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第六話 危機一髪

  オレは覚悟を決めた。とにかく同時攻撃さえ喰らわなければ勝機はある。魔物は統制されているわけではない。好き勝手に攻撃してくるわけだから、順番に一匹ずつ倒していけばいいはずだ。

 四対一じゃかなわなくてもタイマンなら楽勝だ。オレは横の壁(草の壁)に飛び込んだ。草むらの中は容易に進む事は出来なかったが、それはホーンラビットにとっても同じであった。草むらの中でもホーンラビットのほうが速いかもしれないが、とりあえず四匹を分散させることに成功した。オレは草むらに潜み、不用意に近づいてきた最初の一匹に剣を突いた。草が邪魔をして剣をうまく振ることはできないが突くことはできた。一匹目の悲鳴を聞きつけて2匹目がすぐに襲ってきた。角での体当たりを剣で受けた。受けた剣を力任せに下に払った。払った剣が角を滑るようにしてホーンラビットの頭を叩き割った。残りの二匹は通路に残っている。オレは草むらをかき分けて通路に戻った。これ以上の草むらでの戦闘は剣を自由に振る事ができないオレに不利と考えたからだ。オレの姿を発見すると二匹は猛ダッシュで襲ってきた。一匹目がジャンプして体当たりしてくるのを野球のバッティングの要領でフルスイングした。直線的な動きに大きな的、メアリーのもとで地獄の修行を毎日毎日繰り返してきたオレが空振るはずがない。まさにジャストミートであった。ホーンラビットが見事に真っ二つに切り裂かれた。返す刀で、体当たりを躊躇して留まった二匹目を上段から切り裂いた。


「うおーっ!」


 オレは雄たけびをあげてガッツポーズをした。絶体絶命のピンチをしのげたのもうれしかったが、起死回生の一か八かの手が成功したのがうれしかった。さらにうれしい事には最後の一匹は魔石をドロップしていた。オレは四匹のホーンラビットと一個の魔石をアイテムボックスに回収すると出口へと急いだ。


 結局のところ、この日の成果は魔石が三個とホーンラビットが20匹だった。魔石とホーンラビットは冒険者ギルドの本部に行かなくても、ダンジョン前の支部で買い取ってくれた。ホーンラビットが金貨一枚、魔石が銀貨5枚であった。一日でなんと、十万五千円の稼ぎであった。オレは金貨でなくて白銀貨10枚をもらった。


 オレは冒険者ギルドを出ると、グレイグ家に向かった。時間は6時を過ぎていた。メアリーは夕食の支度をしていた。


「いらっしゃい。アメリちゃん。今日はもう来ないかと思ってたのよ。ちょうどいいから、ご飯食べていきなさい。グレイグが帰ってこないから寂しかったの。」


「ありがとうございます。今日は師匠からお借りしたお金とこれまでの月謝としてあわせて白銀貨5枚を持ってきました。重ねてありがとうございました。」


「そんな大金どうしたの?急に。あと、月謝なんていいのよ。わたしも楽しんでいるんだから。」


「お金はグレイグ師匠の口添えで登録料が要らなくなったものですから、お返しに来たんです。残りはダンジョンで魔物を狩って作りました。」


「ふーん。じゃあ、貸してた白銀貨3枚だけもらっておくわ。後はアメリちゃん貯金しなさい。お金貯めて良い防具を買いなさい。幸いうちはグレイグの商売がうまくいってて、お金に困ってないから。月謝なんて要らないわよ。」


「でも・・・・・。」


「そうね。じゃあ、お月謝の代わりにアメリの冒険話を聞かせてもらおうかしら。」


 オレは食事をしながらダンジョンであった話を面白おかしく話した。メアリーはオレの話を興味を持って聞いてくれた。オレがいきなり二階層まで行ったのに驚き、自分の時よりはるかに凄いとほめてくれたが、魔力切れでピンチになった事を告げると見通しの甘さと準備不足をたしなめてくれた。さらに、オレが防具もアイテムも持たずにダンジョンに潜ったのを知ると、あきれて、今日の稼ぎで絶対に買いに行けと怒った。




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