第68話 エネルギー破
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
花の乙女を全身墨まみれにしやがって、特にこの服はお気に入りだったのに、許さん。絶対に許さんぞ。クラーケン、お前の罪は万死に値する。幸い、ここは海の上壊れて困る物は何もない。お前にはオレの最終奥義をお見舞いしてやろう。ありがたく喰らいやがれ。
頭に来たオレは怒れる気持ちを少しでも静めるために目を閉じて精神を集中した。精神を集中するとともに、気を貯めた。自分の中に巡る活力、そして体の中に取り入れた大自然のエネルギー。それを一気に両手の平から、発射した。
「エネルギー破!」
オレの撃ったエネルギー破はまっすぐにクラーケンを貫き、飛んで行った。
「な、なんだ。今の魔法は!すげえ。クラーケンに大穴が開いたぜ。」
海賊船?のリーダーが驚愕の声をあげた。
「アメリの必殺技のエネルギー破よ。」
なぜか、リオが得意満面で言った。
オレの必殺技のエネルギー破を受けては、さすがのクラーケンも力尽きたと見えて動きを止めて海面に浮いていた。
クラーケンの活動停止を見た海賊船?の乗組員達がオレ達の周りに集まってきた。
「お姉ちゃん達、すげえな。さすがA級冒険者だぜ。」
「もうだめかと思った時にさっそうと現れて助けてくれたんだもんな。あんた達はヒーローいやヒロインだぜ。」
「特にこのお姉ちゃんの魔法は凄かったな。オレはおったまげたぜ。」
口々にオレ達を褒めたたえてくれた。オレ達が褒められて良い気になっていると、海賊船?の船長が声をかけてきた。
「オレはこの巡視船の船長でカムエと言う者だ。あんた達のおかげで助かったぜ。オレ達海の男は受けた恩は必ず返すぜ。そうだ。オレ達に飯をおごらせてくれないか?オレ達の行きつけの店だけど、魚が美味いぜ。」
「オレ達はA級冒険者として当たり前の事をしただけよ。何かお返ししてくれるんだったら、飯の前にお風呂に入れてくれない?」
クラーケンの墨で真っ黒になったオレは答えた。
「違いねえ。せっかくのべっぴんさんが台無しだ。オレ達の詰め所に風呂があるから、入っていってくれ。温泉を引いてあるから、いい湯だぞ。もちろん、服は女達に洗濯させるぜ。」
「お風呂に入れてもらえるなら、ご厚意に甘えようか?ねえ、みんな、どう?」
オレは墨で真っ黒になった仲間を見渡して聞いた。
「もちろん、賛成よ。わたしの美貌が台無しじゃない。一刻も早く、汚れを落としたいわ。」
墨で真っ黒な顔をしたリオが答えた。
「うん。この汚れは水で洗ったぐらいじゃ、落ちないわね。お湯でじっくり落とさんと。そういうわけで、賛成。」
墨で真っ黒の服を見てサオリも答えた。
「わたしも賛成よ。早くお風呂に入りたい。気持ち悪くてたまらんわ。」
セナが頭を掻きながら答えた。
「というわけで、ご厚意に甘えるわ。温泉引いてると言ってたけど、お風呂はちゃんとしてるんでしょうね?」
オレはカムエに聞いた。
「もちろんでさ。泳げるくらい大きな湯船の大浴場がありまっせ。」
「やった。それは良いわね。」
「じゃあ、オレ達の船の後を付いてきてください。オナガの町の港に案内しますから。ところで、クラーケンの死体はどうします?」
「そういえば、クラーケンがいたっけ。」
オレはクラーケンの方を見た。
「あ、アメリ!」
リオが突然叫んだ。
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