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第56話 え?レベル1

登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人


サオリ・・・異世界転移者、お調子者


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者、守銭奴


カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官


エイハブ・・船長、骸骨野郎、セクハラおやじ

 「財宝は元々船長のものだったんだけど、良いの?オレ達がもらって?」


 オレはエイハブに確かめた。


「ええ。もちろん。魔物のオレには猫に小判ですから、それにこれはシードラゴン討伐の依頼料みたいな物ですから。まあ、でも、アメリさんを倒してのボーナスはいただきますよ。わしの海賊料理でね。」


「ありがとう。海賊の宝もボーナスポイントもオレがすべていただくわ。オレは欲が深いからね。」


「お、両者早くも勝利宣言ですね。来週の夕食が楽しみだ。わたしとしてはわたし達美少女戦隊の代表のアメリに勝ってもらいたいですけど、どちらにも頑張ってほしい。そうすれば、美味しい料理が食べれるからね。」


「全く、リオは食いしん坊なんだから。それで、今日はこれからどうする?」


 サオリが聞いた。


「うん。まず、冒険者ギルドに報告に行こう。そして白神をどうするか考えよう。」


 オレは食後のお茶を飲みながら答えた。


「白神ってあの白いシャチの事ですか?」


 エイハブが口を挟んできた。


「え!船長、知ってるの?」


「知ってるも、何も100年来の親友ですぜ。」


「え?白神とコミュニケーションとれるの?」


「ええ。わしは高位の魔物となら大体話せますよ。ただし、タコ(マッドオクトパス)やサメ(マッドシャーク)は頭が悪すぎて、文字通り話になりませんけど。」


「そいつは話が早い。白神にダンジョンに入らんように言ってくれる。」


「わかりました。話を付けます。」


「じゃあ、まず、冒険者ギルドに報告に行って、それから船長の冒険者登録と次に行く町の情報を収集ね。」


「え!わしと一緒にシードラゴン討伐に行ってくれるんじゃないのですか?」


「船長。あんた。ファントムロードになって強くなったつもりでいるかもしれないけど、レベルいくつか分かってんの?」


「いくつですか?」


「レベル1よ。」


「「「「えー!」」」」


 オレ以外の全員が驚きの声をあげた。


「あんた。今。スライムと同じレベルよ。ホーンラビットにも負けるのよ。そんなんでシードラゴンと戦えると思う?」


「え?魔物って固定レベルじゃないの?」


 リオが聞いてきた。


「うん。普通はね。でも、一部の上位種の魔物はオレ達人間みたいにレベルアップして成長するみたいなんだ。」


 オレは過去の鑑定で一部の魔物のレベルにばらつきがあるのを知っていた。


「じゃあ、最強だった船長は今スライムと同じ最弱になったってわけ。」


 リオがエイハブを見て言った。


「うん。そうみたいね。」


 オレもエイハブを見て言った。


「使えねえー!やっぱり、こいつ、置いていく?」


 ドライな性格のセナが薄情な事を言った。


「まあまあまあ、同じパーティなら魔物でも等しく経験値が入ると思うからしばらくダンジョンにでも潜ってレベルアップしてもらおうよ。そのためにも冒険者登録よ。船長あんた、血を出せる?」


「ええ。この姿のときなら。」


「それで、あんた、前に復活したよね。あんた、不死身?」


「ええ、まあ。幽霊ですから。不死身って言うより、もう、死んでますから。」


「じゃあ、死ぬ心配もないよね。ダンジョンで魔物狩よ。」


「ダンジョンって、ミヒの町のは勘弁して下さい。一応わしの配下ですので。」


「うん。それもそうね。じゃあ、ちょっと物足りないけど、セシルの町の北のダンジョンでオーガ狩よ。」


「「「「おう!」」」」


 オレ達は全員で家事を分担しておこなった。オレが食事の片付け。リオが洗濯。サオリとセナが掃除をした。


「わしにも何かさせてください。」


 手持ち無沙汰のエイハブが仕事を頼み込んできた。


「じゃあ、そこの開いてる部屋を使ってもらうから、自分で掃除してよ。」


「え!そんな、わしなんかのために一部屋使うなんてもったいない。」


「何言ってんの。いくら幽霊だからって言って、廊下に住まわせられんでしょ。オレ達が怖いもん。それにご近所の目もあるからね。あと、オレ達乙女が男とは一緒の部屋で寝れんでしょ。」


「アメリさん。ありがとうございます。」


 エイハブが土下座をしてお礼を言った。


 朝のお仕事が終わるとオレ達は、冒険者ギルドに歩いて行った。冒険者ギルド長のカイエンがギルド長室に自ら案内してくれた。まさにVIP待遇であった。


「アメリさん他美少女戦隊のみなさん。今日はどういったご用件ですか?」


 カイエンが自らお茶を淹れてくれながら訊ねた。


「はい。ダンジョンの探索を終えまして、その報告です。」


 オレが美少女戦隊を代表して答えた。


「おお、じゃあ、今日からでもミヒの町の海辺のダンジョンとして上に報告しても良いんですね?」


「ええ。大丈夫ですよ。」


「しかし、白神が出るんじゃ、冒険者の安全を保障できないなー。」


「あ。それも大丈夫です。こちらの方が話をつけてくださいます。」


 オレはエイハブを指し示して言った。


「え!そちらの方は?」


「申し遅れました。わしは流れの船員でエイハブと申します。わしは魔物と話せる能力を持ってまして、白神とは航海の途中でなんどか会ってまして、わしの言う事なら聞いてくれるようになっております。わしがダンジョンに入らんように説得しましょう。」


「おう。エイハブさんかそれは心強い。じゃあ、こうしよう。アメリさんたち美少女戦隊に正式に魔物討伐の依頼を出すよ。白神はじめマッドシャークなどの外から侵入してくる危険すぎる魔物の討伐だ。白神は殺さなくてもダンジョンに入ってこなくなったら依頼達成だ。」


「わかりました。受けます。しかし、ダンジョンは海とつながってますから、白神はともかくマッドシャークはまた入ってきますよ。」


「ああ。それなら、マッドシャークはダンジョンの外でも要駆除の超危険魔物だから、一匹でも減らしたいから、全滅させれなくても減らせば依頼達成でいいよ。」


 そう言ったあと、カイエンは新ダンジョン発見の報告書を書くと言って、喜び勇んで書類の山に取り掛かった。田舎町のミヒの小さな冒険者ギルドにとって、新ダンジョン発見は大きなチャンスであった。ダンジョンがあれば冒険者を他所から呼べる。ダンジョンの魔物などの副産物で町が潤う。行政からの冒険者ギルドへの予算も増える。まさに良いことづくめであった。オレ達はニコニコ顔で書類の山と格闘するカイエンとしばらく談笑した後にギルド長室を辞した。


 受付で、エイハブの冒険者登録をした。出身地はオレの生まれ故郷の村にして、生年月日とかも適当に書いて出したが、バレはしなかった。まあ、調べようがないから当然であるが。血による登録も滞りなくできた。なんか簡単すぎるな。まあ、どこの馬の骨ともわからんサオリでもできたんだから当然ともいえるけど。


 オレ達はビッグクラブやマッドオクトパスを裏の倉庫で係員に渡すと、人気のない路地に来た。


「今日はセシルの北のダンジョンに行こうと思っていたけど、予定変更よ。ミヒのダンジョンに行くわ。それで今からサオリのワープで行くから、船長はダンジョンに着くまで絶対にサオリの手を放しちゃだめよ。わかった?」


「はい。かわいい。サオリさんの手を握れるなんてこんなチャンス。誰が自から離そうぞ。嫌がっても離しませんよ。」


「ちょっと。おじさん。きもいんだけど。」


 サオリが手を放そうとした。


「まあ。まあ。セクハラおじさんはほっといて、サオリ。ミヒのダンジョンまで頼むよ。」


「ラジャ!みんな、わたしをちゃんとつかんだ。行くよ。ワープ!」


 オレ達の目の前が突然暗くなる。


「うわー!」


 エイハブの悲鳴をその場に残してオレ達はかき消えた。




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