第3話 ここが異世界?
「ここが...異世界?」
動揺しながら周りを見渡すと、周りは一面地で生い茂っている。
どうやら森の中の様だ。
警戒しながらあたりを見渡していると、体が背後に何かあることに気づき、
びくっと体ごと驚いた。
「これは...」
自分の真後ろに古ぼけた小さな女神像?の様なものが立っていた。神社の狛犬象より少し小さいぐらいで、苔むしており、今にも崩れてもおかしくないような感じだった。
また、薄暗い森の中その女神象近くだけがほんのり明るかったように感じた
(えぇ、どうするかぁ)
心からの叫びだった。当たり前だがこんな状況、経験したこともない。正直、この場で発狂したいぐらいだった。だが、動物の本能というのだろうか、こんな森の中で発狂してしまえば、獣の類などに襲われるのは、元いた世界でもわかる。ましてや、ここは異世界何が起こるかわからない。そんな、状況で大声などでる訳がなかった。
(とりあえず、この夜を乗り切ろう)
このまま、この森を徘徊しても、襲われて、多分死ぬ。ましてや、襲われなくても、迷い死ぬ。ひしひしと危険を感じた上での決定だった。
(そういえば...)
そう思いつつ、女神様の行っていたことを思い出し、ポケットから、スマートフォンを取り出した。スマホを開き、webを使うと、
(ちゃんとつながった!)
webを開きとりあえず、安全に夜を明けるために火を起こそうと思い、
サバイバル術 火のつけ方
で調べた。するとよくテレビでやっている火のつけ方が載っていた。
それに従い、近くの木の枝を拾ったり、折ったりで集めてきた。
そして、ネットの情報の通りに、火を起こそうと、出来るだけ草が生い茂っていないところに、腰かけた。
(そういえば、俺、スーツ姿のままか。)
座り込んだ時に、思い出した。仕事、帰りからそのまま転生し、ここにいる。そうした、ぎこちない姿のまま、webの情報を頼りに火をおこそうと、していた。
だが、なかなか火はつかない。いくらネットの情報とはいえ、素人がするのだから仕方がないと思いつつ、必死になって火を起こす。
そういえば、異世界だからと思い
「ファイヤー!!」
唱えてみた。だが、何も起こらない。異世界とは言え、もしくは転生者とはいえ、今の状態はスキルと加護をもらっただけの一般人、何も起こるはずはなかった。
森に一人の状態なのにも関わらず。恥ずかしくなり、頬を少し赤らめながらも、作業を続けた。
そして、3時間ほどして、火をつけることに成功した。火種を消さないよう枝に燃え移らせ、見事、火をつけたのだった。
「よっしゃー!」
野太い声で叫んだ。
そして、ひとしきり喜んだあと。火を消さないように、木の枝を追加しながら、座り、火を見ながらおちついていた。
今日会ったことを整理しながら。そして、女神様とのやり取りを思い出していた。
(いろいろありすぎだな、今日は。)
そう思いながら、女神様とした会話を思い出していると。
だんだん、恥ずかしくなってきた。
よくよく女神様とした、会話の自分の発言とその雰囲気と発言の仕方を思い出すと、どこかしら恰好つけていたように感じる。
また、転生に選ばれて舞い上がっていたのか、漫画でよくあるどこかの国で大役を任された勇者や騎士になった気分で話していた気がする。
そう、この光景、この感じ、死ぬ前にもよく知っていた。
「な、〇、う、系?」
その瞬間、自分が前世からどこか下に見ていた、な〇う系の主人公と女神様の会話の時の記憶の自分と重なった。
「うわあああああああああああああああ」
俺は、さっきあれほど叫んではいけないと最新の注意をしていたにも関わらず。大声で叫んだ、いや発狂しスーツ姿のまま、のた打ちまわった。
(俺もう今年25だぞ?)
心の底からの叫びだった。生前、な〇う系の主人公を見て、なんでこいつこんな格好つけてんだ?と思っていた自分をぶん殴りたくなる。
そう思いながら、手を土につけ、どうしようもない、恥ずかしさと怒りを地面に殴りつけていた。
俺は、死ぬ前、確かにな〇う系が嫌いだった。いや、嫌いになったという方が正しいか。
学生時代は、な〇う系の作品もときどき見ていた。そして、俺もあんな風に、ハーレム展開だったり、ちやほやされたり、最強の力をもったり、追放した相手を見返して楽しい生活を送るなど、こういった転生がしたいなぁと思っていた。
だが、年を取り、社会人になるにつれてその考えは変わっていった。
人は大きくなるにつれて人間関係、立場も変わってくる。一人一人に、自分の生活があり、頑張って生きていること思い知った。また、もちろん、主人公みたいに成功した人間も、見てきた。だが、それは誰しも一人の力でなし得ている人間は見たことがなかった。成功した人間が努力して成功したからと言って、成功しなかった人間が努力していないわけではない。みんな生きるため位に必死なのだ。成功した人間を主人公とするならば、周りの人間がモブになる。俺も、その人間の一人だった。
その主人公をほめてくれるモブは、自分だってほめられたい、そうなりたいという気持ちがあっても、それを隠し憎しまずに、人をほめたたえているのだ。その気持ちは、自分のためであったり、単純にほめたりと多々あるのだが。
誰しもうまくいくわけじゃない、学生の時から分かっていても、俺が大人になって嫌でも学んだことだった。いや、むしろうまくいかない人が多数だからこそ、うまくいく人間が出てくると知った。
また、うまくいかなくても、うまくいった人間をたたいてしまうのも違うのは、よくわかっていた。うまくいった人間も努力はしている。そこで、人に石を投げてしまえば、自分の今まで積み上げた努力は崩れ、それ以下の人間になることは必然的だとわかっていた。
だから、うまくいかなくてもそれでも必死に生きよう。そう思いながら、あえて、深く考えず生きようとしていた。考えてもどうしようもない。そう、心に刻み込んで。
だからこそ、な〇う系が嫌いになった。というよりも、な〇う系の主人公が嫌いになった作品が多くなった。力が授けられたのが嫌いでもなく、ハーレム展開が嫌いだったのではなく。一度、モブの立ち位置を体験しながらも、何も学ばず、ましてや自分の才能と過信して、俺は痛みの分かる人間ぶっているのが本当に嫌になった。みんなにやさしくしている素振りを見せる割には、自分に少しでも気に食わないことをされれば理由も聞かず容赦なく、切り捨てる。また、人から授かった力であるにも関わらず。自分が努力した結果であり、自分が勝ち取ったものだという感じが嫌いだった。
正直、敵が起こる理由もわかる。資本主義社会で、毎月、主人公の会社だけに、空の上から多額の資金を受け、それを自分の稼いだ金だといっているようなものなのだから。世界のルールを乱しているのに気づかない主人公が本当に嫌いだった。
まぁ、創作の世界なのだからと割り切ろうとしたが、それでも、割り切れなかったジャンルがそのな〇う系だったのである。そうして、俺は、な〇う系というジャンルが嫌いになった。
はずだった。
「はずだったのにぃぃぃ!」
これが、今の現状である。
思いっきりな〇う系ムーブを決めてしまった。
それがどうしても許せず、その後も暴れ続けていた。
そして、チュンチュンと鳥の様な鳴き声が聞こえる。辺りが明るい。
気が付くと、俺は木によれかかてに座っていた。森は朝を迎えていた。
どうやら、あのまま眠っていたようだ。
幸い、火はなにも燃え移らず消えていた。webでちゃんと調べた成果が出ていたようだった。
(ありがとう、web)
と思いながらも、心に決めたことがある。
(ここが異世界だろうと、もし俺がな〇う系の主人公になっていたとしても、今後は絶対にそのムーブを打ち消してやる!!!)
燃えるような闘志を見せながら言い放っていた。
「な〇う系の主人公にはならないようしっかりと考えて行動する!!」
そう、朝っぱらから森の中で、照れ隠しで叫んでいた。
更新遅れて、本当に申し訳ありません。
個人的に、ごたついていました。
早めに更新しようと思っています、出来れば今週中にもう一話更新したいです。
評価・感想・ブックマークいただけるとモチベにつながります。
どうか、ご検討いただけると嬉しいです。
※ちなみに、こんなタイトルですが、作者はな〇う系が嫌いなわけではないです。
そういう主人公の設定です。