表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/121

第117話 能力お試し。

 よし。ここなら大丈夫だろう。

 

 私はそう意気込んでこの場に足を運んだ。

 

 ここはインテグラル・レギオンの訓練場の中でもっとも強固な外壁を持つ部屋で、武器の実験等にも使われているらしい。

 私は空いている時間を部屋の端末で確認して、そして今に至る。


 とりあえず、誰にも迷惑がかからないここなら、スキルを使用しても大丈夫だろう。


 ということでいざお試し!


 まず初めに、一番気になっていた【共鳴龍化】から。


 使用する。と念じると、


 『初回使用につき、このスキルの詳細を説明します。

 このスキルは、肉体の組成、組織を龍のものへと置き換え、身体能力を高める効果を持ちます。

 その他の機能としては、

 ・『龍翼』

 飛行が可能となる翼を生やす。

 共鳴元が"光素龍フォルヒェンリーヒ"であるため、放出器官と、形成した翼膜状の力場があります。

 属性素や魔力を放出し、高速飛行が可能です。

 ・『無属性素炉心』は、スキル発動後に設定した属性素を、他の属性素や魔力を投入することで、設定した属性素を生み出します』


 あれ、なんでユウトは光素なのに、私は無属性素の炉心なの?

 

 『解答します。

 それは、彼が保有していたスキル【光龍化】には、光の属性素を支配する龍、フォルヒェンリーヒの魂があるため、光の属性素になっております。

 ですが、【共鳴龍化】にはその魂が存在しないため、無属性となっております』

 

 なるほど。魂の有無が属性を決めているんだね。

 それって、誰かの魂を宿らせることもできたりするのかな?

 

 『理論上は可能です』


 何の気なしに聞いてみたけど、できるんだ。覚えておこう。


 それじゃ早速、実践!


 まずは龍化から。


 『龍化には段階がございます。

 一つは一部龍化。

 これは肉体の一部のみを龍化させることを指します。翼や鱗、目や角といった部分も可能です。

 肉体に本来存在しない部位は魔力を用いて形成します。龍化は現在、光龍フォルヒェンリーヒがモデルとなっております。

 二つめは不完全龍化。人と龍の半分、あるいは3分の2ほどを龍に変じ、肉体を強化します。

 三つ目は、完全龍化。

 全身が巨大な龍となり、能力や効果を万全に発揮します。

 全ての形態で【嚮鳴】スキルの効果を高めますが、より高い段階ほど効果は高まります。』


 なるほど。

 とりあえず第一段階から!


 一部、右腕だけを龍に変えてみた。

 龍の体が自分の形に合わせて変形したみたいになっている。

 右腕から力が溢れてくるのを感じた。

 鱗と爪があって、武器を握るには少し厳しいかも。


 『『龍化』は自身の意思を反映します。武器を握り安いように形を変えることができます』


 とのことなのでやってみると、少し細くなって力も弱まったけど、刀を握れるようになった。

 刀がすごく軽く感じる。


 『肉体を龍へ置き換えている体積と面積が広く大きい程、龍の力は増します。それに応じて【嚮鳴】の力も上昇します』


 これは体の龍化部位の調整も大事そうだね………。


 『現在の戦闘効率を向上させつつ、戦闘動作を阻害しないように範囲を設定しておきます』


 お願いします!いちいち設定してたら時間かかりそうだしね。


 次に第二段階。

 両腕、両足や下半身、上半身だけを龍のものに置き換えてみると、右腕の時の力があふれてくる感覚がさらに高まった。

 実際に身体能力も上がっているみたい。

 第一段階も上がっていたけど、こっちの方が上昇幅は大きい。

 ただ、変身には魔力を消費する以上、何度も行うのは燃費が悪そう。

 全身を龍のものへと置き換えた場合でも、人の形を保ったままの場合は完全龍化状態にはならないらしい。

 全身を完全に龍へと変え、人の形を失い龍の形になった時、完全龍化状態になるらしい。


 そして完全龍化。


 『完全龍化は、己の肉体をそのまま龍のものへと置き換えていたものとは違い、

 人の形から龍の形へ変じたときにのみ起こります。』


 すこし意識が飛んで、はっきりした時には視線が高くなっていた。

 体は、ユウトが龍になった時に似ている龍だった。


 『完全龍化状態では、属性素炉によって作り出した属性素で肉体の再生が行える上、エネルギーの圧縮率の上昇、身体能力補助の効果が向上します』


 体から止めどなく力があふれてくる。体が巨大化した感覚はすぐに馴染んだけど、翼は一回使ってみないとね。


 幸いこの訓練場はかなりの広さがあるので、試しに飛行してみよう。


 っと、その前に。


 『龍翼』に使用するためのエネルギーを作らなきゃ。

 

 えーと、ユウトの真似をするなら光の属性素にした方がいいのかな。


 『警告します。光素による飛行は非常に危険です。

 制御が非常に難しく、光素構成要素の光の速さをそのまま肉体に抽出反映した場合、光速移動による反動と空気膜で大ダメージが発生します』

 

 え、じゃあユウトはなんで出来てたの?


 『推測になりますが、ユウトはおそらく、移動時、全身を維持したまま光素へ変換し、攻撃の瞬間に肉体が耐えられる、かつ光速に近い速度で攻撃しているものと思われます』

 

 すご。私にもできるかな…………。


 『長年の経験による技術でしょう。推測且つあくまでも理論的に可能、というだけで成功する確率は非常に低いものと思われます』


 まあ、実際やってみないとわかんないしね。


 周囲の魔力を【魔力修操(マナマスター)】と【魔力共鳴(マナ・レゾナンス)】で集めて、『無属性素炉心』に光素を投入し、魔力を光素に変換。ある程度溜まったらそれを元に。

 

 いざ実行!!


 『お待ちくだ───────』


 龍翼に光素を集め、放出。

 私は即座に全身を炉心で光素化させ、壁に衝突前に体に戻す。


 ………あれ、できちゃった。

 とはいえ移動だけだけど。戦闘動作を行うには、もっと複雑になるだろうし、要練習だね。

 まあ龍の体でやるのはちょっと難しいけど、元の形のときならもう大体できそう。


 『………』


 龍化はこんなところでいいかな。

 次は【完全制動】。

 じつは、さっき龍の体を使いこなす際の感覚を掴むために、ちょっとだけ使っていた。

 戦闘時にこれはかなり使えそう。痛みで怯んだり、精密な回避をしなきゃいけない場面で、その動作を完全に行えるのはかなり有用だし。

 【戦闘練達】と併用すれば、敵の動や技を即座に防御、或いは模倣することもできそう。


 【万能装甲】【精魂支配(ソウルルーラー)】【識外者(アウトサイダー)】は相手がいないと使えないからまた今度だね。


 そういえば、この5個のスキルを作るのに、余ったスキルはどうなったの? 


 『回答します。【思考速度超加速】【術式解析】は【賢聖の叡智】に組み込まれ消滅しました。

 【行動予知】【変換強化】【事象刺錨】【効果伝播】は使われずにそのまま使用可能です。

 【精密動作】【急激加速】【技巧模倣】は【戦闘練達】となり、

 【衝撃吸収】【防御結界】【流動力場】【鉄壁防御】は【万能装甲】へ。

 【外在者(アウトサイダー)】や【幽魂剝離(エヴィスライト)】は【精魂支配(ソウルルーラー)】【識外者(アウトサイダー)】へと変質しました』


 なるほど。使い道のなかったのはそのまま残っていて、というわけね。


 残ったスキルを使ってみた感じ、【賢聖の叡智】にある思考速度加速の効果を使えば、魔術の構築や戦闘時の戦法選択、スキル使用に大幅なメリットが生まれそうだった。

 遅く感じる時間の中で、大量の思考をめぐらせて、スキルを併用できれば、どんな強敵相手でもうまく立ち回れそうだった。

 

 『報告します。【思念共鳴(レゾナンス・ウィル)】に外部からの連絡が入っています。お繋ぎいたしましょうか?』

 

 あ、うん。お願い。


 『聞こえるか?俺だ。レアン』

 『え、アルナ!?なんで!?』


 アルナはスキルや魔力を通じた手段を使えないはず。一体なんで!?


 『ヌルが俺の通信機能に、レアンのスキルによる情報伝達を変換して双方向通信できるようにしたらしい。これで俺も、一応はみんなの連携に加われそうだ。

 って、今はその話じゃないな。

 先の戦いで、クロム・ナバーロが俺達と行動を共にしたことを覚えているか?

 あいつが俺達、というよりかはレギオンのトップと話がしたいらしい。

 レアンには申し訳ないが、一応君がここの領主という設定だから、話をしてほしい。

 一応俺も同席するから頼んでいいか?』

 『う、うん、わかった。すぐ行くね!』


 いきなりのことに私は少し驚きながらも、すぐに地上の領主館へむかった。


 後になって分かったことだけど、普通は、どんな技術を使っても機械からスキルの通信を受信、変換することなんで出来ないらしい。

 それができるヌルさんの技術は、確かに異常なのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ