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その4

「ねー?クーラーつかないのこの部屋?」

「ああ。なんだかさっきの震動でいかれたみたいだ」

あの震動。あの揺れ。あれが原因なのか。魔物みたいのが出ているのは。


「鈴音、この原因なにか知ってる?」

「知らないけどー。あつー。脱いじゃおっかなー?」

ワイシャツをぱたぱた仰ぐ。

「い!?や、やめてくれ!こんなとこで!」

「え?脱いでくれ?しょーがないなー」

いたずらっぽく笑ってワイシャツのボタンを外そうとするので慌てて肩を掴んで止める。


「か、からかうなよな!そんなこと言ってないって!」

「ふふ。えっち」

「あ、ごめん」

慌てて離れたもののこいつは。からかってる場合でもないだろう。


「取り敢えず出掛けるか」

「え?初デート?」

「ちげーよ。食料とか確保した方がいいと思って」

「流石、ダーリン。頭が回るわね」

「ダーリンは止めろ。今時そんな呼び方する奴いねーだろ」

「冗談だよー。鞘音、行こっか?」

俺と自然に手を繋いで部屋を出る。暖かい。

ホントに俺の妄想なのだろうか?


「待て待て」

慌てて離そうとするもほどいてくれない。

「なに?あ、そっか、ごめん」

鈴音はなにかに気づくと恋人繋ぎにする。

そうそうこれに憧れて……。


「ちがーう!」

「なによー?腕組む方がいいと?夏服だから密着感があるもんねー」

「いや、そうじゃなくてな。外は危ないから身を守るものを用意しないとさ」

「おー、そうだね。でも私がいれば平気だよ!」

どっからその自信があるのだろうか?

見た目か弱い女子なのに。


「なにが平気なんだか」

集中してガチャを出す。赤い石。ファンタジー小説のラノベっぽく魔石と呼ぼう。

その魔石をセットしてガチャっと回すと出てくるカプセル。


なにが出るかわくわく……ん?なんか布切れみたいなのが入ってる?



鈴音のパンティー(下)―あなたの煩悩が爆発すると出ます。鈴音の魅力を上げる。

レアリティ☆☆☆☆☆(別の意味で)


「ぱ、ぱぱ!」

「あー、私の下着出すなんてえっちだー!」

「な、なんでここから出てくるんだ!?

いや、そんなことより今はなにか武器を思い浮かべたのに!」

流石にそんなもんが出てくると慌ててしまうが、こいつはにやにやしている。


「ふふ。ついでにブラジャーも出してよ?」

「やかましい!集中、集中!」

余計なことを考えるな。この変貌した世界で生き残るための武器を!


「あ、そっか。私に直接はかせてくれるために出したんだね?えっち」

「やかましい!魔石はあんまりないんだからな!取り敢えず頑丈な木刀にしよう」

集中して回すと出た出た。黒いカプセルを開けるともわんと煙と共に一振りの木刀が出た。俺の安物の木刀じゃなくて素材がよさそうな木刀。握ると手に馴染むので一振り二振り。



神木の霊刀―見た目ただの木刀だが山奥にある大木を切り崩して鍛えられた木刀。レアリティ☆☆☆

説明文にはこうあるな。


「お、かっこいー。えっちなだけじゃないんだー?」

「えっちなのはお前だ」

逆にえっちじゃない男子生徒なんていないだろう。


「えー、えっちだよ。でないと私なんて出ないもん」

「くっ。いいから行くぞ」

リュックを持って階下へと向かう。

さっきの下着ではないけど、鈴音の服とかも手に入れないといけないな。


一応、ペットボトルの水は持っていくか。

やべー、緊張してきたな。外に魔物がいるんだもんな。



外に出るのを躊躇ってると、鈴音が手を握ってくれた。


「ふふ。私がいるから大丈夫だって」

「その根拠のなさが羨ましいぜ」

「まあね。任せといてよ」

「褒めてないけどね?」

しかし、一人よりは緊張も和らぐか。手を繋いでるのは恥ずかしいけどな。




ガチャリと戸を開けて外を覗くと……誰もいない。田舎だから元々うるさくはないけど。近所の人たちは無事なんだろうか?


「さって。どこのスーパー?」

特に警戒もしないで外に出るので注意する。


「ば、ばか!気をつけろ!?」

そこへ、気配がして角を曲がって犬が駆けてくる。明らかに飼い犬とは違う筋肉質な奴だ。

こちらを襲う気満々だ。ヘルハウンドと視界には表示されている。


「ぐるるるるる!」

「鈴音!」

「おっと!?生意気な魔物め!」

スラリと形のいい足がヘルハウンドを蹴る。

その一蹴りで勝負はついた。壁に激突して絶命した。若干ピくついてからね。


「まさか?」

「ね?私は強いから、鞘音はそのままでもいいよ?」

にこりとそんなことを言う。なんか、駄目なヒモ男にしてしまいそうな台詞だな。


「良く分からんが助かる」

「えへへ、でしょー?わたしがいればいいよねー」

「はいはい。調子に乗るな。早く行くぞ」

「待った。ほら、素材回収しなきゃ」

「……つまり解体?」

「そうだね。私はしたくないからよろしくね?」

「いや、俺もしたくないんだけどね」

「か弱い女子にさせたいの?」

「はいはい。でも、素材なんてどうすんだ?」

ゲームでもないんだから実際に必要なとこ無いだろう。でも国の中枢が生きていればそういう設備を作るのかな?



ともかくなんで鈴音が素材のこととか知ってるのか。俺の妄想だから、色々影響を受けてるのかな。



つづく



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