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疾風バタフライ  作者: 霜月かずひこ
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第8.5話

「はーあ。越谷くん全然気づいてなかったな」


 ガタンゴトン。

 電車に揺られながら私は一人ごちる。

 勇気を持って話した私の苦労をねぎらってほしいよ。

 だいたい越谷くんは、そろそろ気付くべきだと思う。

 私と越谷くんが同じ学校なのが偶然だとかそんなはずはない。

 あんなに露骨に構うのだって越谷くんに気付いてほしいからだ。

 大して好きでもない人にそういうことをするとでも思ってるのかな?

 さすがにもっと直接的に言えば気付いてくれるんだろうけど。

 「あなたを追いかけてきました」なんて恥ずかしいこと言えるわけないもん。

 ……って考えてたら、なんかムカついてきた。


「越谷くんのバーカ」


 大好きな卓球が怪我で出来なくなって。

 自分は世界一不幸な女の子だって悲劇のヒロインぶってた。

 それでも癒えない傷を抱え、荒んでいた一年と少し前の私。

 そんな彼女を救ってくれたのは越谷くんなんだよ?


 私たちが出会ったのも、ちょうど今日みたいなよく晴れたある日。

 家にいても喧嘩になるからとおじいちゃんの家に預けられた私の前にその男の子は現れた。当時の越谷くんはサーブもドライブも健在だったけど、お世辞にも才能があるとは言えなかったから。この時の私は越谷くんを馬鹿にすることで溜飲を下げていた。だけど、どんなに悔しい思いをしても最後には楽しそうに卓球をしている越谷くんを見て私の心は動かされていく。

 

 ……頑張ろう。

 もう一度くらい頑張ってみよう。

 越谷くんを見てたら自然とそう思えた。

 どれだけ勇気を貰ったかなんて、きっと越谷くんにはわからないよね?

 おかげで卓球をもう一度やろうと思えた。

 そして越谷くんを好きになるのに時間はかからなかった。


 だから高校に入ってびっくりしたんだよ。

 越谷くんは卓球やらないって言うし。

 華怜ちゃんに聞いたらイップスになったらしいって言われちゃうしさ。

 あの頃の情熱はどこへやら。

 だるそうに卓球をしている越谷くんを見るのは辛かった。

 

 ――でもいいんだ。

 今度は私が励ます番だから。

 それに……きっと越谷くんならまた立ち上がれるって私は信じてる。

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