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疾風バタフライ  作者: 霜月かずひこ
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第20.5話

「……はぁ、つまんないな」


 卓球マシーンが吐き出すボールを打ち終えて、私はラケットを置いた。

 時計を見るとまだ5分しか経っていない。

 これじゃあ、暇つぶしにもならないな。

 華怜ちゃんとの約束までは時間が有り余っているというのに。


「もーどうしよ」


 最近の私はずっと変だ。

 大好きだった卓球がひどく退屈に思えてしまう。


「……華怜ちゃんも困るだろうな」


 たぶん華怜ちゃんは私を励まそうと思って誘ってくれたんだろうけど。

 今の私を見たら華怜ちゃんだってがっかりするに決まってる。

 

 これも全部越谷くんが悪いんだ。

 越谷くんがあんなこと言うから。

 

 ……ダメダメ。

 越谷くんに八つ当たりしても現状は改善されないよ。

 そもそもあれは私も悪い。

 それに越谷くんには助けてもらったこともある。

 怪我をして絶望していた頃、諦めない越谷くんの姿にどれだけ勇気を貰ったことか。越谷くんがいなかったら右に転向してまで続けようとも思わなかった。

 だから越谷くんに卓球の楽しさを思い出して欲しかった。


 ……でもその越谷くんを苦しめていたのは私なんだよね。

 無神経な発言で越谷くんを傷つけて。

 越谷くんは謝ってくれたのに引きずって。 

 なのにこうして越谷くんのせいにしようとしていたなんて。 


「はあーあ」


 私は今日何度目かわからない溜息をついて床に座り込んだ。

 ……もうわかんない。

 どうすればよかったのかな?

 どうしたらいいのかな? 

 仲直りの方法なんて私は1つしか知らない。

 でもそれじゃあ越谷くんを傷つけてしまう。

 越谷くんからすれば卓球はもう苦痛でしかないはずだから。 


「……教えてよ越谷くん。どうすればいいのかな?」


 馬鹿だな私。

 越谷くんが来るはずないじゃん。

 しかしその時、


「朝倉っ!」


 聞こえるはずのない声が聞こえてきた。

 

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