その9制服
ガチャを回すと何故かカプセルの中から学校の制服が出てきた。
「……………」
「……鞘音?それはなんなのかな~?」
向日葵の冷たい声は俺の背中をゾクゾクさせる。これはヤバい。軽蔑されている。
「え?いや。良く分からない」
俺はそんなに制服に飢えてる訳じゃない。
うちの学校の制服が出てくるなんて。
真姫さんも軽蔑の視線を………浮かべてないな、うん。この人昔から冷静と言うか無関心だったから。
いや、でも俺たちを守ってくれてるからそうでもないのか。
「……これ。もらっていいの?」
制服を受け取りジッと見てくる。変態扱いされるだろうか。
制服をマジマジと見ている。
「え、ええ。あ、でも嫌なら気にしないでくださいね?もう一回……ん?」
ガチャには大抵紙切れが入ってる。他の種類の紹介みたいな奴。
竜之頂高校制服(冬服)
女子から可愛いと人気のある制服の強化版。
各種耐性が強化されている。
レアリティ☆☆☆☆
なんか、まんまゲームの防具っぽくなってきたな。
真姫先輩は、静かに微笑むとそれを受けとる。
「ありがとう。遠慮なく使わせてもうよ。これからも生き残ろうね」
「は、はあ。喜んでもらえたならいいけど」
「うん。また、見回りに来るよ。気をつけてね……そうだ」
行きかけて振り返ると口を開く。
「その力はあまり人に話さない方がいい。
悪い奴等に利用されそうだから」
そう忠告すると手を振って言ってしまった。相変わらずちょっと変わってるのかな?
これが他の女子ならセクハラ扱いされるだろう。
それよりも今のところまともなガチャって木刀しか出てないんじゃないか。
ともかく向日葵を連れて玄関に入ると、トタトタと鈴音がエプロン姿で現れた。
「お帰り、ダーリン。遅かったね♪
ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も・私にする~?」
「ぐはっ!?」
お約束な展開に精神的ダメージで倒れそうだ。将来言われてみたいフレーズを!
しかし、隣からの殺意が俺を正気にする。
「鞘音~?この子は誰なのかな~?んー?」
頭を両腕で挟まれてぐりぐりされる。
「いてててててて!?お、おいこの子は!」
「この子は?なに!?」
答えようがない。妄想から誕生したって言ったら変態扱いされるだろう。
まてよ?むしろ受け止めてくれるか?幼馴染みだから!
「よ、良く聞いてくれ向日葵。この子はな」
「どーせいとことかそう言うんでしょ?」
「違う!俺のガチャから生まれたんだ!」
「変態!」
秒でぐさりと心に刺さった。しかし、めげない。
「いいか、向日葵?俺は学生だ。学生がJKと付き合いたいのは変態じゃない!普通だ!」
「うう。そうかもしれないけどなんとなく変態?」
「確かに十年立っても同じことを言うかも知れない」
「やっぱり変態じゃない」
「くっ!でも、幼馴染みだから、受け入れてくれ!」
「……ともかくお腹空いたよ。上がっていい?」
呆れたのか。いや、どうでもいいんだよな。この話題はスルーするのか。だよな。
「ちょっとー、向日葵は鞘音のこと受け入れないなら帰ってよ」
どどんと仁王立ちする鈴音。手にもつお玉がキラリと光る。まさに浮気を疑う新妻感がある。
「はぁ?なに呼び捨てしてるのよ。私は昔かこの家に出入りしてるんだからね」
「でも、鞘音の性癖を受け入れないなら帰ってもらえる~?」
性癖とか女子が口にしないで。わいわいと玄関で揉めてるのもなんだしな。
俺は外に出てガチャを回す。
さっき思ったけど家の守りをどうにかしないと。向かいの家はもうなにがあったのか窓ガラスが割られたりしている。暴徒か、それとも魔物か。
おかしな話しだ。こんな状況なのに冷静に受け入れているんだからな。心のどこかでゲーム感覚でいるのかも知れない。
ガチャを回すとカプセルが出て開けるとシールみたいなのが出てきた。
結界札
ペタリと張られた場所は結界で守られる。
一度張ったら半年は持つので長持ちだよ。
続いて更に回すと、出てくるのは弓矢だ。
風の弓矢
風の神に愛された弓矢。魔力を乗せて放つとどこまでも矢が飛んでいく。矢は魔力で作れる。
レアリティ☆☆☆☆
ふぅ。今のでドッと疲れた。これってチートだよな。
「おーい。鞘音ー?なにしてるの?」
「そうだよ。この妄想女子をなんとかしてよ」
「いいでしょ?あなたは鞘音と付き合ってないんだからね。それにあなたがアプローチしないから私が生まれたんだよ?
どうこう言われる筋合いはないんだから!」
「わ、私は鞘音のことなんとも思ってないもん!」
ムキにならないでほしいな。なんと言うか俺が空しくなるから止めてくれないか。
鈴音のことは俺も幼馴染みとして見てるからそう言われてもいいんだけど。
女子として見れるけどそんな風に見たら今の関係が崩れるからな。
つづく