第59話 マッドシャーク2
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ
ドバシャー!
水面を割いてマッドシャークが陸の上のリオに襲い掛かった。リオは横っ飛びに飛んで、マッドシャークの牙をかわした。リオにかわされたマッドシャークは池に戻ろうとしていた。
「ウィンドカッター!」
水の中に戻る前にオレの魔法をなんとか当てる事ができた。
「みんな、奴は怒り狂っているから、どんどん来るよ。かたまらないで散って。あと、魔法はサンダガでなくてウィンドカッターよ。」
オレが言い終わるやいなや、今度はオレに向ってきた。
オレは横っ飛びにかわした。
「ウィンドカッター!」
オレの横にいたサオリが魔法を撃った。他の者は詠唱が間に合わなかった。
サオリのウィンドカッターでさらに傷を負ったマッドシャークは水の中に戻って行った。
「アメリ!全然効いてないよ。サンダガでなくていいの?」
リオが聞いてきた。
「うん。来るよ!」
今度はセナの前に出た。
セナは恐怖でその場でへたりこんでしまった。
「セナー!」
「ワープ!」
オレが叫ぶと同時にサオリがワープをして、セナをその場から助け出した。
噛みつく目標を失ったマッドシャークはその場で咀嚼を何回か繰り返した。
その時、そのマッドシャークに噛みつくものが現れた。2匹のマッドシャークであった。怒ったマッドシャークは二匹に向って行った。三匹のマッドシャークは水の中でお互いに噛み合っていた。三匹のマッドシャークが暴れまわり、池の中はまさに阿鼻叫喚の地獄絵図であった。
「アメリ。これって。」
ややあって、リオが聞いてきた。
「もう。大丈夫よ。奴らは共食いを始めたわ。奴らは血を流すものなら親兄弟でも食うからね。」
「それで、サンダガじゃなくてウィンドカッターをわたしたちに撃たせたのね。風の刃で血を流させるために。」
「まあね。でも、まだ、油断は大敵よ。最後に生き残った奴がオレ達に襲ってくるから。」
オレは3匹のマッドシャークが暴れ狂う水面を見つめて言った。
「さすがアメリ。ボーナスポイント30よ。」
サオリに抱きかかえられたセナが言った。
「そう言うセナはボーナスポイントマイナス30ね。少しは体術鍛えなさいよ(笑)」
リオがいつもの仇とばかり逆査定をした。
「はーい。」
セナが舌を出して言った。
そうこうしているうちに狂乱の宴は終わったようだった。生き残った一匹のマッドシャークが浮上してこちらを睨んできた。
「来るよ!みんなサンダガビームよ!」
オレはあわててみんなに指示を出した。
「「「サンダガビーム!」」」
話しながらも抜け目なく詠唱していた3人のサンダガビームがマッドシャークに決まった。共食いですでに大けがを負っていたマッドシャークは3人同時のサンダガビームで絶命した。
「もういいわ。水の中にも、もういないわ。」
オレは動かなくなって浮いているマッドシャークを鑑定して言った。
「アメリー。やったね。」
リオがオレに抱き付いてきた。
サオリとセナも抱き合って喜んでいた。
「すばらしい。ブラボー。サメの習性を利用した見事な作戦でした。」
エイハブが手を叩いて喜んでいた。
「あんた。いたの?」
セナがジト目で言った。
「まあまあ、レベル1じゃ、あのバケモンと戦えないよ。それよりアメリ。船長はレベル上がった?」
サオリが聞いてきた。
「あー!一気にレベル20になってるわ。オレ達も2ずつ上がってるよ。使い魔でもレベル上がるみたいね。」
オレはみんなを鑑定して言った。
「うれしいけど。レベル20って強いんですか?」
エイハブが聞いた。
「ウオーズバットと同じレベルよ。」
「蝙蝠と同レベルですか。じゃあ、まだまだ弱いっすね。」
エイハブががっかりして言った。
「何言ってんのよ。普通の人間なら十数年かけて大人になって初めてレベル10から20よ。それをあんたはたったの一時間ほどで達したのよ。少しは喜びなさいよ。」
オレだって、鬼より怖いメアリー師匠に毎日毎日いたぶられて、いや鍛えられてやっとレベル20になったのに。贅沢なやつだ。あの地獄の日々を思い出したら、少し腹が立ってきた。悪いけど、小間使いをしてもらおう。
「船長。あんた。不死身よね。じゃあ、オレの投げたモリを取って来てよ。ロープついてるから、そのロープを引っ張ってきて。」
オレはモリの回収をエイハブに命じた。まだ、何か潜んでるかもしれない池に、水面と言えど泳いで取ってくるのは、オレ達生身の人間にはリスクが大きすぎる。エイハブにも働いてもらうぜ。
「わかりました。」
そう言うと、エイハブは水の中に飛び込んだ。そして見事なぬきてで泳ぐとロープをつかんで戻ってきた。オレはそのロープをエイハブと一緒に手繰り寄せてマッドシャークの巨体をアイテムボックスに回収した。残りの二匹もモリで刺して手繰り寄せた。
「じゃあ。帰るか。ちょっと、遅くなったけど、家でお昼にしよう。」
オレは残りの二匹を回収しながら言った。
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