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ところで、俺のステータスを見てくれ、こいつをどう思う?


 

 俺は黒ずんだ木の天井を見つめながら、硬いベッドの上に背中を預ける。


 前世とは違って、この世界の人間は生命体としての強度が高いのか、あれだけ3人にしごかれて、しごかれて、しごかれまくった1日を過ごしていたのにも関わらず、こうしてベッドに15分も横になればグッタリとした疲れも感じなくなってくる。



 俺は思考すらも支配していた疲れが癒えて来ると、そのままベッドで横になりながら虚空を指でタップする。

 すると、目の前には青く透明なパネルがパッと浮かび上がり、そこには俺の個人情報が羅列されていた。




++++ステータス++++

■名 前:グリッド

■レベル:7

■職 業:異世界転生者

■パネル:特殊-Ω99



■所持スキル

 『異世界転生者』・・・???

 『ピーピング』・・・対象の『ステータス』を確認することができる。

 『マジックマスター』・・・すべての魔法を習得することができる。

 『スキルマスター』・・・すべてのスキルを発動することができる。

 『アーマーマスター』・・・すべての防具を装備することができる。

 『ウェポンマスター』・・・すべての武器を装備することができる。



■能力値

 ・力 :134

 ・体力:151

 ・魔力:122

 ・精神:113

 ・早さ:129

 ・運 :255



■所持ポイント:6pt

 →スキルパネル



+++++++++++++





 俺の個人情報が羅列されている"ステータスパネル"の1番下にある"スキルパネル"を俺は続けてタッチする。





ーーーースキルパネルーーーー


1マス:50,000pt



○『ウェポンマスター』習得済み

  2段目:『真剛力』

  3段目:『????』

      『????』


○『アーマーマスター』習得済み

  2段目:『神剛体』

  3段目:『????』


○『マジックマスター』習得済み

  2段目:『マジックラーニング』

  3段目:『????』

      『????』


○『スキルマスター』習得済み

  2段目:『スキルラーニング』

  3段目:『????』

      『????』



ーーーーーーーーーーーーーー




 俺のスキルパネルは4列あり、それぞれのスタート地点となっているスキルは最初から習得している。次のスキルを習得するためには、レベルアップと共に入手したポイントを好きな列へ割り振ることで、次のスキルを入手することができる。


 次のスキルポイントを習得するために必要なポイントは、初期位置に近いパネルであれば「1pt」が主だ。段々とスキル習得を重ねていくと必要数が増えていくのだが…


 なぜか、俺は最初から「50,000pt」もポイントを習得に要する。

 これでは次のスキル習得などいつになることやら…


 むしろ、一生かけても次のスキルを入手できない可能性すらある。





「スキルさえ習得できれば…」



 俺はあいつらにいじめられないと考えた。

 スキルを習得すると、そのスキルに応じてステータスまで上昇するおまけ付きだ。

 つまり、スキルによって戦略の幅が広がり、ステータスの向上によって戦術の質が増すというわけだ。


 しかし、すぐに俺はそんな考えを振り払う。

 スキルなど習得しても勝ち目などないからだ。




 俺は横目で隣のベッドも見つめる。

 そこにはスヤスヤとこの世の邪悪などまるで知りませんと言った無垢な寝顔をしている赤子の姿があった。


 俺の妹だ。

 そんな妹へ俺のスキル『ピーピング』を使ってみよう。





++++ステータス++++

■名 前:フレイア

■レベル:1

■職 業:農民

■パネル:農民-Ω99



■所持スキル

 『農作業適正・豊穣神』



■能力値

 ・力 :171

 ・体力:155

 ・魔力:201

 ・精神:225

 ・早さ:188

 ・運 :32



■所持ポイント:0pt

 →スキルパネル



+++++++++++++






 …お分かりいただけただろうか?

 そうだ。


 産まれたばかりの妹ですら、このステータスである。

 成長し、戦闘用の職業を持つ彼女達のステータスがエグいことになっているのは説明する必要はないだろう。



 俺がそんなことを考えながらもため息を吐くと、同時に、家の扉がガチャリと開く。




「グリッド、もう帰っていたの?」

「あ…うん」


「お腹空いたよね…すぐにご飯にするね」



 そう俺に優しく微笑みかけながら声をかけてくるのは、この世界の俺の母親である。

 畑仕事のために分厚い衣服を纏い、頭には白い布が巻いてあった。


 俺の母親ながら、その美貌はまるで女神のようだ。

 彼女が頭に巻いている白い布を手で取ると、包まれていた茶色の髪が真っ直ぐに降りてくる。



 畑仕事で泥だらけになった衣服を生活魔法でサッと洗うと、そのまま母は台所へと向かっていった。




 俺の母親にも『ピーピング』を使ってみようか。





++++ステータス++++

■名 前:レイシャ

■レベル:67

■職 業:農民

■パネル:農民-Ω99



■所持スキル

 『農作業適正・豊穣神』

 『生活魔法適正・極』

 『火魔法適正・紅天』

 『力上昇・超絶』

 『体力上昇・超絶』

 『魔力上昇・超絶』

 『精神上昇・超絶』

 『早さ上昇・超絶』

 『状態異常耐性・上』

 『料理適正・星5』

 『斧術適正・斧聖』



■能力値

 ・力 :3,504

 ・体力:2,221

 ・魔力:5,001

 ・精神:4,776

 ・早さ:3,058

 ・運 :33



■所持ポイント:

 →スキルパネル



+++++++++++++





「ねぇ…グリッド!」



 ステータスを見つめている俺へ笑顔で振り返る母親

 まるで俺が喜ぶことを期待するような様子で口をひらく。



「今日はエンシェント・ディザスター・クリムゾンドラゴンのステーキにするよー!」



 母がそう笑顔でスッと俺に見せてくるのは、どの部位か分からない龍の肉だ。

 死してもなお、空間が歪むほどの熱気を帯びている龍の肉を、母は素手で何食わぬ顔で持ち上げている。



「わ、わ…わーい!」

「ふふふ!」



 俺がなけなしの演技で喜んで見せると、母親は満足そうにしながら台所で包丁の音を響かせ始めた。






 どうやら、この世界での人間は、食物連鎖の頂点へ力で君臨しているようだ。







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