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第七話 魔法の真理

 翌日、東のダンジョン前のアイテム屋でポーションとエーテルを買ってからダンジョンに入った。それぞれ小瓶に入れられた薬品のような物だった。ポーションが体力、エーテルが魔力を回復する物だった。栄養ドリンクみたいなものか。


 まずは地下一階層でスライム相手の小手調べだが、レベル1の魔物相手では経験値も稼げないし、水になってしまうからお金にもならない。オレはなるべく戦闘をさけて、ボス部屋へと急いだ。ボス部屋の順番待ちの間、お弁当を食べた。ボスのスライムロードを倒して魔石を回収して、地下二階層にきた。今日はなるべく魔法を使わないで戦闘しようと決めていた。


 さっそく、オレは鑑定を発動してホーンラビットの位置を探りながら歩いた。通路にもいたが、やっぱり両側の壁である草むらに潜んでいるのが多かった。不意打ちをくらわないように気を付けて進んだ。三回目のエンカウントでついに四匹のホーンラビットに出くわした。オレは呪文を唱えながら走って近づいた。最初に体当たりしてきたホーンラビットにカウンターでファイアーボールをぶっつけた。本日最初の魔法であった。魔法にビックリして固まったままの二匹目を切り倒した。他の二匹は最初の攻撃ですでに飛びのいていた。後は後ろからの攻撃と同時攻撃を受けないように注意しながら一匹ずつ剣で切った。


 4匹同時に遭遇しない限りは魔法を使わないで進んだ。冒険者が多数休んでいるボス部屋前の安全地帯まで難なくたどり着いた。今日は魔法の無駄遣いもしていなかったから、まだMPには余裕があったが、引き返した。生還が第一の目標であるので無理はしない。今日の稼ぎはホーンラビットが22匹と魔石が4個であった。金額にして金貨一枚と白銀貨二枚だった。日本円で十二万円の稼ぎだった。ついでに言うと、レベルも1上がってLV16になっていた。さすがに実戦はレベルアップが早い。


 オレはホーンラビットを一匹だけ売らずに精肉してもらった。それと、帰り道で買ったエール(ビールみたいな発泡酒)をアイテムボックスに入れてグレイグ家へと急いだ。まだ五時前であったため、メアリーは夕飯の準備を始めてなく、オレの土産を喜んでくれた。夕飯の前に手合わせを申し込んだ。最初は竹刀での試合であった。


 メアリーの開始の合図とともに、メアリーがオレの剣の射程距離に踏み込んできた。オレは剣撃ではなくてファイアーボールを放った。もちろん呪文は前倒しで詠唱済みであった。

 カウンターでメアリーに炸裂したのにメアリーはひるまずにそのまま竹刀を振り下ろしてきた。オレの目に火花が散った。本日一回目の気絶であった。


 メアリーのヒールで目を覚ますと、


「今のは良い攻撃だったわ。いつの間にか剣で魔法を飛ばせるようになってたのね。まさか魔法が来ると思ってもみなかったら、よけれなかったわ。見事に一本取られたわ。」


「そしたら、倒れてくださいよ。倒れなくても少しはひるんでくださいよ。全くノーダメージだなんてずる過ぎる。」


「そこは師匠として、負けるわけにはいかないからね。それにひるんだら、そのまま突いてくるつもりだったんでしょ?危ないわー。」


「そこまで読まれているんですか?かなわないなー。」


「まあ、伊達に元Aランクを名乗ってないからね。」


「本当に大人げない師匠だこと(笑)。」


 オレの攻撃のおかげでメアリーもバンバン魔法剣を撃ってくるようになってしまった。オレはますます簡単に気絶させられた。


 三度目の気絶から覚めると、メアリーはヒールの上位魔法であるハイヒールの呪文を教えてくれた。体力を大幅に回復するのみならず、簡単な身体欠損も補う魔法であった。オレは呪文を書きとめると、詠唱を繰り返した。オレの魔力が尽きるころには、オレはヒールとは明らかに違う光を放つ癒しの魔法を出せるようになった。メアリーはオレの早すぎる上達に目を丸くした。魔法とはこの世界に存在する精霊の力を借りて創造する現象で、呪文は精霊への命令文であるとオレはすでに理解していたので、ただ機械的に呪文を唱えるだけのこの世界の魔法使いの誰よりも上達が早いのは当然であった。


 その真理を発見したのは偶然であった。

 倒した魔物から瘴気のような物が上がるのが見えたため、あわてて鑑定したら陰の精霊と出たので精霊の存在を理解し、後は精霊と言う物を鑑定するようにしたら、精霊は至る所にいて、火や水、土、風などいろんな種類がいて魔法を使うときに集まってくることに気づいたわけである。

 魔法の呪文は古代言語で精霊に対する命令文であるとオレは考えている。そのため、微妙に今の言語と発音やイントネーション等が違うために精霊に正しく伝わらず、発動が難しいのではないかとも思う。オレは水の精霊を思い浮かべて、呪文を微妙に違う発音とイントネーションで幾通りも唱えてようやく正解にたどり着いた訳であった。後はこれを忘れないようにするだけであった。何度か唱えてオレはハイヒールを完全に覚えて自分の物にした。


 オレの持ってきたホーンラビットの肉を使ってメアリーは料理を作ってくれた。日本で言うところの鍋かシチューみたいなものと肉を焼いたもので大変うまかった。あんな凶悪な魔物がこれほどうまいとは。エールで機嫌の良くなったメアリーに尋ねると東のダンジョンの魔物はスライム以外はみんな食べれてうまいということで、この町で肉と言えば、東のダンジョンの魔物を指すということだった。オレは夕飯をごちそうになるとグレイグ家を後にした。夕飯時は我が家の一番忙しい時間帯であるため、ご飯はいつも一人でまかないを食べていたので、他所でごはんを食べてきても何も言われなかった。




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