第4話 初戦闘
「な〇う系の主人公にはならないようしっかりと考えて行動する!!」
そう、照れ隠しに叫んだのもよかったが、ここはどこかの森の中、反応があるどころか、鳥らしきさえずりと、森のざわめきしか聞こえてこない。
それもそれで段々落ち着いてきて、恥ずかしくなってきた。
(22にもなって何やってんだ俺...)
そう、段々心に思い浮かんできながらも、ここは異世界、モチベーションが低くてはやっていけないと心に言い聞かせた。
そして、少し時間が経ち完全に落ち着いた後、今後、どうするかを考え始めた。
ここには、住むところどころか食料さえない。その上、
(うわっ、そういや俺スーツ姿のままか)
そう、昨日は、色々ありすぎて忘れていたが、仕事帰りだったためスーツ姿のままだった。
「どうするかなぁ~」
大きなため息とともに、愚痴の様に言葉を吐いた。
「まあ、まずはこの森を抜けることだな」
そうして、森を向けると決め、まず俺は、最初に火を起こした後を軽く片付けた。
そして、ある程度片付け終わった後、
(さて、この森をどう抜けるか。)
そう心に、思いながら、(下手したら遭難するんじゃね)とも恐怖を感じつつ、悩んでても仕方がないと思い、女神像が向いている方向に歩いてみることに決めた。
(まぁ、この像も誰かが建てたってことだし、近くに村か何かあるでしょ)
と希望を持ちつつ、歩き始めた。
最初は、俺の冒険の始まりかと意気揚々に思っていたが、10分後には
(これ、ほんとに出れるよな...)
と不安が勝ち始めていた。そうして、不安を抑えつつ歩き続ける
すると、少し開けたところに出た。山暮らしなんてしたことがない俺は、
(うっしゃ出口か!!きたぁぁぁ!!)
と文字どおり心が躍っていたが、
そこは、小さな池の様な場所だった。出口だったと思っていた分、あからさまに落ち込んだ。
だが、その時、
(その時この池から続く川に沿って歩けば、森を出られるのでは?)
と思いつき、少し元気を取り戻した。そして、川が続いているのを見ると、ここは山?と知識のない俺は、色々考えていると、出てきた森の方からガサガサと音がした。
俺は焦って後ろに振り向いた。
すると、ぽよんぽよんという擬音が似合うような移動の仕方で、青いグミの様な見た目をした生物が出てきた。
「もしかしてスライム!?」
俺は驚きながらつい言葉を発した。
その瞬間、驚きとともに本当に異世界に来たんだなと高揚した。
そして、スライムと目が合った。
俺は、少し可愛いなと思いつつ、よくスライムを見てみると、何かスライムの体内に浮かんでいる。その瞬間背筋が凍った。
よく見ると、生物っぽかった。そして、嫌な予感がした。
「こ、これはもしかして...」
その予感は当たっていた。どうやら、さきほど何か生物をとらえて、自分の中にとらえて窒息死させている。多分、捕食している最中の様だ。
その瞬間、俺の頭にあった可愛いなどといった甘い考えは、ふきとんでいった。
(やべぇ、逃げないと)
そう思いいつつ、後ずさりをするが、後ろは池、これ以上下がれない。
そして、スライムを一度、見た瞬間、
ビュッッッ
とスライムの体液らしきものが飛んできた。
「うわっっっ」
と何とか間一髪、体をそらし、避けることができた。その体液は、水辺近くの岩に当たった。その体液は、完全に壁に引っ付いていて、すさまじい粘着直なのが伺える。
これがもし、顔に引っ付いたと考えると、背筋がヒヤリとした。
だが、幸いなことにどうもスライムのこの粘液も一度に連発できないようだ。そのため、逃げようと思ったが、場所的にどうも逃げられそうにもない。
その間も、スライムはじわじわと近づいてきた。
そこで、俺は、一か八かで、近くに流れ着いた木の棒で何度もスライムを突き刺した。「おら、おら、おら。」と声を挙げつつ。
その光景は、当目から見るとまったく戦闘とは思えないようなひどさだった。
そんな戦闘ながらも、何度も滅多刺しにしていると、ぐにゅっと変な感触に当たった。
そして、その感触に当たった瞬間、シュウウウと風船がしぼむように潰れていった。
「勝ったのか!?。」
そのしぼんでいく姿を確認しつつ、警戒していた。
そして、完全にしぼみ切った後、
「よかったぁぁぁ」
とため息と一緒に情けない声を上げながら、腰が抜けるようにしゃがんだ。
正直、初勝利の喜びよりも、安堵が勝っていた。
その後、一息つきながら、いざ自分が異世界転生したとなると、あんなアニメの主人公みたく淡々とはいかないなと、転生の厳しさを実感していた。
だが、同じ方向から、ガサゴソと音がし、スライムが出てきた。
一安心していた俺は、完全に不意を突かれた。
俺は、やばいと思いつつ急いで立ち上がった瞬間、そのスライムは体液を自分に向かって発射してきた。
やばいと思いつつ、先ほどの棒を反射的に体液を振り払うように降った瞬間、
ビュッ、シュゥゥゥ、バァン!
と激しい音とともに襲ってきたスライムの体がはじけ飛んだ。
訳も分からず、自分でもどういう状況か理解できないでいると、そのスライムの残骸の後に、赤い石の様なものが落ちているのに気が付いた。
とりあえず、つついて確認してみたが、危険性はなさそうだ。
よく言う、戦利品とかいう奴だろうか、深くは考えず、とりあえず初勝利記念として、拾い持っていくことにした。
正直、それよりもさっきのスライムを倒した理由の方が気になっていた。
俺は、とりあえず気に向かって木の棒を片手で軽く振ってみた。
ビュッ、ビュッ
と風を切る音がするだけで何も出ない、そこで両手で思いっきり、「おらぁ!」掛け声とともに全力で棒を振ってみた。
すると、斬撃のようなものがシュゥゥゥと音をあげ気に向かって飛んでいった。
そして、バァン!という音とともにその斬撃が直撃し、木が倒れた。すさまじい威力だ。
「な、なんだこれ。」
やっぱり、理解追いつかなかった。
(そういえば!)
俺はスマホを取りだし、女神様に教えてもらったステータス画面を開いた。
あなたのレベル level10
身体状況
・異常なし
スキル
・身体強化
・急速成長
・女神の加護
・洞察力(極限)
・天才肌
・スキル隠し
・言語翻訳
・剣術level1
「は!?いきなり10!?」
スライムを二体倒しただけだが、それだけで10レベルあがっていた。
そう驚きつつも、まずはさっきの衝撃はみたいなやつの確認だと思い、新しく増えていた剣術のスキルをタップしてみた。
・剣術level1
効果:剣術職のスキル、その効果は職によって様々
曖昧な表現だが、新しくスキルが増えていたのと、二体目を倒そうとした際に急に衝撃波の様なものが出たのを考えるとこれが原因かと思いつつも、だがlevel1でここまでの攻撃ができるのか?と思い、ほかのスキルを今と同じように確認してみる。
まず、一番上のスキルを確認してみると
・身体強化
効果:剣術などの単一の職スキルをもつ人間の身体能力または効果を大幅に挙げる。その効果幅は、その人間のレベル、スキルに比例する。
すぐに原因は見つかった。おそらく、これが、剣術に重なり強化されあそこまでの攻撃ができたんだなと確信する。
ついでに続けて、次のスキルを確認してみる。
・急速成長
効果:レベルがかなり上げやすくなる。
なるほどこれのおかげで一気にレベルが上がったのか。
そして、ここまでスキル確認をしてきて感じたことがある。
「ぶっ壊れすぎやろ...」
心から思い、声に出た。
そんなことを考えていると、また、森のざわめきが聞こえてきた、モンスターはこれ以上鉢合わせたくないと思い、その場を離れた。
そして、池の近くの湧き水の様な場所から水を人のみしてから、
川に沿って歩き始めた。
(ほんとに、異世界主人公になったんだな)
そう、そうしみじみ感じながら。
更新がかなり遅れて、本当に申し訳ありません。いろいろと時間が取れない状況になってしまい。大幅に遅くなってしまいました。
11月は時間が取れそうなのでどんどん更新していくつもりです。
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どうか、ご検討いただけると嬉しいです。
※ちなみに、こんなタイトルですが、作者はな〇う系が嫌いなわけではないです。
そういう主人公の設定です。