第71話 クラーケン討伐
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
海面を突き破ってジャンプしたのは、クラーケンだった。いや、正確にはクラーケンに巻き付かれた白神だった。白神はクラーケンに巻き付かれて苦しそうだった。
いかん。このままでは、白神が危ない。白神を助けないと。オレは急いでアイテムボックスから海賊のモリを取りだした。
まずは、クラーケンを海面に釘付けにしないと。
「船長!白神に海面に浮いているように指示を出して。」
オレはエイハブにさけんだ。
エイハブが白神に何かさけんだのを確認すると、サオリに指示を出した。
「サオリ。オレを抱いてクラーケンの頭の所までワープして。」
オレはサオリに指示を出すと、呪文の詠唱を始めた。
「わかった。白神の上にワープするよ。」
オレを抱きかかえたサオリにオレは無言で答えた。
「行くよ。ワープ!」
オレとサオリはクラーケンの頭の真ん前にワープで現れた。そして、そのまま白神の体の上に着地した。
着地と同時に。
「ファイガボール!そして、リオ式突きー!」
オレは前倒しで呪文を唱えていたファイガボールをクラーケンの頭の部分に撃った。そして、同時に海賊のモリを投げた。名付けてファイガ突きリオ式であった。
モリはファイガボールが当たった所と寸分たがわずにささった。
「サオリ。船に戻って!」
オレはモリに付けてあったロープを掴むとサオリにワープで船に戻るように指示した。
「わかった。ワープ!」
オレとサオリは甲板に戻った。
「船長。白神にクラーケンを振りほどいて、離れるように言って!」
甲板に戻ったお入れは、エイハブに向ってさけんだ。
「わかりました。」
返事をしたエイハブが白神に向って、何やらさけんだ。
「みんな、全力でこのロープを引っ張って。」
オレはモリに付いたロープをみんなに渡した。
急所である頭にオレのファイガ突きを受けて弱っている所に、A級冒険者4人の全力で引っ張られたのでさすがのクラーケンも白神に絡みつけた触手を離した。
オレは白神がクラーケンを振り切ったのを確認すると、みんなに指示を叫んだ。
「みんな、今よ。このロープにサンダガを流して!」
「え?そんなことしたらわたし達も感電するんじゃないの?」
リオが聞いた。
「大丈夫。オレを信じて。呪文を唱えて。オレの合図で一斉に撃って!」
オレは答えた。
「みんな、呪文は唱えたよね。いちにのさんで撃つよ。いい?いちにのさん。」
「「「「サンダガ!」」」」
オレ達4人全員のサンダガがクラーケンに頭に刺さったモリから流れた。クラーケンは動きを止めた。
「やったの?」
リオが聞いた。
「うん。今度こそやったみたいよ。」
オレはクラーケンを鑑定しながら答えた。
「やったね!」
「うん。やった!」
リオとセナが抱き合って喜んでいた。
「アメリ。今度はどんなトリックを使ったの?説明して。」
一人冷静なサオリが聞いてきた。
「トリックって何よ。手品じゃないんだから、工夫って言ってよ。工夫と。」
「ああ、わかった。わかった。工夫ね。それで、どんな工夫をしたの?」
「簡単よ。ロープをアイアンボールの血の中に漬けといたのよ。」
「アイアンボール?南のダンジョンの?それが何で?」
「わからんかな?アイアンボールは鉄の塊でしょ。電気を良く通す。その体液も当然、超電導物質でできてるのよ。」
「凄―い。アメリ。ボーナスポイント100ね。」
横で聞いていたセナが割り込んできた。
「まあ、脳筋にしては良くやったわね。」
サオリも褒めてくれた。
オレは気分を良くしたところでクラーケンの回収に取り掛かった。モリを抜くと、アイテムボックスに入れた。船より大きなクラーケンが入るか心配したが、難なく入った。凄いぜアイテムボックス。
オレ達は港に帰ると、冒険者ギルドにクラーケン討伐の報告に行った。
A級冒険者のクエスト報告にギルド長のギドーが対応してくれた。
「しかし、参りましたなあ。アメリさん達の報告だけだと、依頼達成の証拠にはならないかもしれませんね。」
オレ達はいかにしてクラーケンを討伐したか説明したが、ギドーはなかなか依頼達成の判を押してくれなかった。
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