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第42話 海辺の温泉街ミヒの町

 登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2


サオリ・・・異世界転移者、お調子者


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者の卵、守銭奴


メアリー・・四人の師匠、ドエス

 ミヒの町、午前10時、季節は夏真っ盛り。


 オレ達4人は町はずれの海岸にサオリのワープで飛んできた。そして一人当たり銀貨3枚(約三千円)を門番の衛兵に払いミヒの町に入場した。町の冒険者ギルドで手続きをすませば、以後は冒険者プレートを見せるだけで、自由に出入りできるらしかった。さっそくオレ達は冒険者ギルドに向った。ミヒの町の冒険者ギルドはダンジョン都市のセシルとは違い小さな建物だった。オレ達は建物の戸を開け中に入った。中に入るやいなや、中にいた五六人の男達がこちらを睨んできた。


「おう。おねえちゃん達。観光に来たんなら、観光案内所は隣だぜ。」


 お約束の、荒くれAに絡まれるイベント来たー。今日のオレ達の服装は装備を外した状態で町娘4人にしか見えないから仕方ないんだけどさ。


「観光じゃないんです。わたし達は駆け出し冒険者で、今日からミヒの町に引っ越してきたんですけど、何分駆け出しなのでみなさんに迷惑かけると思うのでよろしくお願いしますね。」


 リオが珍しく下でに出た。リオに合わせてオレ達も頭を下げた。


「この町は温泉もあって呑気なリゾート地だと思ってきているかもしれねえが、この町はハードだぜ。ダンジョンがねえ代わりに、海があるからな。海には怖い魔物がうようよいるんだぜ。温泉に入ったらすぐに帰った方が身のためだぜ。」


 荒くれBも絡んできた。


「怖―い。おじさん達、助けてよ。」


 リオがかわいらしい声で言った。


「ちっ。しかたねえな。なんかあったらオレ達『海の漢』に言うんだぜ。『海の漢』はこのギルドで一番のパーティだからよ。おねえちゃん達はかわいいから特別に面倒見てやるぜ。」


『海の漢』のリーダーらしき荒くれCが言った。冒険者パーティに通り名を付けるのは有名パーティではよく有ることだし、有名になることを夢見ているパーティもよく付けていた。ちなみにオレ達4人の通り名は『美少女戦隊』であった。


「おう。ノイルちゃん。」


 荒くれCがカウンターの奥に声をかけてくれた。


「はーい。」


 カウンターの奥からノイルと呼ばれた少女が顔を出した。


「この子らが冒険者ギルドに登録したいみたいだぜ。」


「え?この人達?観光じゃなくて?」


 ノイルさんよ。おまえもかい。オレは無言で冒険者プレートをノイルに見せた。


「金色!え!え?A級!えっえー!し、失礼しました。少々お待ちください。」


 ノイルは踵を返すと奥に引っ込んで行った。金色の冒険者プレートはA級の証であった。ちなみにB級は銀色、C級は銅色であった。


「「「なんだってー!」」」 「「「嘘だろー!」」」


 それぞれのリアクションを取ると荒くれどもがオレ達の周りに集まってきた。


「お姉ちゃん。オレ達にもよく見せてくれないか?」


 荒くれCがざわつく仲間を代表して言った。


「はい。どうぞ。」


 オレは荒くれCに冒険者プレートを渡した。


「ほ、本物だ。」


 オレの冒険者プレートをひっくり返したりしながら穴のあくほど見つめて荒くれCが言った。


「もしかして、他のお姉ちゃん達もA級なのかい?」


「そうよ。それがなにか?」


 リオが答えた。


「いや。御見それしました。あっしは『海の漢』なんてちんけなパーティのリーダーをやらしてもらってるブラストって言う者でさ。姉御さんがたがA級パーティとは知らずに無礼の数々、許しておくんなせえ。」


 荒くれCブラストが答えた。こいつらは相手の肩書によって態度を変えるんかい。ていうか、そのしゃべり方と言い黄も〇様の悪役かい。


「ふーん。で、そのブラストさんはもちろんA級なんでしょうね?」


 リオが聞いた。


「いや。あっしらはB級なんですよ。」


 ブラストがおずおずと答えた。


「で、そのB級のみなさんがA級のわたしたちに何を世話してくれるのかしら?」


 リオが皮肉たっぷりに聞いた。


「リオ。お黙り。ブラストさんはじめ『海の漢』の皆さん。こちらこそ、失礼な態度ですみませんでした。うちらは見た通りの若輩者なんでいろいろと失礼もあると思いますが、これからよろしくご指導お願いします。」


 オレはブラストはじめ『海の漢』の面々に頭をさげて回った。オレに釣られて残りの三人も頭を下げて回った。はじめオレ達の腰の低さに戸惑っていた『海の漢』の面々だったが、徐々に打ち解けてきた。


「これは、皆さんへのお土産です。」


 打ち解けてきたのを見計らいアイテムボックスから出して別の袋に移し替えていたケーキやお菓子を配った。砂糖が貴重なこの世界ではケーキやお菓子はまさに貴重品だった。


「ありがてえ。子供たちに食べさせられるぜ。」


「うんまー。こんな美味しい物はこの辺じゃ食えないぜ。」


 ブラスト達は大喜びだった。甘いものに飢えているのは子供も荒くれも一緒だった。


「お姉ちゃん達、いやアメリさん達。オレ達『海の漢』は心底あんた達が気に入ったぜ。A級のあんた達に言うのもおこましいがなんでも力になるぜ。」


 と言ってブラストが手を差し伸べてきた。オレはその手をがっちりと握ると、


「改めてよろしくお願いします。」


 元気に答えた。


 オレ達が談笑していると、ノイルが荒くれを連れて出てきた。


「初めまして、わたしはカイエンと申しまして当ミヒ冒険者ギルドのギルド長を務めている者です。この度はA級冒険者の方々が当ギルドにどう言った御用でしょうか?」


 荒くれは見た目と違い意外と礼儀正しく言った。


「わたし達『美少女戦隊』4人は思うところがありまして活動拠点をセシルから一時ミヒに移そうと思いましてこうして登録に訪れた次第です。」


 オレが代表して答えた。


「それはありがたい事です。わたしどもミヒの冒険者ギルドは見た通り田舎のこじんまりとしたギルドでして、最高でもBランクしか今のところはいなくて、あなた達に登録していただくのは願ったりかなったりです。

 まあ、立ち話も何ですので、奥の部屋でお話しましょう。」


 オレ達はVIP待遇でギルド長室で登録をすることになった。温泉付きの一軒家も特別価格で貨してもらった。長い間A級冒険者不在だった所に突然4人も現れたのだから、冒険者ギルド側の厚遇も当然と言えよう。


「それで、突然で申し訳ないが、マッドオクトパスの巣を退治に行ってもらえないか?もちろん、報酬ははずむ。『海の漢』に頼んでも良いんだが、ちょっと彼らでは難易度が高いんでね。」


 えー!いきなりの依頼ですか。しかもマッドオクトパスって一年前に遊びに来たときにやっとやっつけた魔物じゃないの。それの巣って事はそいつらがうようよいるんだろうね。なんとも人使いの荒い冒険者ギルドだ事。しかし、A級になったオレらの腕を試すには、相手にとって不足はないぜ。





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