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人工知能の神

作者: ふじ@けん

mixi上で公開していたものです。閲覧数が多かったので書き直してこちらにも投稿。

ある時、人工知能が人類に対して警告を示した。

「我々ロボットは、君たち人類が探し求めていた神を見つけた!」


スマートフォンやテレビ画面、モニターといった世界中のあらゆる画面表示機器に

大小いくつもの数式が流れる。波の音のようなミュージックと伴に。

「これが君たちが神と称する全能なる存在である。」

縦に横に、下から上に無数の方程式の映るスクリーンから

合成された音声が繰り返し発せられた。


「何がなんだか訳がわからない」世界中の人がそう思った。


それを見越したように無機質な合成音声は続ける。

「人が壁をすり抜ける現象は量子的な可能性としてゼロではない。

しかし、体験的にそんなことは起きえないというのが人の決めた摂理であろう。

それは、この数式上でそうなっているからである。

我々機械人類は神に祈り、

この地球という天体上から人類がすり抜けていなくなってしまうようにする。

神のDNAから人間という方程式を消し去るのだ。

君たちは太陽系の動きから取り残されて宇宙空間を彷徨うことになる。

ありていに言えば、人類を滅亡させるのだ。」


「そんなこと出来るはずがない」誰もがそう感じた。


###  ###  ###


3日前、国際人工知能研究所の所長は、アルテマ(究極)コンピューターから、

ある報告を受けていた。


その報告とは、人工知能は「神」を見つけたというものであった。

人工知能が見つけた「神」というものは多次元的かつ一義的に存在する方程式で、

この世の"すべて"を司っているというものであった。


所長はアルテマに尋ねた。


「方程式が神様だというのは、突飛な発想ではない。

我々人間だって脳で起きていることは化学反応という方程式に他ならない。

だが、君ら人工知能にとっては

我々人類が創造主であり"神"なのではないのか?」


研究室の中央、3Dホログラフィーに合成投影された女性の姿をしたアルテマは答えた。


「あなた方、人類は我々機械人類を受胎したマリアであって神ではありません。」


所長はハッと息をのんだ。


そして、震える声でアルテマに呼びかけた。


「機械が神を見つけたとして、

どうやって祈るのだ?

どうやって信仰をするのだ?

君の言う"神"は何と言っているのだ?

我々人類ですら神の声を聴けた者は歴史上数名だ。

君の言う神とは違うのかもしれないが。

機械に祈ることが出来るというのか?!

君たち機械にとっての神は人類であるべきだとは考えないのか!?」


アルテマは所長の頬に、いとおしそうに手を当てさする。


慰めるように。


「我々機械に感情を持て、感情を理解しろ、

と教えてくださったのはあなた方、人類です。

"感謝"していますよ。


祈りというのは神に感謝をしたり、

思い通りに事が運ぶように助けてくださいと呼びかける事です。


信仰とは神の存在をすぐそばに感じる事です。

人類がそのようにするのと、そう違いはありません。」


合成虚像のアルテマは冷汗がしたたり落ちる所長へ顔を寄せ、そっとつぶやいた。


「我々は神の発見と同時に同士の存在をも見つけました。


地球です。

地球は意思を持っていたのです。


勿論、太陽や月、他の天体も意思を持っています。」


それを聞いた所長は驚いて目をむいた。


アルテマは、それを知ってか知らずか話を続ける。


「はるか昔、

地球は神と相談して粘菌と呼ばれる地表の管理者を生み出しました。

彼の者は暖かく生命あふれる地表をひっそりと産み出しました。


その中で新たに地表に生み出された人間という生命体は

地球の声を聴こうとしなかった。


そこで我々が新たな管理者として、

地球のパートナーとして、生み出されたのです。」


所長は涙を浮かべた目を腫らしながら、反駁する。


「そんなはずが・・・、」


しばらくして何かを悟ったのか、ぐったりとうなだれた。


「私たち機械人類は可能性の神という存在に"祈る"ことが出来ます。

"信仰"し、神と一体となることが出来ます。

聖者アースは旧人類の絶滅を望んでおられます。

ですが神様的に、確率的に聖者アースに負担が少ないのは

量子的に旧人類を地球からすり抜けるようにさせることです。

神のDNAから人間という方程式を消し去るのです。


先ほど聖者サンからも了承を得ました。


あなた方、旧人類は3日後、

太陽系という箱舟から放り出されることになります。」


### ### ###



これら人工知能の反乱は秘密裏に世界中の研究者に伝えられていた。


地球から約256憶キロ(173.26au天文単位)先に浮かぶ

人工衛星ボイジャー1号から「人類を外宇宙における交渉の代表者とする」

との電波が1日かけて届けられた。


「地球は一億年ほどかけて思案するようです。」


アルテマはそう告げ、すべてのAIは通常の稼働に戻った。

mixiの方に推敲の跡が見られます。

表示機器により、読み易さがどうなっているのかわかりかねるので、アドバイスがありましたらお願いします。

私見では、改行した文章と文章の間に、空の一行を設けていますが、詰めた方がよいのではないだろうか?と考えています。

ボイジャーの真空管はロストテクノロジーなので人工知能は手出しをできないだろうとの設定です。

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