第55話 料理バトル
登場人物紹介
アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人
サオリ・・・異世界転移者、お調子者
リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1
セナ ・・・賢者、守銭奴
カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官
エイハブ・・船長、骸骨野郎、異世界転移者
テーブルにはエイハブの作ったスープの皿が並べられていた。
「パンはアメリが出してよ。アメリのパンは焼き立てのふかふかだから。」
リオがオレを見て言った。
「うん。わかった。ソーセージの焼いたのも出すね。」
オレはアイテムボックスからパンとソーセージを出してテーブルの上の皿に並べた。
「アイテムボックスですか?」
エイハブが聞いた。
「そうだけど。船長も持ってるの?」
オレはエイハブに聞いた。
「人間だったころに持ってったんですけど。死んで魔物になってからは、使えなくなりました。まあ、あの洞穴で暮らしてる分には要らないんですけど。」
「魔物になったら、やっぱりチート能力は使えなくなるんだね。」
「チート能力って言うんですか?その能力は。」
「アメリ。盛り上がってるところ悪いんだけど。料理が冷めるから、いただきますをしてから、話そうよ。」
ご飯を待ちかねたリオが催促してきた。
「あ、ごめん。ごめん。じゃあ、いただきます。」
「「「「いただきます。」」」」
オレ達は手を合わせてから、朝食を食べ始めた。
「いただきますをしたのは120年ぶりですよ。それより、スープはどうですか?皆様のお口に合いますか?」
エイハブが感動しながら言った。
「うまい。海の幸のスープね。エイハブ。あなたのスープはアメリの作る料理といい勝負よ。これからの楽しみが増えたわ。」
食いしん坊のリオが感想を述べた。
「うん。おいしいよ。わたし達はアメリのおかげで口が肥えてるんだけど、そのわたし達をじゅうぶんにうならせるうまいスープだね。」
サオリが上から目線で褒めた。
「ありがとうございます。材料はわしのダンジョンから持ってきた物ですけど、みなさんのお口に合ったようで安心しました。それより、わしのよりも美味いアメリさんの料理楽しみですな。」
「今度作るね。エイハブ。あんた。オレにライバル心を燃やしてるね?どう、今度勝負する?」
「そんな、めっそうもない。わしがご主人様のアメリ様に逆らうなんて。」
「いや。面白い。今度、料理勝負をしようよ。同じ食材でどっちが美味い料理を作るかで勝負するの。審判はわたし達3人ね。」
サオリが乗ってきた。美味ちんぼかよ。料理の変人かよ。面白いじゃねえか。食堂の看板娘として負けられないわね。
「その勝負乗った。食材はそうね。エイハブに有利な海の幸でどう?」
「アメリさんがそうおっしゃるなら、わしには異存はないですけど、勝負なら負けませんよ。」
「やった。また、ごちそうが食べられる。」
「どっちが勝つか賭けない?」
リオもセナも喜んでいた。
「じゃあ、勝負は一週間後の夕食で、食材は海の幸なら何でも自由で、審判はわたし達3人で、勝った人はボーナスポイント30ポイントでどう?」
サオリが仕切って言った。
「ボーナスポイントって何ですか?」
エイハブが聞いた。
オレはオレ達の給料制度やボーナス制度について説明した。
「じゃあ、食堂の看板娘の底力を見せてあげるわ。負けないわよ。」
「わしの有利な海の幸を食材にしたことを後悔させてあげますよ。それに、わしもボーナス欲しいですからね。」
こうしてオレ達はあらたな食材を求めて海に繰り出して行った。って、違う。料理バトル漫画じゃないから。
「料理勝負の事はひとまず置いといて。船長。自己紹介をしてよ。」
「はい。わしは見ても分かると思いますが、アメリさんやサオリさんと同郷の異世界人でした。この世界に来たのは120年前で、海賊に拾われて海賊として育ちました。それで海賊王と呼ばれるまで頑張ってたんですけど、一匹の龍によって殺されて・・・」
エイハブが泣き出した。
「それで、ファントムパイレーツに転生したわけね。」
「そう。それから一人で100年も、うっうっうー。」
再びエイハブが泣き出した。
「一人で寂しかったよね。オレ達がいるから、もう寂しくないよ。退屈させんよ。ところで、異世界人のオレとしてはあっちの世界の事のほうが気になるんだけど。」
「あ、はい。わしは漁師のせがれで名前は万太郎って言いました。その日もいつものように一人で漁をしていたんですけど、嵐に巻き込まれまして、気づいたらミヒの町の海岸にいました。」
「万太郎さんが日本にいたのは何時代?」
サオリが聞いた。
「あー。明治です。文明開化とか世の中が騒がしかったけど、わし達庶民には関係なかったですね。」
「万太郎って素敵な名前があるのに、オレなんかのつけた名前で良いの?」
「ええ。万太郎は100年前に死にましたから、今はアメリさんの使い魔のエイハブです。」
「じゃあ、オレ達も自己紹介するね。まず、オレから・・・」
オレ達は自己紹介をした。オレがスカイドラゴンに殺された事を知ると、エイハブは力を合わせて復讐を手伝ってくれることを約束してくれた。そして、どうやら、エイハブはサオリと同じ町に120年前に住んでたらしい事がわかった。オレとサオリは昔の日本の事、リオとセナは異世界である日本の事をエイハブに質問した。こうして、オレ達は徐々に打ち解けて行った。
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わたしは底辺に潜む深海魚なんかじゃなかった。誰にも見てももらえない、小さな小さなミジンコだった。だが、ミジンコにも意地がある。ミジンコをわざわざ探して見てくれるマニアのためにも頑張るぞ。面白い作品書くぞ。




