第72話 依頼達成
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
なかなか依頼達成を認めてくれない冒険者ギルド長のギドーにリオがイラついてきた。
「証拠見せればいいんでしょ。アメリ、出しちゃいなよ。」
まあ、オレもだんだんイラついてきた所だった。現物以上の証拠もあるまい。証拠のクラーケンを出してやろうじゃないか。
「冒険者ギルドの裏手の作業場に来てもらえますか?」
オレはギドーに裏の作業場に来てもらった。
「ここの空きスペースに物を置いても大丈夫ですか?」
「ああ、別にかまわんけど、何を置くんだい?」
「それは、依頼達成の証拠です。」
「証拠?足の一本でも持ってくるんかい?」
「まあ、黙って見ててください。」
オレはアイテムボックスからクラーケンを取り出した。」
「な、何―!なんてでかいんだ。これがクラーケンか。」
ギドーが腰も抜かさんばかりに驚いた。
「いや、本当に驚くべきはこの巨体が突然何もない所から現れた事だ。今のは魔法か?」
「ええ。オレのオリジナル魔法ですけど、他言はご遠慮願います。」
「ああ、もちろん。守秘義務が冒険者ギルドにはあるからな。それにしても凄い魔法だな。倉庫が要らないな。」
「ええ。人間倉庫って呼ばれてますから、アメリは。」
リオが口を挟んだ。
「違いないな。人間倉庫だ。」
ギドーとリオが笑った。
「人間倉庫はどうでもいいですけど。依頼はどうなんですか?」
オレはむっとして聞いた。
「ああ、ごめん。ごめん。もちろん依頼達成だ。それで、このクラーケンはどうするんだ?」
「半分はこちらでもらいますから、半分はそちらで処分してもらえませんか?」
「処分ていうか、これほどの大量のイカの肉だ。良い値段で買い取らせてもらうぜ。それで、後の半分はどうするんだい?」
「ああ、食べますよ。」
「え!」
ギドーがビックリした。
食べると言っても、オレ達じゃなくて白神親子だけどね。絶対にオレ達が食べると勘違いしてるな。
「じゃあ、クラーケンの解体もあるし、お金の計算もあるし、ちょっと待ってもらえるかい?」
「わかりました。」
しばらくしてオレ達はクラーケンの半分とお金を受け取ると冒険者ギルドを後にした。
「アメリ、これからどうする?」
リオが聞いた。
「そうだね。打ち上げで、これから美味い物でも食いに行こうか?」
「うん。賛成。」
リオが答えた。
「わたしも賛成。美味しい魚料理を食べに行かない?」
サオリが魚料理を提案した。
「いいね。せっかく海の町に来ているんだから、美味しい魚を食べないと損よね。」
セナも賛成した。
「よし、行こうか。」
「「「おう!」」」
なんか忘れている気が。あっ。船長と白神か。
「みんな、船長と白神の事を忘れてるよ。」
「あっ。本当だ。」
リオが答えた。
「早く船に戻ろう。サオリ、ワープよ。」
セナが言った。
サオリのワープでオレ達は船の上に着いた。
「船長、おまたせ。退屈しなかった?」
オレはエイハブに聞いた。
「大丈夫ですよ。ダンジョンで待った100年に比べたら短い、短い。ただ、白神親子は暇を持て余してどっかに行っちゃいましたけどね。」
「その白神親子だけど、お礼をしたいから呼んでもらえるかな?」
「わかりました。今呼びます。」
エイハブが指笛を鳴らした。
しばらくすると、白神親子がやってきた。
オレはエイハブに通訳してもらい、お礼を述べると、アイテムボックスからクラーケンの足を一本取り出して、白神親子に渡した。足一本と言っても五六メートルはある、巨大な白神でも十分に食べ応えがあった。
オレ達はエイハブを誘って夜のオナガの町へと繰り出した。
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