第65話 出航
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
オレ達はミヒの生活にも慣れたころ、新しい冒険の拠点を求めて旅立つ事にした。そこで、どこに向って旅するか話し合っていた。
「ねえ、みんな。カイエンギルド長にもらった地図によると、ミヒの町のずーと行った西に王都キンリーがあるわね。とりあえず、キンリーを目指そうよ。」
オレはテーブルに地図を広げて言った。
「賛成。だけど、どうやってキンリーまで行く?」
リオが地図を眺めながら言った。
「冒険者ギルドで聞いたけど、馬車で三日、歩いて一週間程だって。」
セナが言った。
「うーん。急ぐ旅でもないし、歩く?」
オレが言うと、サオリが。
「ちょっと待って、脳筋さんは歩くの平気かもしれないけど、わたしは一週間も歩くのは嫌よ。」
すかさず、反対した。
「わたしも歩くのは嫌だ。」
セナまで反対した。
「一週間歩きっぱなしじゃないよ。寄り道しながら、ゆっくり旅よ。」
「それでも嫌だ。」
取り付く島もなかった。
「はい。はい。そこで、わしの船の出番ですよ。馬車だって、狭いし窮屈だし乗り心地も悪いですよ。」
エイハブが手を上げて言った。
「そっか、オレ達には船長の船があったよね。忘れていたよ。」
「酷いな。アメリさん。わしの船は長距離を航海するような大型船じゃないけど、五人が寝泊まりするに十分な大きさがありまっせ。」
「じゃあ、船で行こか。でも、オレ達、船の事何にも知らんよ。大丈夫?」
「大丈夫。マイフレンド。わしが教えますから。」
こうして、オレ達はエイハブに帆の揚げ方などの操船の仕方を習った。三日もたったころには一通りの操船技術を覚える事ができた。
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「さあ、いよいよ今日は出航の日だけど、みんな忘れ物はないね。船長、お願いします。」
オレ達はサオリのワープでダンジョンの奥まで来て、エイハブの船に乗り込んでいた。
「わかりました。では、わしがこれから、仕切らせてもらいます。リオさん錨をあげて。残りのみなさんは帆を揚げて。開門!」
「「「「おう!」」」」
エイハブの掛け声とともに、不思議な力で船の前に大きな穴が出来て、外海と繋がった。船は漕ぐこともなく、ダンジョンの外へと滑り出した。
「では、これより、王都キンリーに向けて出航します。なお、アメリさんの要望により、できるだけ多くの町に寄って行こうと思います。まずは、今日のうちにオナガの町に着く予定です。みなさん。準備はいいですか。アメリさん。帆を張って。では、出航!」
エイハブの掛け声とともに船は滑るように走り出した。
「うお。速い。」
リオが歓声をあげた。
「どうです。速いでしょ?船は良いよ。陸上でちまちまと歩いてるのが馬鹿らしくなりまっせ。」
「うん。最高。みんな、飲んで食べて。」
オレはアイテムボックスから冷えたジュースやお菓子を出して配った。そして、船尾に陣取るとさおを取り出して釣りを始めた。
船は順調に北上していた。陸路ならキンリーまで西に一直線だったが、海路の場合、一旦北上して大きく迂回してから西に進路を取らねばならなかった。海は穏やかで風も適度にあり、櫓をこぐ事もなく順調に進んでいた。
オレ達は操舵をするエイハブを残して、船室で昼寝をしていた。すると、突然のエイハブの大声で起こされた。
「みんな!起きて!なんか来ます!」
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