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「ああ、来てくれたんだ!怖かったー!」

向日葵はそう言いながら抱きついてくるので、こんな時にもシャンプーのいい匂いがした。胸も当たるし。柔らかい。いやそうじゃなくて!




「いや、あの、離れてくれ!」

「うー、無理。怖かったし」

なにがあったのか。分からないけど、無事なのは良かった。


「お父さんとお母さんは?」

「まだ、帰ってないから心配してるんだー」

こんなとこ誰かに見られたら恥ずかしい……て。あれ、足軽兵士の群れ!丁度徘徊していたのだろう。

それに日暮れ時にはああいうホラー系のが出るのか。


慌てて向日葵を引きずりつつ玄関に入って戸を閉めようとして誰かが足軽兵士に向かっていく。

制服姿を翻しその人は、足軽兵士をやっつけていく。空手かな?強い。て、あの人は……。




すぐに倒すと魔石を拾って戻ってくる。

「大丈夫、二人とも」

その人はそう聞きつつも無表情。高校の先輩だ。風が吹いてポニーテールの髪が揺れる。モデルみたいな女性。誰もが憧れるけど告白した奴は、無関心に撃沈している。


近くに住んでいるので小さい頃はよく遊んだこともある。

「あ、真姫さん、助けてくれて、あ、ありがとうございます!」

「うん。無事で良かったけど二人は外でいちゃつかない方がいいよ?」

「あわわ!こ、これは。おほん!ま、真姫さんは大丈夫でしたか?」

慌てて離れる向日葵を微笑ましそうに眺める。


「うん。なにがどうなってるのか分からないけど、お年寄りが無事かどうか見て回ってる」


「そ、そうなんですか」

こともなげにそんなことを言うけど、命かかってるのに大丈夫かな。

まあ、道場に通ってるから強いことは強いんだけど。


「まあ、武瑠もいるから大丈夫だよ」

武瑠は、真姫さんの弟でそちらも格闘技を習ってる。ちなみに同級生でもある。


「避難指示とかも出てないから向日葵の家、両親が帰ってないなら一緒に来る?」

向日葵に問われ俺と真姫さんを交互に見ると答える。

「あ、私は鞘音といます。いいかな?」

「え?あ、ああ。いいけど」

反射的に答えたけどどうしよ。家には鈴音がいる。とは言え断れないしな。


「そう。じゃあ鞘音の家まで送るよ」

遠慮したものの頑として譲らないので苦笑したけど。

真姫さんを先頭に注意して進む。


夜には夜の魔物が出るらしくゾンビ見たいのが出た!

「うけけけけけけ!」

「ほけけけけけけ!」

「ワカイムスメェェェェ!」


「きゃあ!?」

向日葵が俺の腕にしがみつくので動きづらい。

片手に木刀を構えて向日葵を守る。


「はっ!」

だけど冷静に真姫さんがゾンビたちを得意の蹴りで仕留める。

でも、制服なのでスカートがふわふわと上がったりしてるので目のやり場に困る。


「大丈夫、二人とも」

魔石を回収しつつこちらに尋ねる。


「は、はい。ありがとう、真姫さん」

「うん。向日葵たちが無事なのはいいけどビビっててはいけないよ」

「そ、そうですよね。私、今だったらスキルを放たないといけないのに」

悔しそうに向日葵はうつむく。スキルか。なんなんだろうな。このゲームみたいな能力は。


「いや。でもこれからは気をつけないとね」

真姫さんは優しく向日葵の頭を撫でる。


「真姫さんは強いけど、レベルとかスキルはどんな感じですか?」

「レベル?あー、ステータスみたいのが見れないから分かんないけど、5かな?」

5だとこの辺の魔物は楽なのかな? それでも強いのは格闘技を習ってたからか。


「スキルは格闘家だから、以前より動きにキレがあるよ」

「そうなんですか。道理で」

「ま、そんなことはいいからいくよ」

「は、はい」

真姫さんに連れられて家に戻る。


「あれ?鞘音の家、いい匂いがする。お父さんとお母さん帰ってきたの?」

「あー、いや。違うけど」

「んー?」

小首をかしげる向日葵に説明のしようがない。鈴音のことはどう説明しよう。


「じゃ、戸締まり気をつけてね」

真姫さんが行こうとするので呼び止める。なにかお礼をしないと。


「その魔石いいですか?」

「ん?ああ、ほしいの?いいよ」

躊躇いなく渡してくれる。欲がないな。まあ、俺以外使い道がないけど。今のところ。


魔石を受け取り集中するとガチャが出る。

「え?なにこれ?ガチャ?」

流石の真姫さんも驚いてるな。

魔石をセットして妄想する。真姫さんへのお礼を。

心地の良い音と共に出てきたのは一つのカプセル。

そして、脱力感にとらわれる。やっぱ魔力的なの吸われてるよな。



つづく

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