美少女との出会いそして入部
初めまして。
鮎沢 夏樹です。
今作品は話を重ねるにつれて美少女が増え、少しずつヒロインが心を開いていきデレたりして、面白くなっていくと思うので、是非見ていってくださると有難いです。
あーあ。
ライトノベル作家になれねえかなぁ。
学校から帰ってきてすぐにベッドに横になり、羽柴駿は疲れて、眠たい目をこすりながら思った。
羽柴駿こと、この俺はライトノベル作家になりたいなどと言ってはいるが、本気でなれるなんて思ってはいなかった。
七月末。
俺は教室で静かに座っていた。
五時間目、始まりのチャイムがなり担任の木坂が教室へと入ってくる。
俺は毎週、この時間が嫌いだ。
この時間はなにを隠そう進路相談の時間なのだ。
この学校は進学校のため、大学に行くのが当たり前で、俺以外の生徒はほとんどが、目指す大学を決めている。
高校二年で決めるのは早すぎだと思うのだが、この学校はそこそこ頭のいい高校のせいか進路を決めるのが異常に早いのだ。
俺は大学に行きたくないと本気で思っている。実際、大学にはいかないつもりでいる。
そのためには大学に行かなくても、食っていけるだけの職が必要だった。
ライトノベルや漫画が好きだった俺が、最初になろうと思ったのはライトノベル作家だった。だが、書こうとは思っていてもなかなか書くきっかけを得られずにいた。
そんなある日の朝、俺はホームルームまで時間があるので中庭をぶらぶら歩いていた。
そのとき、中庭にあった掲示板に興味が湧いた。
掲示板には様々な部活の広告が貼られていた。
その掲示板の角に貼ってある極めて小さな紙にはこう書かれていた。
『ラノベ部 部員募集中』
怪しい。すごく怪しい。なぜか、決まっている。もうこの学校に通い続けて一年以上経つが、こんな部活みたことも聞いたこともねえ。
どうせだれかの悪戯だろうと思い、踵を返そうとしたところ、少し離れている所からこちらをじーっとみている黒髪ロングに雪のように白い肌をもつ美少女がいた。
見た感じ、同学年か。
じーっとこっちを見たまま、まっすぐこちらに近づいてくる。
あまり女性と話したことのない俺は焦って、その場を離れようとしたが、そのあまりの美しさに見とれてしまっていたせいか、その場を離れるのが少し遅れてしまい、美少女は目の前まで来てしまっていた。
「ラノベ部に興味があるのかしら」
唐突に話しかけられ、びっくりして返事をかえせずにいると
「興味あるからみてたのよね?」
「えっ、い、いやそんなことは……」
何か良い言い訳がないか考えていると
「そろそろホームルームの時間ね。放課後、あなたの教室にいくから」
その美少女は俺が返事をする間もなく、教室に行ってしまった。
なんだったんだ……あれは。一方的に話すだけ話して行っちゃったよ。名前も聞いてねえし。
そろそろホームルームの時間だったため、俺も教室に向かうことにした。
朝のホームルームが始まった。
ホームルーム中、木坂先生のつまらない話を聞いているのも嫌なので、俺は窓の外を見ていた。
運動場で、女子がテニスをしていた。その中でも、一際目立つ黒髪ロングで健康そうな白い肌をもつ美少女がいた。
「おい、あいつ誰だか知ってるか?」
椅子を軽く蹴って、前の席に座っている圭に話しかける。
白鳥圭人。圭とは小学校から一緒で腐れ縁みたいなものだ。性格は、一に女、二に女、三・四が無くて五に女、って感じで女の事しか頭にないようなやつで、茶髪にピアスという如何にもモテ男って感じのやつだ。まぁ、良いやつではあるんだが。
「なんだあ、どれどれ。げっおまえ、天上院沙羅のことしらねえのかよ」
どっかで聞いたことあるような。
「この学校の美少女ランキング三位以内は確実の美少女だぜ?」
「うちの学校にそんなのあるのかよ」
圭が、あきれたとでも言いたそうな顔でため息をついた。
その後もいろいろと圭に話を聞くと、この学校には美少女ランキングと呼ばれているものがあるらしい。その中でも天上院は三位以内に入る美少女ではあるが、友達があまりいないのが欠点らしい。
「それにしても駿、おまえが女の話をしてくるなんて珍しいな。なんかあったのか?」
圭が興味深そうに尋ねてくる。
「いや、べつにたいしたことではないんだけど。朝、中庭で話しかけられ」
俺が話している途中で、「はぁっ?」と言いながら圭が勢いよく立ち上がった。続きの言葉を口にしようとしていたが、そこで圭に怒気を含んだ声がかかった。
ホームルーム中に喋っていた挙句、席を立てば怒るのも無理はないだろう。
「白鳥! この後、職員室に来い。わかったな?」
「いやっその……っ!」
言い訳をしようとしたが、木坂の有無を言わせぬ怖さに圭がだまる。
「わかったよぉ。木坂ちゃん。二人で熱く語り合うんだね」
「誰が木坂ちゃんだ、馴れ馴れしい。木坂先生だ」
木坂先生がそろそろ本気で怒りそうなので圭はふざけるのをやめることにしたようだ。
「お疲れさん」と言いつつ、俺は笑って圭の肩を叩いていると、出ていったはずの木坂がドアから、ちらっと顔を出して静かな声で言った。
「羽柴、わかっていると思うがお前もだ。」
やり返しと言わんばかりに圭が笑顔で肩を叩いてくる。
その後、二人揃ってこっぴどく叱られた。
放課後。
帰ろうとも思ったが、家に帰ってもやることが無いので、言われたとおり待っていた。いや、正直なところラノベ部なるものに興味があったのかもしれない。
二十分近く待ったが、なかなかこない。
休み時間に読もうと思って持ってきていたラノベを読みながら待っていると、小説を読んでいたせいか、眠くなり寝てしまっていた。
目が覚めると、目の前に天上院の姿があった。
「目は覚めたかしら? よく寝てたわね」
天上院は、ずいぶんと前からそこにいたかのような物言いをしてくる。
「いつからそこにいたんだ?」
「十分くらい前かしら」
焦って時計を見ると、時間は七時を越えようとしていた。
「なぜ、起こさなかったんだ?」
「あなたがあまりにも気持ちよく寝てたからよ」
十分間も寝顔を見られていたことを改めて認識すると、恥ずかしくなってきて頰が赤くなっていくのを感じた。
「それで、俺はどうしたらいいんだ?」
頰が赤くなっているのをごまかすため、話題を変えることにする。
「今ここでその話をするのもいいけど、時間も遅いし帰りながら話さない?」
特に断る理由が無かったので天上院の意見に賛成することにした。
俺と天上院は家路についてから五分ほど無言で歩いていた。
天上院が口を開く様子が無いのを見て、俺が先に話しかけることにする。
「ラノベ部って、もちろんライトノベルを書く部活のことだよな?」
「そうよ。あなたはライトノベルが好きなんでしょ。ただ、読むのが好きなだけかしら。書いて見たいとは思わない?」
「そ、それは……。だいたいなんで俺がライトノベルを好きだと思ったんだ?」
「あなた、いつも休み時間に読んでるでしょ。それに今日の放課後、私を待っている時も読みながら寝ていたじゃない。違うかしら?」
ぐうの音もでないとはこういうことを言うのだろう。
「わ、わかった認めるよ。俺はライトノベルが好きだ。書きたいとも思っている」
「最初からそう言えばいいじゃない」
部に勧誘するにはあと一押しといった感じで天上院は話を続ける。
「ラノベ部に入るのね?」
「俺もラノベを書いてみたいし、入るくらいなら構わない」
入るとは言ったが、詳細が不明ではこれからどうしたらいいかわからないので、当然の質問をすることにした。
「ラノベ部って部員数は何人くらいで、顧問の先生は誰なんだ?」
「二人……。顧問の先生はいないわ」
聞き間違いかと思って、聞き返してみたが返答は同じだった。
「顧問の先生がいない? それで部活が成り立つのかよ。二人ってことは俺を入れて三人か、もう一人は誰だ?」
「あなたを入れて二人よ。あなた、さっき入るって言ったじゃない」
頭が痛くなってきた。
「それって、公認の部活じゃないよな?」
「部活なんて言い方したのが悪かったわね。部活というか趣味の共有みたいなものよ。公認の部活にしたいのだけど、五人も人数がいるらしいのよ」
「マジか、なら部室とかもないじゃないか。これからどうするんだよ」
「大マジよ、それに部室なら問題無いわ。美術室の隣の部屋が使えるから」
あれこれと話し込んでいるうちに、家に着いてしまった。
「ここ、俺の家なんだが。駅まで送っていこうか?」
「いいえ大丈夫よ。明日の放課後、部室に来るのよ。それじゃあ、また明日」
「あぁ」と軽く返事を返しておく。
先が思いやられそうだ。
「なぁ圭、なんでこんなことになっちまったんだ?」
翌日の昼休み、弁当を食いながら圭に昨日のことを話した。
「知るかよ、羨ましい。昨日、話をしたってだけで驚いたのに、なんだよ部活って」
「質問を質問で返すなよ。部活っていうか、趣味の共有らしいけど」
「趣味の共有でも部活でもそんなことはどっちでもいいんだよ。くっそー、天上院と話せるなんて羨ましいなぁもう」
「なら、お前もラノベ部入れよ」
冗談だが、半ば期待して尋ねてみる。
「ラノベのことなんてほっとんどなんもわからないのに入れるものなのか?」
冗談のつもりだったが、有難い事に圭は乗り気だった。
「大丈夫なんじゃないか?放課後、部室に行って直接聞けばいいさ」
「それもそうだな。放課後が待ち遠しいなー駿」
「お前は本当、能天気だよな。まあ、心強いけどな。さすがに、二人で話すのは荷が重いからね」
「ダメよ」
圭と部室に行き、ラノベ部に圭が入れるかどうか聞くと、即答で断られた。
「なんでダメなんだ?」
「ダメなものはダメよ」
「理由も無しに断られたのでは圭も納得がいかないだろ」
「なら聞くわ。白鳥圭人くんといったかしら、あなたはライトノベル小説を読んだことがあるの?」
痛いところを突かれ、圭がだまってしまう。
こっちを見て助けを求めてきているのがわかった。
おいおいまじかよ、どーしたもんかな。仕方ない、助け舟をだしてやるか。
「あーえっと、圭はライトノベルを読んだことはない。けど、これから好きになってもらえば良いんじゃないか?」
なぜか、天上院が黙り込む。
すっかり、天上院は「ダメよ」と即答してくると思っていたんだが。
「いいわ。白鳥くんあなたがこれから本気でライトノベルを好きになり読み続けると言うなら入れてあげても」
すごい上から目線だなと思ったが口にはださないでおく。
「毎日読むし、好きになる努力もする! 喜んで入るよ!」
上から目線で言われたことを気にもせず、嬉しそうに圭がこたえる。
俺と天上院でおすすめのラノベをいくつか、圭に教え、そのうち何冊かは俺が貸す事になった。
意外だな、天上院はラブコメがすきなのか……。
今日の部活はこれで終わる事になった。
圭は用事があるとかで、職員室によるらしく天上院と二人で帰る事になった。
「どういう風の吹きまわしだ?」
「どうって、なんのことを言ってるのかしら」
「てっきり、圭の入部は何を言っても断ると思っていたんだけど」
「あら、あなたが言ったんじゃない?入れて欲しいと」
「そうだけど。俺が言ったからってわけじゃないんだろう?」
「まぁ、そうね。私はラノベ部を公式の部活にしたいと言ったわよね?」
人数が欲しかったわけか。
「なるほど。納得したよ」
「あら、意外と察しがいいのね」
「だけど、残り二人はどうするんだ?」
「学校のいたるところの掲示板に貼っておいたから、興味のある人がいたら自分から部室に来るから問題ないわ」
「そうか」と軽く返事をしたところでちょうど家についたので、話をここで切ることにする。
「んじゃ、また明日な」
「ええ、また明日」
軽く別れの言葉を述べて家に入った。
読んでくださった方ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
次の話からは、さらに美少女が登場する予定なので、次話も読んでくださると有難いです。
二話掲載の日にちはまだ決まっていませんが、できるだけ早く完成させますので、みなさんにまた見ていただけると有難いです。