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第四話 冒険者ギルド

 毎日の地獄の特訓により、一か月もしないうちにオレはLV15を超えるようになった。メアリーに瞬殺されてたのが、少しは剣で立ち向かえるようになっていた。オレの上達の早さにグレイグとメアリーは驚いていた。女神さまの加護でレベルアップが早いのかもしれないが、それ以上に毎日地獄を見てきたのだから、これぐらいは当然だと思いたい。


 オレは実戦を積むためと収入を得るために、冒険者になりたいと二人の師匠に申し出た。二人は快く賛成してくれた。冒険者になっても、稽古をつけてあげるから遊びに来なさいと二人は言ってくれた。


 グレイグは冒険者ギルドに渡す紹介状と支度金として白銀貨3枚を貸してくれた。メアリーは冒険者時代に使っていた片手剣を一振りくれた。素人のオレが見ても凄い業物であった。オレはこんな凄い物はもらえないと辞退したが、わたしの気持ちだと押し切られた。その剣は細身で軽くしかも丈夫で切れ味抜群だった。レベルアップとともに体力は上がり、大剣でも軽々と振り回せる力はあったが、子供であるオレの体格を考えると片手剣がベストであった。


 オレはグレイグの紹介状を持って冒険者ギルドに来た。

 冒険者ギルドは町のメインストーリートにあるひときわ立派な建物だった。冒険者は命知らずの荒くれ者が多かったが、怖い魔物や犯罪者を退治してくれる英雄である。尊敬され、社会的地位も高かった。その冒険者ギルドが立派であるのは当然であった。


 冒険者ギルドの一階の半分は食べ物や酒を提供する場であり、残り半分は依頼を受けたり報告したりする場であった。ラウンジと役所が合体したような変な所であった。


 当然、役所の方へとオレは向かった。


 役所のほうのカウンターには、金髪碧眼の美少女がいた。アリシーと名札に書いてあった。


「あのう。すみません。冒険者になりたいんですけど。グレイグさんの紹介状も持ってきました。」


 オレは少しドキドキしながら、グレイグの紹介状を渡した。


 アリシーは紹介状に目を通すと


「しばらくお待ち下さい。」


 あわてて奥に向って行った。


 やがて、アリシーは一人の大男を連れて現れた。


「いやあ。こんにちは。わたしはこの冒険者ギルドのギルド長を務める者でしてトマスと申します。」


 大男がニコニコ笑って挨拶した。


「こんにちは。はじめまして。アメリと申します。」


 オレが少し緊張気味で答えると、トマスはグレイグについて説明始めた。トマスとグレイグはかって同じパーティを組んだこともあるそうで、その腕もさることながらなかなかの人格者で、彼の推薦する者ならば、間違い無いだろうということで、オレは登録料をただにしてもらい、GとFの二ランクをすっ飛ばしいきなりEランク冒険者となった。Eランクからはダンジョンにもぐることが許されるのである。


 オレをいきなりEランクにすると、忙しいのかトマスは再び奥に引っ込んで行った。


 残りの手続きはアリシーがしてくれた。

 名前と住所、生年月日など必要事項を渡された書類に記入して渡すと、ざっと目を通したアリシーが説明を始めた。


「えーと。アメリさんですね。冒険者はGから始まってF、E、D、C、B、A、Sの8段階のランクがあります。アメリさんは特例処置でEランクからのスタートになります。依頼はランクごとに掲示板に張り出されますが、基本的に依頼は一つ上のランクまでしか受けれませんので注意してください。Eランクの方はDランクの依頼までということです。これは冒険者の命を守るために、無理をさせないためのギルド側の配慮です。

 依頼を達成すれば依頼金とポイントがもらえます。ポイントはこの冒険者プレートに魔道機械でこちらで入力します。100ポイント達成でGランクからFランクに昇格できます。アメリさんはすでにEランクなので1000ポイントを冒険者プレートにこちらで入力させていただきます。10000ポイントになればDランクになれますが、Dランク以上は実地試験も受けてもらいます。

 ちなみに登録料は白銀貨一枚ですが、アメリさんは特例で無料です。

 ただ今から、入力しますので、しばらくお待ちください。」


 白銀貨一枚は現世の日本では約一万円に相当する。収入のすべがないオレにとっては大金だった。グレイグの紹介状がなかったら、とてもじゃないが払えない大金だった。


 ちなみに、この世界の通貨レートは銅貨一枚が約十円、白銅貨一枚が約百円、銀貨一枚が約千円、白銀貨一枚が約一万円、金貨一枚が約十万円であった。


 しばらくして、アリシーは一枚のプレートを持って出てきた。


「ここに血を一滴たらしてください。血によって魔動機を使って本人登録します。」


 オレが言われたとおりに血をたらすと、それを持ってアリシーは再び奥に引っ込んだ。


 しばらくして、プレートを持ってアリシーが出てきた。


「これで登録は完了しました。プレートに軽く魔力を流すか、ギルド内のそちらの魔動機にセットすると文字が浮かびます。」


 と、言ってプレートを渡してくれた。


 言われたとおりに魔力を流すと、名前、年齢、性別、住所といったオレの個人情報とともに大きな数字の1000が現れた。


「その1000という数字が現在のアメリさんのポイントですね。ポイントが加算されれば数字も加算されていきます。もちろん、こちらでもバックアップしていますから再発行できますが、再発行手数料として銀貨5枚かかります。身分証明にもなるものですから無くさないようにお願いします。

 あと、何か質問はありますか?」


 オレはいくつか質問をした。それでわかったのは、ポイントは依頼達成したパーティのメンバーで自由に分けられる事、他人に譲渡できない事、一番上のランクのメンバーを基準として低ランクのメンバーでも同じ高ランクの依頼が受けれる事等であった。現在、オレはパーティは組んでいないが、いつかは仲間とパーティを組むこともあるであろうから確認しておいた。偶然に二つ以上上のランクの依頼を達成しても、ポイントは付かないが報奨金はもらえるということだったが、偶然かどうかは審議されるということだった。オレは最後に、オレを襲った龍について聞いてみた。


「この間、街道に現れた龍ですか?目撃情報からして、スカイドラゴンと思われますね。

 伝説によると、100年に一度くらい人里を襲いに来るカタストロフィクラスの魔物ですね。」


「スカイドラゴンですか。そいつの討伐はしないんですか?」


「100年に一度しか出現しない事、すでに魔の山のはるか向こうに飛び去ってしまった事、何よりもカタストロフィクラスの強さである事等で、現在打つ手がありませんね。

 襲われた人たちには気の毒ですけど。」


「え?かたきはうたないんですか。

 あと、100年に一度って誰が決めたんですか?

 明日にも再び襲いにくるかもしれないじゃないですか。

 何とかしてくださいよ。」


 受付のお姉さんに言っても無駄と知りつつも、思わず激高してしまった。


「お気の毒ですが、魔物のテリトリーである魔の山に踏み入ってまで、カタストロフィクラスの魔物を討伐に行けるような冒険者チームは我が国にいませんね。

 険しい山のために大勢の軍隊も入って行けませんし。

 まさにカタストロフィ(天災)ですね。」


「興奮してすみません。

 被害者とはちょっとした縁があったものですから。」


「本当にお気の毒としか言えません。

 ところで、質問がもう無いようでしたら、冒険者登録は完了です。

 説明し漏れたこともあると思いますので、そちらに張り出されてある冒険者規約をよく読んで頭に入れといてください。

 決して無理をなさらずに、命を大事にして頑張ってください。」


 オレはアリシーにお礼を言うとさっそく掲示板に向かった。D、Eランクの依頼ともなると、魔物の討伐など危険を伴う物が多かった。その中で、オレはある依頼に注目した。内容はオークを始めとする食用になるダンジョン魔物の肉を求むといった物であった。周年と書いてあるので、いつでも良いということか?

 オレは迷わず、D7(魔物の肉募集)の張り紙を持ってカウンターに向かった。


「この依頼を受けたいんですけど。」


「はい。D7の依頼ですね。東のダンジョンの10階までに生息する魔物を討伐して冒険者ギルドまで持ってきてください。それから・・・・・・」


 アリシーの説明によると、この町には東西南北四つのダンジョンがあり、そのうちの東のダンジョンには食用になる魔物が多く、東のダンジョンにもぐる冒険者の多くはこの依頼を受けるのだということだった。魔物はその危険度、肉のうまさ、肉の量によって、報奨金とポイントが決められ、オークが一番に実入りが良いということだった。オークは町の外に出るはぐれほど危険度はないものの2~4匹まとまって現れるから、単独での挑戦は絶対にやめるように言われた。Dランクの冒険者が4人以上で臨まないと全滅の危険があるということだ。浅い階層の魔物も買い取るから、浅い階層で力をつけ、仲間を増やしてから、10階のオークに臨めと強く言われた。あと、魔物はまれに魔石を落とすらしく、それも買い取るということだった。




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