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第74話 VS誘拐団

登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人


サオリ・・・異世界転移者、お調子者


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者、守銭奴


カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官


エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ


「助けてください。アメリさん達。お願いします。」


 巡視船の船長であるカムイがいきなりやってきて深々と頭を下げて言った。


 突然の乱入に固まるオレ達。


「ど、どうしたんですか?」


 オレはビックリして聞いた。


「娘が、娘が・・・」


「お嬢さんがどうしたんですか?エールでも飲んで、落ち着いてください。」


 オレはエールをカムイに勧めた。


「すまない。」


 エールを一息に飲んだカムイはやっと落ち着いたようで、訥々と話し始めた。


 それによると、金持ちの娘と遊んでいたカムイの娘が金持ちの娘もろともに誘拐されたと言う事だった。犯人は明朝6時に沖合に見えるゴブリン島での身代金と娘二人の交換を要求しているらしかった。


「どうやって犯人はその要求を出してきたんですか?」


 オレは聞いた。電話のないこの世界でどうやって要求を出すのか知りたかった。


「ああ、それは一緒に遊んでて誘拐されなかった子供が、犯人の犯行声明文を渡されていたんだ。」


 カムイは頭を抱えて答えた。


「なるほど、そんな方法があるんですね。」


「犯人に関心している場合じゃないだろう。助けてくださいよ。金持ちの子はともかく、家ではとてもじゃないけど身代金は払えねえ。このままでは殺されるかどこかに売られちまう。」


「わかりました。助けましょう。その前にいろいろと聞かせてください。」


「あ、ありがとうございます。オレの知っている事は何でも教えますからよろしくお願いします。」


 カムイは泣いて頭を下げて説明した。カムイから聞いた情報をまとめると、犯人は黒海賊団を名乗るいちみで最近頭角を現してきた盗賊団であった。そして攫われた女の子二人はともに5歳で、身代金受け渡し場所のゴブリン島は無人島で、それどころか名前通りゴブリンがうようよといるいわばゴブリン王国であった。もちろん、町の警察や騎士団に知らせれば女の子達の命は無いとの事だった。


「うーん。大体わかったわ。それでそのゴブリン島だけど、身を潜めたりできるんですか?」


「身を潜める場所には困らないが、そんなところにいたらゴブリンに襲われてしまうだろう。だから、犯人もそこを人質と身代金の交換場所に指定したんだと思う。」


 ゴブリンのうようよいる島か、犯人もまさかそんなところに潜んでる者がいるとは思うまい。これはゴブリン島に行くしかあるまい。


「みんな。ゴブリン島に渡ろうと思うけど、どうかな?」


 オレはみんなに聞いた。


「ゴブリン島で待ち伏せね。賛成。」


「犯人も待ち伏せてるかもしれないわ。気を付けて渡りましょう。」


 リオとサオリが答えた。


「でもみんなで渡る必要もないよね。オレとサオリで島にいったん渡って様子を見てくるから、リオとセナと船長はカムイさんとそのお金持ちの子の家に行って様子を聞いてきて、そしてできれば受け渡しの場に立ち会えるように頼んできて。それで、待ち合わせは一時間後にこの店の前ね。」


「「「了解。」」」


 オレはみんなに指示を飛ばして、さっそく島に行こうとした。だが、カムイが訝し気にオレを見つめてきた。


「ゴブリン島は近くに見えるけど、けっこう遠いぜ。どうやって一時間で往復するんだい。なんならオレ達の船で送ろうか?」


「船ってあの海賊船?目立ちすぎるから駄目です。」


「いや、もちろん小舟だよ。仲間に頼んで船を漕がそうか?」


「いえ。大丈夫です。オレとサオリで何とかしますから。」


 もちろん、サオリのワープで渡るつもりである。小舟といえども、月夜の今宵は目立ってしまう。


 オレとサオリはゴブリン島の見える海岸まで来ていた。


「サオリ。とりあえず見晴らしの良い所にワープして。」


「うーん。行った事のない所だと、好きな所には行けないわ。ここからは只の点にしか見えない島のどこに出るかわからないけど、出たとこ勝負よ。」


「わ、わかった。頼みます。」


「じゃあ、行くよ。ワープ。」


 島の海岸線近くの茂みにオレ達はワープした。そのまま身を潜めた。岩場の海岸線には案の定、盗賊団らしき船が多数泊まっていた。篝火がいくつか焚かれ、それぞれの周りには盗賊団らしき者が何人か見えた。


 オレ達はワープをして潜む場所を替えつつ、敵の人数と船の数を確認した。残念ながら人質の姿はテントがいくつか張られてたこともあり確認できなかった。


「アメリ。篝火の周りに何人かずついるけど、今すぐやっちゃう?」


 サオリが声を潜めて聞いた。


「いや。人質の姿も確認できないし、危険だわ。全滅させるのは簡単だけど、人質の命の保証はできないじゃない。

 明日の朝潜む場所を決めてから、ひとまず戻ろう。」


「わかった。じゃあ、海岸線を見渡せる最初にワープしたところにしよう。じゃあ、もどるよ。ワープ。」


 オレとサオリは待ち合わせのレストランにワープした。レストランの前にはリオとセナが既に待機していた。


「あ、アメリどうだった?」


 リオが聞いてきた。


「ええ。今みんなの前で順番に話すわ。カムイさんは?」


「わかった。カムイさんはもう一人の子の親のカラハドさんと中で待機してるわ。」


 オレとサオリは店の中に入るとカラハドに挨拶もそこそこに説明を始めた。


「うーん。まさかと思ったけど、敵が先に島に潜んでたんですか。そ、それで、娘のエルザは無事でしたか?」


 カラハドが泡食って聞いてきた。


「いえ、残念ながら、安否の確認はできませんでした。テントがいくつか張ってありましたから、おそらくその中の一つに囚われてるかと思います。」


「それでどうしよう?」


 オレの説明にカムイが聞いてきた。


「そうですね。人命第一ですから、身代金は渡しましょう。人質を無事戻せたら、オレ達が取り戻します。」


「娘の命にはかえられないですね。身代金はわたしが何とかしましょう。それで、身代金を取り戻す勝算はあるんですか?」


「相手はざっと20人ってとこですが、オレ達4人で殲滅します。」


 カラハドにオレは答えた。


「海賊20人をたった4人で大丈夫ですか?」


「アメリさん達なら大丈夫。腕前はオレが保証しますぜ。カラハドさん。」


 カムイが代わりに答えた。


「魔物退治専門なので多人数の人間は相手にしたことがないですけど、頑張ります。身代金の引き渡しは小舟で船頭以外一人で来いと言う事なので、船頭はこのエイハブに任せてもらえないですか?腕は保証しますので。」


「わかりました。娘さえ戻れば、お金は惜しくないですからよろしくお願いします。」


「それなんですけど、たった二人で来いって事は二人を亡き者にしようとしているかもしれませんよ、最悪。」


「そんな・・・。」


「口封じには殺すのが一番ですし、死体はゴブリンが始末してくれますからね。」


「助けてください。アメリさん。」


「もちろん、オレ達がそんな事絶対にさせません。島に乗り込んで殲滅しますよ。」


「それで、どうやって気づかれずに島に乗り込むんですか?」


「これはオレ達の能力ですから詳しく言えませんですけど、オレ達にはそういう能力があるとだけ言っておきます。まあ安心してください。」


 こうして、オレ達はレストランの片隅で夜を徹して作戦を練り、準備に明け暮れた。そして翌朝5時に朝霧の中、身代金を抱えたカラハドはエイハブと二人で沖のゴブリン島に漕ぎだした。それを見送ったオレはみんなに言った。


「そろそろオレらも行きますか?カムイさん。さっきも言いましたけど、これから信じられない事が起きますが絶対に声を出さないでください。敵に気づかれないように。」


「ああ、わかった。」


 オレは人質の確認のために人質の父親のカムイもゴブリン島に連れて行くことにした。もちろんサオリのワープでであるが、それでパニックになって騒いで敵に見つからないように、念には念を押した。


「カムイさん。合図があるまで目をつむって絶対に手を離さないでください。じゃあ、サオリさん。お願いします。」


「お、おう。」


「ラジャ。」


 手をつないだオレ達美少女戦隊4人とカムイはゴブリン島の昨晩目を付けておいた場所にワープした。


「カムイさん。着きました。そーっと目を開けて。手も離して大丈夫ですよ。」


 オレは小声でカムイに言った。


「え?え?え!う・・・・」


「し、静かに!」


 案の定パニックになって大声を出そうとしたカムイの口をオレは手でふさいだ。


「す、すまん。しかしなんだこれは。ここはゴブリン島なのか?」


 カムイが押し殺した小声で聞いた。


「サオリの能力で間違いなくゴブリン島まで一足飛びで来ました。まあ詳しい事は企業秘密って事でお願いします。それよりもあそこに見えるいくつかのテントに敵がいます。お嬢さん達もそこに囚われていると思います。」


 オレは崖の下に見えるテントを指し示した。


「ああ。あそこか。」


「ええ。今度はテントの真後ろの茂みにワープしますから、絶対に音を立てないでください。サオリ頼むよ。みんなも行くよ。」


「「「「「おう!」」」」」


 オレ達5人はテントの真後ろの茂みにワープした。


 ワープしたその先に。あろうことか小用をたしに来ていた男がいた。


「なっ!」


 男が小さく叫んだ。


「まずい!」




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