第4話
「ただいま。」
「お帰り。どうしたの?今日は随分早いじゃない?」
「あ、その、体調が悪くてさ。だから早く帰って来たんだ。」
「あら風邪?熱はない?食欲はある?」
「食欲はあるよ。熱は今から測る。」
俺は体温計で体温を測った。
「仮病だから熱はないんだけどな。」
そう思いつつ計測結果を見ると三十六度九分だった。
「たぶん自転車をこいで来たから、ほんのちょっと普段より体温が高いのだろう。」
と俺は思った。その結果を母に見せると
「熱は無さそうね。何か食べたい物はある?」と聞いてきた。
「そうだなぁ。枇杷が食べたい。」
食べたい物を聞かれてビワコのことを思い出してから何故か無性に食べたくなった枇杷をリクエストした。
「枇杷?枇杷ねぇ。もう旬が過ぎちゃっていると思うけど、とりあえずお店で探してみるわ。」
「うん、ありがとう。俺部屋で寝てるから。」
「うん、分かった。」
俺は自室へ行き、そのままベッドへ倒れ込んだ。窓が開いていたので夕暮れの涼しい風が部屋に入ってきていた。
「それにしても夢に出てきたのが何でビワコだったんだろう?おじいちゃんが出てきたら『医者を目指してほしい!』という、おじいちゃんからのメッセージだと思えるけど、ビワコには…伝えて…なかったよな?医者に…なるって…。」
ビワコが夢に出てきた理由を考えているうちに、俺はいつの間にか眠ってしまった。
「…ユウジくん。…ねぇ、ユウジくん。」
自分を呼ぶ声に気が付いた時には、また俺は中学校の教室にいてビワコが目の前にいた。
「ねぇ、ユウジくん聞いてる?私は主人公が好きなんだけど、ユウジくんの好きなキャラは誰?」
「(確かこれは中学の時、ビワコに実際に聞かれた質問だな。え~と、あの時は確か)俺が好きなキャラは中佐だな。度が過ぎた子煩悩なところが面白くて好きだな。あと死に際がカッコいいしね。あと好きというか印象深いキャラは賢者の石を作っていた医者が結構印象深いかな。」
「えー?あの医者って人体実験してたじゃん。いくら罪悪感から隠れていた町で医者をやっていたとしても私はあまり好きじゃないな。」
「俺も別にそんなに好きって訳じゃないけど、医者が少ない所で医者をするって結構大変だと思うんだ。そこに少し憧れるかなって…。」
「憧れるって、ユウジくんは医者を目指してるの?」
「え~と…その…目指してるよ。悪いかよ。」
「ううん。医者を目指すなんてすごいと思う。」
「誰にも言うなよ!まだ家族以外だとヒロシにしか言ってないんだからな。」
「分かった。誰にも言わない!秘密にする!」
そこでハッと目が覚めた。ゆっくりと今見ていた夢での出来事を思い出していった。そして昼間には思い出していなかったことに気が付いた。
(そっか。俺、ビワコに言ってたんだな。『医者を目指してる。』って。)




