オマージュについて
主人公蘭が映画業界で働くことを夢見る人間であること。
また、ジョンが映画関係者を多く身内に持つという環境で育ったことにより、二人の間で交わされる会話に、たびたび映画の共通認識、また作品へのオマージュがございます。
その他、ジョンが日本育ちの日本人ではなく、アメリカ人であることを意識づけることを狙いとし、アメリカにおける重要人物のスピーチへのオマージュ等がございます。
それらオマージュについて、一覧として記します。
なお、作中で言及しているものや、その後重複するものについては、除外します。
◆タイトル「THE CRAP オブ・ザ・くず、バイ・ザ・くず、フォー・ザ・くず」
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンによるゲティスバーグ演説より。
Ⅰ)ジョン・マシュー・バーガー
「十字軍志望?」
使命感と義務感を胸に、絶望的戦いに赴くこと。
「キング牧師になら、なってもいいよ」
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア。
一月の第三月曜日はキング牧師の日(Martin Luther King Jr. Day)。
前述のリンカーンによる、奴隷解放宣言百年後に、リンカーン記念堂の前でスピーチ(有名な"I have a dream.")を行った。
「黄色い帽子のおじさんにはならないわよ」
テレビアニメ『おさるのジョージ(原題 Curious George)』より。
「あなた、ウディ・アレンにでもなる気? それともロマン・ポランスキー?」
映画監督二名。
キーワードは未成年の少女。あとは察していただきたい。
ドイツ系云々についても、同様に。
「ここにはクラークがいないわ」「彼はアメリカ人ではなく、クリプトン人だからね」
映画『スーパーマン(原題 Superman)』より。
「仰せのままに、日本のキャサリン・トラメル」「アイスピックの用意はないから、安心して」
映画『氷の微笑(原題 Basic Instinct)』より。
Ⅲ)仁科 賢治
「『もっともっと大きかった』とごねられて、おなかを破裂させる寸前の母カエル並み」
イソップ寓話『蛙と牛』より。
「黴臭い犬小屋に置いてきたはずのチャッキー人形」「ブードゥーナイフ。赤に白の蛇のような波線。黒い柄に白のドクロ。黄土色の葉」
映画『チャイルド・プレイ(原題 Child's Play)』より。
Ⅳ)仁科 充とジョン・マシュー・バーガー(1)
「イエローブリックロード」「こぼれ落ちたルビーのリボンを拾って靴にくっつけ直したら」「かかとを三回打ち鳴らせば帰れる場所。ホームは、まだあったのだ」
映画『オズの魔法使い(原題 The Wizard of Oz)』より。
主演はジュディ・ガーランド。
「あなた達が『トムとニコール』じゃないのはわかってる」
ハリウッド俳優トム・クルーズとハリウッド女優ニコール・キッドマンのこと。
おしどり夫婦として有名だった。
「これでは大量の睡眠薬入りミートボールスパゲッティを、いつ食べさせられるか知れない」
映画『殺したいほどアイラブユー(原題 I Love You to Death)』より。
リバー・フェニックスも出演している。
Ⅴ)仁科 充とジョン・マシュー・バーガー(2)
「レスタト? ルイ? どちらも好みじゃないわ」「トム・クルーズもブラッド・ピットも、俺の美貌の前ではかすむから、しかたない。リバー・フェニックスがもし生きていたら、いい勝負だったかも」
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(原題 Interview with the Vampire)』より。
インタビュアー・ダニエル役は、当初リバー・フェニックスにオファーがあったが、急死したため、クリスチャン・スレーターが演じた。
原作者アン・ライスとそのファンは、メインキャラクター、レスタトの耽美で退廃的美とイメージを異にすると、トム・クルーズのキャスティングに不満だったが、減量と演技力、美貌によって納得させたエピソードは有名。
「君はジュリア・ロバーツじゃないし、俺もダーモット・マローニーじゃない。いつかの余り者同士、結婚の約束もしたことはないし、俺の黄色い帽子のレディはキャメロン・ディアスじゃない」
映画『ベスト・フレンズ・ウェディング(原題 My Best Friend's Wedding)』より。
この作品についてのみ、役名ではなく俳優名なのは、他映画作品に比べ、キャラクター名がさほど浸透していないため。拙作キャラクターのジョンが、役名をとっさに思い浮かべられなかった。
キャラクター名を会話内で引用している他映画作品は、この物語の時代において、大変知名度が高かった。
Ⅵ)結城 充
「わたしの『猿の手』が君江さんの髪を引っ掴み、生け贄にしようとズルズル奈落へ引きずり込んでしまったかのように」
W・W・ジェイコブズ作 短編小説『猿の手(原題 The Monkey's Paw)』より。
「リチャード・キンブルを演じたのは誰だったのか。妻殺しの冤罪で死刑を宣告され、片腕の男を追うために逃げたのではなく」
映画『逃亡者(原題 The Fugitive)』より。
テレビドラマシリーズのリメイク版。