第一話 異世界転生
「では、あなたに特別な力を授けます」
そういって、女神さまに力を授かった俺は、
「なろう系の主人公にはなりたくない」
それが異世界転生してきて一番最初に、心に決めたことだった。
自分の名前は岡柳真也、今年で25になる。
異世界転生する前までは、地方の田舎で公務員をやっていた。
そんな、ある日仕事中に、暴れた客を止めようとして、刃物で刺され
死んでしまった。
あっけない、幕切れだった。
でも、不思議と肉親などに未練はありつつも、後悔はなかった。
自分は、自分なりの努力をしたつもりだ。
特別な人間でもあるまいし、自分が世界に対してできることはこのくらい
だろう。
そして、俺の人生は幕を閉じたと思っていた。
目が覚めると、そこは変な空間だった。
アニメなどでよく見る、心層空間?というような感じだ。
まず、自分が生きていることに、うろたえながらも、立ち上がった。
「ここはどこだ。」
とっさに声が出た。そして、その場でうろたえている。
「目覚めたようですね。」
そうした、声がきこえた瞬間、目の前が光に包まれた。
「うわっ!!」
とっさに声が出る。だが、その光は続けてこうはなった、
「驚いても仕方がないですね、私は、あなたたちでいう異世界の女神で す。 今は、あなたたちの界の担当の神にお願いし、あなたたちの世界に干渉しているため、この光の様な姿でしか、話すことはできませんが。」
俺は、明らかに動揺しながら
「女神様?どうなっているんだ」
と口走った。正直、夢なのかと思っていた、死んだはずの俺が目ざめ、
その上に、わけのわからない場所に立っている。それだけでも、混乱するには十分だった。
とりあえず、俺は動揺しながらも質問した。
「失礼ですが、女神様、私は死んだのでしょうか?」
そうすると、女神様の光は
「はい、残念ながら。」
とつぶやいた。やはりそうなのか、思いながらも続けて質問した。
「でしたら、なぜ、私は此処にいるのでしょうか?それとも、死んだ者全員がここに、転生されるのでしょうか?」
と質問した。すると、
「そうでは、ありません。意図的に私が呼びました。」
「だったらなぜ俺は、」
「それは、あなたに私の管理下にある異世界に転生してもらいたいがためです。」
「異世界に転生!?」
俺は、驚いた、最初の会話で異世界があることさえ、驚いていたが、そこに俺を漫画の様に異世界転生させる?現実にそんなことができるのかと。
だが、よく考えてみれば、死んだ俺がここにいることさえおかしい、ましてや女神様という存在が目の前にいるのだ、そんなことができてもおかしくはない。もし、これが夢だとしてもそれはそれで合点がいく、いやむしろ夢として考えてしまった方が冷静になれるかもしれない。
だが、それでもひとつ、気になったことがあった。
「女神様、失礼を承知で質問させて頂きますが、なぜ、私なのでしょうか?
また、なぜ、転生する必要があるのでしょうか?」
そう、転生するならば俺でなくてもいいはずだ、その上、死んだ人間が全員転生するというならば、わざわざ、他の異世界担当の女神が干渉してまで、他の異世界に転生させる必要はない。そのため、何か事情があるのだろうと踏んでの質問だった。
「いいでしょう、答えましょう。」
そうして、その女神様の光は続けてつぶやいた。
「あなたには、私担当の異世界に転生していただき、私の担当の世界の均衡を破壊されないように、保ってほしいのです。」
均衡を保つ?どういうことだと考え俺は、
「それは、魔王か何かを倒してほしいということですか?」
と質問をした。すると、女神様の光は、
「それも一つの選択肢です。どうなるかはあなた次第です。」
どういうことだ?俺は、いまいちピンと来ていなかった。
俺が首を傾げながら考えていると、女神様はこう続けた。
「あなたは、まだ、他の冒険者よりも、話が通じそうですね。よろしい、
詳しく話しましょう。」
「先ほど、あなたを転生させるのは、私が転生している世界の均衡を保つためと、お話ししましたね。」
と質問されたので俺は、「はい」とうなずいた。
「それは私の世界が崩壊する可能性もあるためです。」
「私の世界では、あなたの世界の様に人間の単一の種族が独占しているわけではありません。あなたと同じ人間、エルフやドワーフ、はたまた先ほどあなたがおしゃった魔王が中心の魔族など、様々な種族が存在しています。」
「また、あなたの世界とは違い、単一種族のみが飛びぬけて、知力や単純な力をもっているわけではありません。」
「そのように力が拮抗した場合、起こることはわかりますね?」
俺は、すぐにその女神様の世界で起こっていることが分かった。
「争い、又は戦争ですか?」
そう返した。すると女神様の光は「そうです」と答えた。
特に、俺は政治関係の勉強を学生時代に勉強していた、その上、仕事の都合上必要だった人間だったため嫌でも容易に予想がついた。
その上で、俺は質問した、
「ならば、その争いなどを止めてほしいがために転生してほしいということでしょうか。」
と、すると女神様の光は、
「あながち間違いではないですね。」
「と言いますと?」
俺は半ば食い気味に質問を返した。すると女神様の光は、
「手段は問わないということです。異世界を管理する管理者の立場からすると一番起きてはいけないことは、全滅です。管理に失敗したいうことになりますから...逆に、その争いで勝者が決定し、敗者が勝者の管理下に置かれ和平が保たれるならそれも構いません。また、緊迫状態のままならそれでも別に構いません。」
なるほど、だが、一つ俺は思い質問した、
「それなら、私の様な人間より、女神様の力で何とかしたほうがいいのでは?」
俺は、別に大した人間じゃない飛びぬけた何かを持っているわけでない、その上、そっちの方が絶対に効率がいい、そう思っての質問だった。
女神様の光は続けて、
「普通に考えればその通りでしょうね、ですが、そうもいきません。」
「何故なら私は管理者なためです。極端な話をすると、その争いの勝者が敗者に対し、奴隷制などを引いたとしても直接私が関与することできません。
管理者として、片方に力を入れることはできません。分かりやすくいうならあなたの世界のスポーツの審判といったところですかね。」
「まぁ、簡単に世界を左右するような大きな力をもっても、世界を左右することは立場上許されないということです。」
「そのため、自分が私ができることは、あなたを私の世界に送りこむことぐらいです。」
「ある意味、あなたを送り込むことは賭けなのかもしれませんね。あなたが逆に、世界を乱すようなことをする可能性もありますし。」
俺は、この女神様の気持ちが痛いほど分かった。自分も、仕事上、政府側の立場だったため、どんな理不尽なクレームが来ても言い返せなかった、また、住民同士がもめても、肩入れすることは基本的に許されなかった。歯がゆいこともたくさんあった。公務員、いやサービス業を経験したことがある人間ならよくわかるだろう。自分の経験と、少しだけでも重なったような気がした。
そういった気持ちを感じながら、俺はもう一つ質問した。
「もし、俺が女神様がおっしゃったように世界を乱したら、女神様はどうされるのでしょうか。」
俺は、そんなに信頼に値する男なのか、と思ったためだ、
その質問に対し、女神様の光は、
「そうなれば、それを止める抑止力となる人間を送り込むだけです。」
「また、あなたを選んだのは、私の立場を理解していただけそうな人間だったためと、私の管理下の異世界にいい流れを起こしてくれそうと考えたためです。」
俺は、ここまで様々な話を聞いてきた。そのうえで、考え付いた。
思いっきり活かしてやろうと、自分の力を生かしてやろうと。
「女神様、私、異世界転生いたします。」
これが俺の冒険の始まりだった。
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なるべく早く更新します。
ちなみに、こんなタイトルですが、主は別になろう系が嫌いな分けではありません。