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第48話 反省会

 登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2、悪徳商人


サオリ・・・異世界転移者、お調子者


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者、守銭奴


カイエン・・冒険者ギルド長、悪徳代官

 冒険者ギルドに入るとオレ達はギルド長室に通された。オレ達の帰還を待ちわびていたギルド長のカイエンが自らお茶を淹れてくれた。オレはダンジョンで作った地図を見せて説明した。そして、マッドオルカやマッドシャークの事を話した。そしてまだ探索の途中である事も話した。


「白神が現れたか。白神がいるんじゃ誰も近づけないな。」


マッドオルカは白神と言う通り名で海の男たちに恐れられていた。この辺の海のボスと言っても良い存在であると言う事だった。


「白神に勝てるかい?」


カイエンは困った顔をして聞いてきた。


「海の上なら勝てますけど、海の中だったら絶対に勝てませんね。あと、できれば戦いたくないです。いろんな意味で。」


オレは答えた。


「いろんな意味で?」


「ええ。白神は知性があるからできれば殺したくないですね。」


「それで、何度罠を張っても、かからないってわけか。」


「ええ。あったま良いですよ。わたしのいた地方(異世界)では人類の友達てきなポジションでしたから。」


「白神の話はひとまず置いといて、お宝はゲットしたかい?」


「ええ。あの後、宝箱をもう一つ開けまして、出てきたのは海賊の武器がいっぱいでした。お宝と言い、場所と言いあそこは元海賊のアジトがダンジョン化したものじゃないでしょうか?」


「そうか。そういえば海賊王の隠し財宝の言い伝えがあるな。海賊王のダンジョンとして売り出せたものを非常に残念だ。もう一度言うけど、白神はなんとかならんか?」


「マッドシャークなら駆除して見せますけど、さっきも言ったけど白神は無理です。オレ達も命が惜しいし、市民の脅威ってわけでもないし、勘弁してください。」


「そうか。残念だ。」


オレ達は白神討伐を丁重に断ってギルド長室を辞した。


ギルド長室を出たあと、冒険者ギルドの裏の倉庫へ行って今日確保した魔物を渡した。


「アメリ。ビッグクラブってもっと獲ってなかったけ?」


リオが聞いてきた。


「マッドオクトパスのおかげで、今ビッグクラブって全然獲れてないでしょ。つまり、市場には全然出回ってないって事よ。ビッグクラブは必然的に高値で取引されてるでしょ。そこにオレ達の獲ったビッグクラブが大量に出回ったらどうなると思う。」


「安くなるのかな。」


「そう。今度は値崩れするでしょ。だから、そうならないように出荷調整してるわけよ。明日からもずっと高値で買い取ってもらえるようにね。」


「アメリ。お主も悪よのー。」


サオリが悪徳代官の声真似で言った。


「お代官様ほどじゃありませんよ。」


オレも越後屋の声真似で言った。


「それ何?」


オレ達二人が大うけしているとリオが聞いてきた。オレは前世で観た時代劇の悪代官と悪商人のくだりを説明したが、リオ達異世界人にはいまいちピンとこないのかうけなかった。


「悪代官はカイエンで越後屋はアメリで二人で悪だくみをしているのよ。」


サオリも説明したが、リオとセナもピンとこないようであった。


冒険者ギルドを出て家に帰ると、今日の戦利品の確認である。たいへんであるけど、それ以上にうれしい作業であった。オレはアイテムボックスから取り出すとテーブルの上に並べた。みんなで数えたら金貨851枚銀貨3633枚あった。その他に宝石や金や銀の装飾品が多数あった。お宝を整理するとオレのアイテムボックスに再びしまった。貸金庫何ていう気の利いた物がないこの世界ではオレのアイテムボックスが一番便利な金庫であった。


「今日は大金ゲットしたけど。明日も続きがあるから宴会は止めとこ。その代わりに美味しいものを食べに行こうよ。」


「「「賛成!」」」


オレの提案にみんなが乗った。オレ達は冒険者ギルドで聞いたミヒの町一番のレストランに行った。テーブルに着くと今日の反省会である。


「今日の良かった事はなんかありますか?」


オレは司会をした。


「はい。何といっても大量のお宝をゲットしたことです。あと、ビッグクラブが高値で売れたことです。」


経理担当のセナが答えた。


「うん。儲かったよね。もう一生遊んで暮らせるくらい貯まったよね。それで、どうする?もう充分稼いだから冒険者辞めるって人いたら、辞めてもいいよ。財産も四分の一分けるよ。どう?リオ。」


「わたしはお金も大事だけど、それ以上にアメリやサオリと一緒に強くなりたいから死ぬまで辞めんよ。」


「ありがとう。じゃあサオリは?」


「そんな事を勇者のわたしに聞く?聞くまでもないでしょ。わたしが戦うのは使命があるからよ。」


中二病患者のサオリは問題ないか。


「セナはどうなの?」


自分の商会を作るためにお金が欲しいセナはもうお金が貯まったから戦う理由が無いかもしれない。セナが一番辞めそうだ。


「うん。お金もあるけど、わたしはアメリやサオリがどうなっていくのか近くで見てみたいわ。夢を見させてもらうわ。」


「ありがとう。みんな。こんなオレなんかのために。」


オレが涙ぐむと。


「いや。アメリよりもサオリに付いていきたいんだけど。」


リオが言った。


「リオ!ダンジョンでかばってあげたの忘れたの。」


「じょ、冗談です。一生ついていきます。アメリ様。お代官様。」


「うん。それでこそ、わたしの好きなリオよ。ところで、次は悪い事ですけど、何かありますか?」


「はい。脳筋のリオが蝙蝠を少しでも早く撃ち落とすことばっかりに気を取られて、明らかにボスと思われる集団にアメリの指示も待たずにサンダガビームを撃ったのでわたしたちが全滅しかけた事です。」


サオリがリオを睨んで言った。


「危なかったよね。リオさん。どうすれば一番良かったと思いますか?」


「はい。アメリさんの指示を待てば良かったと思います。」


「そうだよね。そしたらオレが鑑定してビッグバットの群体だと見抜いたよね。じゃあ。オレはどんな指示を出すと思いますか?」


「はい。範囲魔法のサンダガを撃てと言います。」


「ほぼ正解だけど、水の魔物と違って火に弱いと思うから明日はファイガを撃ちなさい。リオ!」


リオを睨んでオレは言った。


「はい!」


リオはかしこまって答えた。


「明日はサオリのワープでボスの前に行ってリオがファイガを撃つわ。他のみんなはリオの魔法が効かなかったときに備えて、前倒しでサンダーの呪文を唱えといて。明日こそはボスを撃破して次の部屋に進むわよ。」


「「「おう!」」」


「それで他にありますか?」


「はい。白神やマッドシャークに襲われたことです。」


リオが答えた。


「うん。これは困った問題よね。サオリさん。白神と戦いたいですか?」


「わたしたちは襲われたけど、被害は受けてないよね。わたしは戦いたくないです。」


「そうだよね。逃げよう。」


「あんた達なんで白神にそんなに腰が引けてるの?勇者様らしくないじゃない。」


リオが言った。


「あー。それはね。オレ達のいた世界ではクジラやイルカはとても賢い動物と考えられてるの。それにオレはシャチのショーを見ているからね。殺せないわ。」


「わたしも見たことある。」


サオリも答えた。


「最初に襲ってきたのはオレ達を他の動物か魔物と間違えたからだと思うわ。二回目はボスを襲ったでしょ。」


「たしかに。でも、あんなんに食われるのはまっぴらごめんだわ。アメリ。水の中の警戒は任したわよ。」


リオが言った。


「はい。」


オレは答えた。


「はい。今日アメリがお代官じゃなかったカイエンに金貨を渡してましたけど。あれはどうなんですか?」


サオリが聞いた。


「え?あれは良い事でしょう?何か問題でもあるの?」


リオが逆に聞いてきた。


「うんとね。オレ達のいた世界ではああいうのは汚職と言って金貨を渡した方ももらった方も罰せられるの。それでお芝居で、お代官様と越後屋がお主も悪よのーのやりとりがあるのよ。」


「えー。そうなの。それで、アメリが越後屋でカイエンがお代官の悪者なのね。やっとわかったわ。」


「やっとかい。さっきも説明したのにこの脳筋野郎(笑)」


オレ達が大笑いしていると前菜のサラダが出てきた。反省会はお開きにして食うぞ。


「みんな。料理も来たし、反省会は終わり。食べよ。食べよ。それではいただきます。」


「「「いただきます。」」」




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