第11話 ツィアの裏切り
遅くなってしまい本当に、申し訳ありません。なるべく早く、次も投稿しようと思います。頑張ります。
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「いえ、この子が...」
「はい、私が将来を預け、私の生涯をともにすると誓わせていただいた。世界にただ一人のご主人様です。」
まさかの裏切りだった。俺は、呆気にとられ、固まる。
「やはり、貴様が...」
やばい、完全に切れている。ツィアの父親の目が、血走っていた。そして闘志むき出してこちらを見ている、今にも襲い掛かってきそうだ。
すると、
「いえ、違います。お父様、この方は、私を連れて行った方ではございません。」
「何?」
「この方は、奴隷の身になった私を救い、果てには私の解呪不可とまで言われた呪いまで解呪し、私を救ってくれた方なんです。」
と胸の呪いのクリスタルが刺さっていた部分を見せた。
それを見たツィアの親たちは、
「本当だ...」
「確かに、抱き着いた私たちに呪いが移っていないわ。」
と驚いていた。そして、ツィアに駆け寄り、呪いのクリスタルが刺さっていた部分を、夫婦一緒になって確認していた。
一方、俺は、裏切られたショックから自我が壊れたように、真顔で一定間隔で瞬きをして、一点を見つめていた。考えが追い付いていなかった。
「ご主人様は、このような、奇跡のような事を起こしてくださいました。そして、この奇跡が起こったときに、私は感じたんです。このような、奇跡が起きたことは運命なのだと、神様が示してくれた天啓なのだと。そのため、私はご主人様のために、一生をかけて付き従わねばと。」
と言った。それを聞き、ツィアの両親たちは動揺し、
「だ、だが、それではお前が奴隷になってしまうということだぞ」
とツィアの両親が親として俺の奴隷の道を歩もうとするのを止めようとする。そして、ツィアに近づき、ツィアの腕をつかんで懇願するような体制で、
「ツィアーナ、お前に私たちは奴隷になってほしくない。お前は、十分頑張ってきたんじゃないか。今回だって妹、弟たちを守るために犠牲になったせいで、呪いを患い、果てには、奴隷として連れていかれることになったじゃないか。これ以上、お前ひとりが苦しむ必要なんてないんだ。」
と真剣な顔で説得している。奥さんも、村長の言葉にうなづきながら、ツィアを真剣な顔で、止めようと見ていた。
だが、ツィアは放心状態の俺の腕に抱き着いてきた。その瞬間、俺は何とか自我を取り戻す。
そして、ツィアは俺の腕を強く抱きながら話し始める。
「お父様、お母様、もちろん愛しています。ですが、ご主人様は、私にとってかけがえのない人なのです。私は、ご主人様の奴隷であることに苦痛を感じたことなど、一切ありません。それどころか、ご主人様は、私のことを助けてくださる上、大切にしてくださいます。そして、何よりご主人様も私のことを求めてくださっています。」
と言い放った。その瞬間、俺は
「へぇ!?」
といい、体をビックゥと震わせる。
俺は、そんなの初耳だ。と思い動揺すると、
ツィアは続けて、俺の方を見て、
「ですよね?」
と力が入った冷たい声で言ってきた。
俺は、とっさに
「い、いや、ご両親もあんなにぃぃぃぃぃ」
と否定しようとした瞬間、凄まじい力で抱き着いていた腕を締め付け始めた。あまりの激痛に、しゃべれなくなる。
そして、ツィアは再度こちらに顔を向け、
「で、す、よ、ね?」
と力づよく、冷たく圧力のある声で、問いかけてきた。
そして、押しつぶされている腕がミンチになってしまいそうだ。今朝の一見で、すっかり忘れていたが、斧の鉄の部分を軽くへし折ったパワーだ。多分、本気ではないのだろうがすさまじい激痛だった。俺は、若干涙目になりながら、両親の方を向き、
「ひ、ひゃい。ツ、ツィアの言う通り、僕はツィアのご主人様です。ツィアが僕には必要です。」
成人男性が発したとは思えない声で、ご主人さま宣言を、自分の奴隷の前でさせられた。何か、大事なものを失った気がする。
俺は、抵抗できなかったのだ。というよりも、これ以上抵抗したら、ツィアの両親に殺されるどころか、ツィアの殺されそうだった。
すると、ツィアは俺の腕に対する力を抜き、
「お父様、お母様、この様に私たちは、運命的に出会った関係なのです。形は、主人と奴隷という関係であれ、一緒にいることを許してくださいませんか?」
と問いかけ、俺の腕にほっぺをこすりつけている。そして、
「そして、この様な、奴隷商を軽くいなしてくれるご主人様の奴隷に私がなれば、私たち家族の安全も守られると思うのです。」
と言った。
だが、俺は話そっちのけであることを思い出していた。
(こ、こいつ、俺が呼び方を変えようと提案したときに妙に素直だったのは、この状況を作りやすくするためか。は、はめられた。)
俺が歯ぎしりをしていると、ツィアの両親たちが、
「だからいって」
と止めにかかろうとしている。
俺は、それを見て、内心
(いいぞ!、もっと止めるんだ)
と思い、俺も加勢しようと思い、口を開こうとすると、
グッッッ
とツィアが、俺の腕を締め付ける態勢に入ったために、口を開くのをやめた。どうやら俺は、生殺与奪を自分の奴隷に握られているようだ。
そして、ツィアが
「お父様!、お母様!」
と大声で、ツィアの両親の声を遮り、黙り込ませた。
「私は、ご主人様とどんな状況にあっても、私はご主人様と入れれば幸せです。何故なら、この方に救って頂いた命だからです。だから、たとえこの方に乱暴な使われ方をして終わりを告げようと私にとって悔いはありません。どうか、私のためにも、私とご主人様を信じてくださらないでしょうか。」
と頭をツィアの両親に向かって下げた。
ツィアの両親は動揺し始めて、話し始めていた。
だが、ツィアの片手は俺の手から離れていなかった。余計な口を俺に開かせないためだろう。
そして、俺は、もうツィアを止められるのはツィアの両親しかいないと思い、(頼む、親御さん、ツィアを止めてくれ、もう、あんたらしかいねぇんだ。)と願うことしかできなかった。
だが、
「ツィア、分かった。君たちを認め、今後を祈ろう。」
と言った。そして、ツィアは
「お父様、お母様、ありがとうございます。」
と言い、ツィアの両親に向かって、泣きながら一礼した。
そして、両親、門番、ツィアはみんな感動で泣き始めた。門番に関しては、泣きながら拍手している。
一方の俺は、空を見ながら、真顔で泣いていた。自分の奴隷に逆らえない事や、流れを止められない事、今後もこの状況が続いていくことが確定したことなど、自分の情けなさに涙が出ていた。
そして、泣いている俺を見たツィアの父親が俺に近づいてきて、俺の肩をポンポンと叩き、
「君が、泣いていてどうするんだ。ツィアを守れるのは君しかいないんだ。ふがいない、親かもしれないけどツィアをたのんだよ。」
と感動のフィナーレ張りに、背中を押される言葉をいわれた。
それを聞き、俺は心底、こう思った、
(この涙は、感動の涙じゃねぇよ...〔多分、あんたの娘の方が俺なんかより強えぞ〕)
そうして、俺は正式にご主人様になることが決定してしまった。
ちなみに、いまだにツィアの手は、俺の腕から離れていなかった。
※ちなみに、こんなタイトルですが、作者はな〇う系が嫌いなわけではないです。
そういう主人公の設定です。