしていた。
色々なことがあったが、ツィアの案内のもと、ドワーフの村を目指して歩き始めた。
お待たせして、大変申し訳ありません。
なるべき早く更新していこうと思います。
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※ちなみに、こんなタイトルですが、作者はな〇う系が嫌いなわけではないです。
そういう主人公の設定です。