第66話 海賊に襲われる海賊
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
「起きてください!こちらに何か向かってきます!船だ!船が向かってきます。」
エイハブの警告で目を覚ましたオレ達は、船室から甲板に出た。甲板から外を見ると、オレ達の船と同じくらいの大きさの船が追ってきていた。風任せで走っているオレ達の船と違って、櫓を漕ぐ人夫が大量にいるのだろう凄いスピードだった。瞬く間に追いつかれた。甲板の上には厳つい男たちが手に手に武器を持って、こちらを威嚇していた。
え?海賊船?海賊船が海賊船に追われてる?
相手はロープの付いたかぎ爪をこちらの船に投げ込み、とうとうこちらの船に横づけしてきた。
「止まれ、止まれ!誰に断ってこの海域を進んでるんだ!」
海賊のリーダーらしき男が一喝すると、それに合わせて男どもがぞろぞろとこちらの船に乗り込んできた。
「アメリさん。ここは素直に通行料を払って、穏便に済ませましょう。」
オレがどうするか考えているとエイハブが提案してきた。エイハブの提案に乗ることにした。
オレ達から通行料の白銀貨1枚を受け取ると、次のターゲットを求めてか、再び凄いスピードで抜き去って行った。
「アメリ。なんでやっつけないの?」
リオが憤って聞いた。
「やっつけるのは、簡単だけどさ。仲間がおそらく岬の上からこちらの様子をうかがってるよ。
そんなことしたら仲間が大挙して襲って来るよ。そしたら、いくらオレ達でも無事で済まないし、何より人を殺したくはないでしょ?そう考えたら、白銀貨1枚なんて安い物よ。」
オレは海路を狭めている岬を睨んで言った。
「アメリさんの言う通りですよ。あっちこっちに船が隠してありますよ。
それに、通行料を払えば次の検問まで、わし達の安全を保障してくれますよ。」
岬の先を指してエイハブが言った。なるほど、船が何艘か隠してあるのが見えた。
「略奪を繰り返した海のギャングの海賊たちも腰を落ち着けて、今じゃこの地方の領主よ。カイエンギルド長にもらった地図に海賊の町って書いてあるわ。」
オレは地図をみんなに見せて言った。
「百年の間にそんな事が・・・」
エイハブが一番驚いていた。
「船長あんたの子孫じゃないの?」
オレはエイハブに聞いた。
「いや、わしらの仲間は全滅しましたし、何よりわしには子供がいませんでしたから。」
「そうなんだ。変な事言ってごめん。」
「いや、気にしてませんよ。」
まあ、とにかく楽しい船旅の気分が海賊のせいで台無しだ。こんな時はスイーツで気分転換だ。というわけで、オレはアイテムボックスから、ケーキを取り出し、お茶を淹れた。
「みんな、お茶にしよう。セシルで買っておいたケーキもあるよ。船長も休んで。」
オレ達はお茶とケーキを楽しんだ。女子はやっぱり、甘い物があれば最高の気分になれる。さっきの嫌な事は忘れて、オレ達は船の旅を再び楽しんだ。
しばらく、進むと、先程の船が見えてきた。
しかし、何か様子がおかしかった。
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