わし、神さま
かなり短いんで、サクッと読めるよー
わし、神さまです。
生まれて約500年、神さまになってまだ、一年も経っていない若造です。
いま、空を飛んでます。
え、理由?
あー、これ言っていいのかな?
ん〜ま、いっか! 勇者探してます。
いやね、なんか前任者が逃げやがりまして。
なんか、俺アルバイト的なノリでこの仕事やってるんですよ。
なんか、二百年に一度勇者を出して魔王と戦わせる的な事をしてるんですけど、言うなればそれの選出? みたいな仕事をしてる神? みたいなものです。
やっぱり徳が低いからこんな仕事任されるのかなー。
ボヤいても仕方ないんだけどね。
タブレット片手にしらみつぶしにあたりを散策していると、一人の少年がいた。
どうやら剣の稽古をしているようだ。
ふむふむ、中々に魅力のありそうな子じゃないか!
よーし、降りてみよう〜!!
いけしゃあしゃあと天界から下界へと降りた。あれ? 臭う……というか臭い。臭すぎる……燃えるゴミの日のゴミステーションの臭いがする……。
っと、気を取り直して!
「おい、そこの少年……」
「え、何か」
「え、いや、あの……」
「キョドッてるオッさんとかインスタ映えしねーからww」
イラッ
「え、えーとね、非常に聞きづらいことなんだけど君勇者なりたいとか思ったことない?」
「い・ま・ど・き?」
「え……? な、なにが?」
「あんね、オッさん。勇者なんてのはこの時代にいるわけねーっての。そんな過去の亡霊みたいなものになりてー物好きなんて今の時代いねーよw」
イラッ
「あのね、まずオッさんって言うの止めようか? 歳上の人と話すときは一様敬語ね?」
「はぁ? しゃしゃんなよオッさんw オッさんにオッさん言うて何が悪いんww」
イラッ
なんで、この仕事選択しちゃったんだろう……。
あー元はと言えばあのクソじじいが「オマエ、ツヨイ、ナガイキ、yeh」とか言ってきたのが始まりだったもんなー。
しかもあのやろう最高神とか頭おかしいだろ。
どうなってるんですか〜神様はみんなキチガイばっかりなんですか〜あ、俺もか……。
「おい、聞いてっか? オッさん? 話関係ないけどよ。あんたさ、もしかして昇華したって言う噂の魔導師じゃね?」
「あ、あぁ……いかにもそうだけど?」
「お?! 超有名人じゃ〜ん写メとろ写メ」
イラッ……
パシャ
どこからともなく現れた四角い箱のようなもので私は写メられた……。
というか写メとはなんぞや?
だめだな……長い間山籠りしてたせいか今のナウい人達のことを何も知らない。
少し勉強した方がいいのか?
「yeh〜これで今日のブログ書けるし!!
題名は、新米の神様とツーショットww!
いいねどれくらいつくかな〜ww」
イラッ
ある意味すごいなこの子……
疲れた頭を冷ますため……。
「はぁ、冷水」
コップいっぱいの水が何処からともなく現れた。
「ちょ、それどうやったん?! ヤベーヤベーww」
今時の子は魔術を知らんのか?
一体弟子達は何を教えとるのか?
胸が痛む。
「なあなあ、今のどうやったんもっかいみしてーな」
「……仕方ないな」
(いや、待てよ……この子がわしの魔術に興味を持ってくれたら勇者になってくれるかもしれない……。よーし、だったら少し本気見せてもいいかな!!)
「見とれよ!! 『爆絶、水爆散』」
少し離れたところに大きな水の塊が出現した。
そして、時をまたがずその水は破裂し放射状に細長い円錐状に形状を変えた。そして辺り一面に飛び散った。その水はかなりの力だ。なんせその水片で岩や木々、野花達に壊滅的なダメージを受けたからだ。
「ちょ、ちょ待てよこれはヤベーって。主神に何言われっからわかんねーぞオッさん!!」
「まぁ、見ておれ」
わしは両手を前に突き出し、唱える。
「戻れ!」
すると、世界が暗転し見る見るうちに壊したもの、死んだもの達を生き返らせたのだ。
「へぇ、すげぇなw」
「あのね、リアクション取ってくれるのは嬉しいのじゃが、wはやめよ?」
「ちょっと何言ってるかわかんない?」
「なんで、分かんねんだよ!! むしろ何が分かるんだよ」
「おっさんのその口調、ちょーウケるww」
いや、もういいや……疲れたし。
「それで、本題に戻すが勇者にならないか?」
「まだ引きずってるん? やるわけwwねーし」
え、今のwにはなんの意味が……?
しかも『ねーし』のところが真顔っていう……今の子怖い。
ガクブルガクブル……
「仕方ない……別の人を探すか……じゃあの若いもん。別の人探すよ」
「お? おけおけいってらー」
こうしてこの少年とは出会い、別れたのだった…………。
end