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第83話 活動拠点インテグラル・レギオン

インテグラル・レギオン………。

ストーリー後半に似た名前が出てくると思いますが、お気になさらず!

 活動拠点、インテグラル・レギオン。

 それは、レギオン街の地下に設置された、今後の活動拠点。


 レギオン街のインフラというものの管理から、地上で用いる資材の倉庫や、ゼディアスの空中船団を格納していたりと、街運営に伴い必要となる様々な施設を集約した拠点であるという。

 

 広間に着くには時間がかかるというので、これまた奇妙な装置の動く床に乗って、一行はアルナの話を聞くことになったのだった。


 「要は、今後の活動拠点。ということなんだが……。

 ひとまず、地下に設置された対侵攻装甲は、その縦幅6000mに渡り多重防御力場と対侵攻装甲が張り巡らされていて、敵対勢力にレギオン街が進行を受けた際、それら装甲の中に市民の住居を段々的に下へ移動させていき、市民を守る。

 その地下装甲の最下部に存在するのが、このインテグラル・レギオンだ」


 縦幅6000mにわたる多重装甲……という言葉を聞いたユウト、エスティエットは口を大きく開け刮目して吃驚していた。


 「地下からの物資運搬、処理物の移動は機巧種(エクス・マキナ)の技術、量子テレポートで行い、人員の移動は固有の存在確立錨力場が展開された装置での虚数空間移動による運搬を行う………らしい。

 俺も詳しくは知らないが、そういうことらしい。

 魔術で説明するなら……ええと、空間転移魔術と、亜空間移動の際に人を保護する箱に入れて危険な亜空間を移動させる……みたいなことだと思うぞ、きっと」


 アルナもよくわかっていないようだけれど、私は要するにヌルさんが本気を出した、ということで片付けて、他はケンセイさんに情報の記憶は任せているので問題ない。たぶん。


 「多重防御力場のほかに、異空間移動に対する侵入を拒むための次元断絶防御も備えている……とか何とか言ってたが、まあそこはいい。

 なんでそんなに防御姿勢を固めているのかといえば、ヌルはこの地に根を下ろし、都市開発に力を入れるということが決まったからだ。

 ここには、機巧種(エクス・マキナ)の技術が惜しみなく投入され、他国に劣る戦力差を埋めるための技術転用方法などの研究が行われる他に、レギオンの主戦力となる者達を鍛え上げるための施設と、主戦力に使用させる装備の開発が行われる」


 にしても過剰すぎる防衛体制だろう……と皆が一堂にそう思っていると、それを言い当てるようにアルナは言葉を続ける。


 「にしても過剰だって思うだろう。

 しかし、俺もヌルも、これでも心もとない、幾許かまし、程度と考えている。

 皆、なんとなくわかっているだろうけれど、俺の右腕。これはヌルの、機巧種(エクス・マキナ)技術によるものだ。

 魔力やスキルを持たない俺が、なぜここまで強くなれたか。レアンに及ばずとも、その補助ができる程度に強くなれた理由が、その技術にある。

 つまりだ。機巧種(エクス・マキナ)の技術はそれだけ、はるか未来の技術にあるということ。

 そして、その技術が俺のように、一般人と何ら変わりない者でも遥かに強くなる。

 そんな技術が、敵に渡ってみろ。市民すら戦闘兵器に変えて各国は争い、その果てにこの大陸は死んでしまうだろう。

 だから、とりわけ技術部門には特に、その技術を外へ漏らさないことが求められる。

 ケルシー、カレン、イリュエル。君たちは技術班への配属となっているが、それは断ることもできる。

 無論、俺では微力かもしれないが、レアンやユウト、エスティエットが君たちを守る。

 だがそれでも最悪を想定し、君たちにはいかなる仕打ちを受けようと、その技術を漏らしてはいけない。

 存在するすべての拷問を受け、凌辱の果てに尊厳を失っても……絶対に。

 後にヌルと直接話すことになるだろうし、今決意できないなら今後、いつでも大丈夫だ」


 アルナは、その技術の重大性と、彼女ら技術部門配属予定の者に対し、ほぼ脅しのような説明を行った。

 というかほとんど脅しのようなものだろう。

 けど、普段のアルナはこんなことはしないと私は知っている。

 だからここまでアルナが強く言うということは、それほど重要なことなのだろう。


 3人は顔を歪ませて悩んでいて、即座に了承できなさそうだった。


 「いつでも構わないよ。ここの技術を用いないなら、今まで通りの技術研鑽を続けてくれていい。

 その技術で、武器防具の作成や新たな魔術の研究に励んでくれ。

 だが、機巧種(エクス・マキナ)の技術に触れることは一切許可できない。

 無論技術を外へ流すようなことをすれば、俺は関係者全員を洗い出して、口封じしなければならない。

 形式上、協力してくれているというのに、こんな一方的に押し付けるような形になってごめんね」


 あくまで優しい口調で話すアルナレイトだが、その言葉の裏にあるのは裏切りなど絶対に許さないという意思を感じさせる。

 それは、敵に対し向ける殺意にもにた気配を帯び、事の重大さを理解させるに容易かった。


 そのアルナレイトの言葉に、イリュエルだけは重圧感を覚えていないように了承した。


 「そうね……そんな技術に触れれられる機会なんて滅多にないのだし、私は断らないわ。

 たかが私の一生、その時間でたどり着ける境地などたかが知れてる……そうおもうから」

 「そんなことはない。イリュエルの腕は確かだよ。

 でも、さらにイリュエルの作刀技術を高めてくれるものでもあるだろう。あの技術は。

 ゆえに禁忌とされるものでもあるが、それを扱い作られたものを使う俺達にも、裁量は求められる。

 必要最低限の犠牲で、すべての事を済ませることがね。

 そして、その修練、修行と皆の腕を振るうための場所も用意する。

 イリュエル。君は必ず名匠になるよ。君の刀を使ったことがある俺が言うんだ。命を預けられる立派な仕事の出来だよ……なんて、偉そうに言えたものではないかもしれないけれど、ね」


 私も、イリュエルの打った刀は本当に立派なものだと思う。

 刃がすり減ってきて、新しいものに打ち直してもらおうと思っているので、その刀がさらなる業物となるのなら、その刀に置いて行かれないくらい、腕を鍛えなくちゃね。


 「さて、話は戻す。

 二人はもう少し時間が必要そうだし、いつでも大丈夫だからな。

 それで、ここにいる皆には話したけど、残っていた人間の村のすべてを統合し、その近辺の領域を手に入れた俺達には、村にいた手先の器用な者や鍛冶職人を技術班に配属させる。

 彼らの腕は、マグナスさんが見てくれたところ、やはりイリュエルやマグナスさんに及ばない。

 しかし、成長の余地ありありの鍛えがいのある連中だ。

 その中でも才能のある者を、返答を待つ二人と同様に、技術班の機巧種(エクス・マキナ)技術部門に配属させる予定だ。せいぜい扱き使ってやってくれ!」


 そう。人材が増えたことで、2人しかいなかった鍛冶職人も増やせるかもしれない。

 無論イリュエル並の技術にならなければ、私やアルナが使うには少し不安が残るけれど、そこはカレンとケルシーの目利きに期待する。


 その後、広間に到着するまでの最中にカレン、ケルシーも機巧種(エクス・マキナ)技術班に加わることが決まった。通常技術班の上位に位置する班となるが、あくまで機巧種(エクス・マキナ)関連の技術以外のことを指導することになるみたいだった。


 その後は、施設の設備紹介になっていった。


 「居住区には食堂や、俺の元の世界の風情がある浴室等々様々な施設を集めてある。

 実際に利用して体験してみてくれ。その他にも、何か追加してほしい施設の要望を出してくれ。

 此処は地下だからな、閉塞感を覚えるようなことは避けたいし。

 なによりも、快適に過ごせた方が英気を養えるもんだしな!」


 なんだかすこしわくわくしているアルナ。

 こんなアルナを見るのは初めてだが、いつもどこか大人びて見えて、そして子どもっぽい一面ものぞかせるアルナの珍しいはしゃぎ様に、すこし安心した。

 最近のアルナは特に、村の争いのことで思い詰めているようだったから。

 今もそれは変わらないけれど、すこし、穏やかになったようにも、受け入れつつあるようにも見えた。


 「隣接するのは大型訓練場。闘技場のような形状だが、まあ、模擬戦ができるようにいろいろと変形するみたいだ。

 ぶっちゃけ、設計図を頭に叩き込んで何度もリテイクを受けてようやく完成したから、俺もなにがなんだかよく覚えてないんだけどな。

 だが、防御装甲と同じ材質だから多少の無茶でも耐えられるはずだ。

 壊れたら俺が直すから、その時は言ってくれ。

 他には、資材庫に大型魔力貯蔵槽、談話スペースなどいろいろ至れり尽くせりだ。

 居住区もいざとなったら地上の市民全てを収めるスペースがある。

 完璧に安全……ってわけではないが、先だってクロムの咆哮は防げる。心休まる場所になるよう今後も改良していく予定だ」


 アルナの説明が終わると同時に、大きな空間に出る。

 カウンターに長テーブルなど、大人数が利用すること前提のインテリアがあり、装飾品も多く、冒険者組合の集会所をさらに綺麗に、スペースを大きくしたような感じで、大きな地図の載っている右手の壁以外のすべての壁に大型テラスが付いており、開放感のあるスペースだった。


 大きな地図のある方、その手前のに設置された大型の登壇台に立つのは、ヌルさん。

 しかしその様子はすこし、大人びて……というか、明らかに背が伸びていた。

 その雰囲気も変わっていて、一見わたしより4歳ほど年下のように見える……のだが、伸びた紺の昏い夜空のような長髪は、反射する光が星空のように見えた。まるで星空を宿す髪に、幼いはずが大人びて見える不思議で妖しい気配を放つ容貌。


 そんな彼女が、鈴のような声で言う。


 「気に入ってもらえたかな。

 これだけの施設を建造してもまだ尽きない峡谷の資源には正直驚いた。

 再計算の元、推定ではまだ十分の一も使い切れていない。

 多重の鉱脈が絡み合っているため採掘は高度な技術が要求されるが、そのおかげで余所者がやってきて、奪っていくようなこともない。

 世界蛇たるハーレレートを相手にできるのは、この世界でも限られているだろう。

 それで、アルナレイトの説明では不十分なところを私が説明しよう。

 もちろん一度ですべて理解することはできないだろう。わからなかった所は聞いてくれ。

 では、始める。席に着け」


 こうして、インテグラル・レギオンの詳細な説明が始まり、そして次に今後の地上街の扱い等についての話が始まったのだった。

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