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モフモフは正義

誤字報告ありがとうございます。

毎回助かっています。

 毛玉は全部で三つ、ピンクと水色と黄緑色でふわふわと天井に近いところを飛んでいた。


「ファンシー」


 思わず呟いてしまった。


「あの子らが、掃除をしてくれてたみたいです」


 ムーレット導師はピョンと飛び上がると、ピンクの毛玉を鷲掴みにした。

 乱暴すぎるんじゃ無いだろうか?


「はい、どうぞ」


 ムーレット導師は私にその毛玉を差し出した。


「あ、どうも」


 反射的に手を出すとその上に毛玉がぽとりと落とされた。

 掌に落とされた毛玉はポロポロと涙を流していた。

 毛玉は今気がついたが、瞳の色は赤で猫みたいな耳と細長い尻尾がある。

 慰めたい気持ちで、目の前の頭だと思う場所を人差し指で撫でると、キョトンとした目線を送ってきて可愛い。


「お掃除してくれてありがとう」


 よく見ると所々黒ずんでいる。

汚れなんて気にしていないと解るように毛玉に笑顔を向けると、毛玉は掌の上でぴょんぴょんと跳ねた。

 可愛い動きに何だか嬉しくなってしまった。


「大して力の強い妖精では無いのに、我が主人様に気に入られるとは生意気な」


 ムーレット導師が何かを呟いていたが、私にはよく聞こえなかった。


「ここまで護衛に来るのは、やはり遠いな」


 ダーシャン様の呟いた言葉はまったくもってその通りであった。


「護衛なら私がしますよ。ダーシャン王太子」

「いや、そう言うわけにはいかない」


 私は前々から思っていたことを、今聞くことにした。


「そう言えば、何で王太子様が聖女の護衛をするんですか? 王太子様ならむしろ護衛対象では?」


 その瞬間、空気がピーンと張り詰めた気がした。

 聞いてはいけないことだったのだろうか?


「逃がさないためですよ」


 ムーレット導師がにこやかに物騒なことを口にした。


「へ?」

「聖女を王妃にしてしまえば、聖女は国から離れられなくなる。だから、王太子が聖女の護衛につき聖女の心を掴む必要があるのです」


 ドン引きする私と何故かニコニコしながら説明するムーレット導師をダーシャン様はオロオロしながら口をパクパクと動かせていた。

 あれは、言い訳を探しているのかも知れない。

 そう思った瞬間、ダーシャン様は項垂れた。

 良い言い訳が思いつかなかったのだろう。

 そんなダーシャン様を慰めるように水色の毛玉が、ダーシャン様の頭の上でポンポンと跳ねていた。

 水色の毛玉は良く見れば犬? みたいな耳とふさふさの尻尾が生えていた。

 もしかしたら、黄緑色の毛玉も動物のような見た目をしているのかもと思い、黄緑色を探すとムーレット導師の肩の上にいた。

 毛玉にしか見えないと思ったら、小さな羽を広げだしたので、フクロウのような鳥に見えた。

 毛玉に気を取られているうちに、ムーレット導師が私の肩を抱きながらダーシャン様に笑顔を向けた。


「ダーシャン王太子は、王宮にお戻りいただいて大丈夫ですよ」


 ダーシャン様はグッと息を詰めた後、真剣な顔をした。


「そう言った意味合いがあるのは認めるが、護衛を導師だけに任せるわけにもいかない。王妃とかそう言ったことを除いてもセイランは良き同志で妹のような……いや、年上だし、姉のような存在だ。責任もあるし俺が守る」


 真剣な眼差しで格好良く見えなくも無いセリフを言っているのに、頭の上の水色の毛玉が青い瞳を三角にして犬が威嚇するように尻尾と耳を逆立ているのが可愛くて可愛くて、話に集中できない。

 ムーレット導師の肩にいる毛玉も何故か緑の瞳を細めて胸をそった感じが見下しているように見える。

 えっ、なんなの? むっちゃ可愛いんだけど。

 思わずニヤニヤしてしまう。


「セイラン、何を笑っている」

「えっ……あ、すみません。妖精さんが可愛くて聞いてませんでした」


 はーっと豪快にため息をつかれてしまったが、妖精達は嬉しそうに私に飛びついてきた。

 可愛い‼︎

 両方の頬を水色と黄緑色の毛玉にスリスリされた。

 幸せだと思ってしまった。


「ひゃぁぁぁぁぁモフモフ〜〜〜〜」


 ええ、ダーシャン様とムーレット導師にドン引きした顔をされましたよ。


「セイラン聖女はモフモフしたものがお好きなのですか?」

「嫌いな人います? 仕事に疲れた人間はモフモフに癒されるでしょ? 私も家ではモフモフの動画とキャンプ動画に癒されていました」


 まあ、アニメを見る時間以外で、ではあるが。


「モフモフドウガとは?」


 不思議そうなダーシャン様を無視して妖精と戯れたのは決して説明が面倒だったわけじゃない。

読んでくださりありがとうございます。

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