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第39話 サンダー突き破り

 登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2


サオリ・・・異世界転移者、王国語を話せない


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者の卵、守銭奴


メアリー・・四人の師匠、ドエス

 地下3階にいったん降りると、すぐにサオリのワープでいっきにリオの部屋に戻った。戦いもしないのに、いったん地下3階に降りたのは、サオリのワープで次はいっきにそこに行くためである。普通に歩いて戻れば、南のダンジョンを出るのに戦闘をしながら小一時間程度、リオの家まで半日以上かかった。つまりサオリのワープはまる一日近くかかる移動時間をなくしてくれるチート能力だった。普通は何日も泊まり込みで攻略するダンジョンを少しずつ家から通いながら攻略できた。リオの部屋で簡単な昼食をすますと、歩いてメアリー師匠の家に向かった。ワープを使わなかったのは、人目に触れるのを防ぐのと、途中で冒険者ギルドや商店によって用事を済ませたかったからである。もちろん、途中でル・クールにも寄らされた。遠慮と言う言葉を忘れた三人はあほみたいに買いまくった。


「ねえ。そんなに買って食べきれるの?ケーキって日持ちせんよ。」


特にいっぱいのケーキを抱えたリオにオレは聞いた。


「大丈夫。大丈夫。わたし達にはいつまでも新鮮なままで保管できる超便利な倉庫があるから。」


両手にケーキの箱を抱えたリオは顎でオレを指して言った。オレのアイテムボックスの事を言ってんのか。オレって便利な倉庫なのか。サオリは便利な足だし。オレ達の能力って。女神さまに申し訳ない。


「あー。そうだね。リオ。あったま良い。ボーナス査定プラス10ポイントよ。」


リオの言葉でセナまで気づいて、ケーキをさらに取った。結局オレはメアリー師匠のお土産と合わせて、白銀貨二枚近く、日本円で二万円近く払わされた。(;´д`)トホホ


もちろん、買わされた大量のケーキはオレのアイテムボックスにしまわれた。これでいつでも出来立てのケーキが食べられるし、崩れたりすることもない。オレ以外の三人はニコニコであった。


「ねえ。はやくメアリー師匠のお家に行って、お土産のケーキを渡そうよ。そしたら、メアリー師匠はわたし達にふるまってくれるじゃん。そしたら、自分のケーキを食べないでもケーキが食べられるよ。」


リオが言った。おまえ、そんなに自分のケーキを食うのがもったいないのか。


「リオ。あったま良い。ボーナス査定さらにプラス10ポイント。」


セ、セナ、おまえもかい。


というわけで、オレ達はメアリ師匠の家を訪れた。オレがお土産のケーキをメアリー師匠に渡すと。


「うわー。これル・クールのケーキじゃないの。ありがとう。わたし、大好きよ。

さっそく、みんなで食べよう。」


メアリー師匠は大喜びだった。リオとセナも大喜びでハイタッチをしていた。メアリー師匠はお茶を淹れてくれて、ケーキを切り分けてくれた。


 「これもお土産です。」


オレはミヒで買った干物を渡した。


「え?なにこれ?魚のミイラ?」


メアリー師匠もどっかの脳筋と同じことを言った。まったく、脳筋野郎どもはこんなうまい物をミイラだなんて。うまい事言うじゃん。


「いや。干物と言いまして、焼いて食べると美味しいんですよ。」


オレは調理したことのないメアリー師匠にかわって後で調理することになった。調理と言っても焼くだけだけど、家の中でやったら大惨事になるのは目に見えているので、オレが調理すべきか。


「じゃあ。そろそろやろうか?」


美味しいケーキを食べてまったりした後にメアリー師匠が言った。オレ達はメアリー師匠の家の近くの空き地に移動した。


 今日の組手はいつも通り竹刀を使ってやることになった。最初はリオ対セナであった。


メアリー師匠はネックレスを家で外してきたみたいだった。これではオレのサンダービーム破りができないな。みんながリオとセナに注目している隙をついてオレは竹刀に細工をした。


リオとセナがメアリー師匠を挟んで対峙していた。二人の口元が動いていた。これは二人とも呪文先倒しの魔法を撃つ気だな。


「それでは。はじめ!」


「ファイアーボール!」「サンダー!」


「そして、突きー!」


勝ったのはセナだった。セナのサンダーがリオのファイアーボールを突き抜けてリオに決まったのだ。サオリの編み出したファイアー突き破りをリオがやったのだった。


「なにー!」


とんだ番狂わせにメアリー師匠はリオの介抱を忘れてセナを褒めていた。代わりにオレがリオにヒールをかけた。


「いやあ。あんたら、面白いわー。アメリの必殺技をセナまで破るなんてね。次はサンダー突きの本家本元のサオリだけど、二人はどうするのかしら?

言っとくけど、ネックレスは家に置いてきたから、アメリのやったサンダー突き破りはできないわよ。」


メアリー師匠は大興奮であった。


「メアリー師匠、オレにやらせてください。オレがまたサンダー突きを破って見せますよ。」


オレは手をあげて言った。


「アメリ。あんたまたなんかやる気ね。でも、わたしを避雷針にはできないわよ。どうするのかしら。でも、おもしろい。アメリやりなさい。」


オレはセナと向かい合った。セナの口元が動いている、間違いなくサンダーが来るな。オレは足元の地面を足で掘って柔らかくして竹刀を突き刺した。


「それでは、始めーっ!」


「サンダー!」「ウオーターボール!」


「そして突きー!」


勝ったのはオレだった。


「なにー!何?今のどうやったの?アメリ。教えて。」


また、倒れたセナも介抱しないでメアリー師匠がオレに詰め寄った。セナはサオリがヒールをかけて介抱した。


オレは地面に突き刺した竹刀をメアリー師匠に渡した。


「え?竹刀がどうしたの?」


「良く見てください。針金が一本仕込んであるでしょ。」


「うん。それがどうしたの?」


「わからないかな?メアリー師匠も脳筋?その針金がメアリー師匠のネックレスの代わりなんですよ。」


「脳筋がなにかわからんけど、わかったぞ。この針金がサンダーを受けたのね。」


「それだけじゃないですよ。地面にまでさすことで、サンダー(電気)を全部地中に逃がしてしまったんですよ。」


「凄い。やっぱりあんた達は面白いわ。でも、アメリだけがその竹刀を使うのは不公平ね。サオリの竹刀にも針金つけてあげなさいよ。」


オレは渋々サオリの竹刀にも針金を付けてやった。


「アメリ。あんた得意の小細工ね。でも、ネタは割れたわよ。次はどうするのかしら?」


サオリが試合前の挑発をしてきた。


「大丈夫。次はオレもサンダーを撃つから。」


「やっぱり脳筋ね。サンダーは通用しなくなったんじゃないの。じゃあ、わたしはあんたの得意技のファイアー突きを出すわ。」


サオリが挑発に乗ってきた。しめた。


オレとサオリはメアリー師匠を挟んで対峙した。


「それでは始めーっ!」


「ファイアーボール!」「サンダー!」


オレのサンダーはセナの放ったようにこっちにまっすぐとんでくるのではなく、サオリの上空からサオリに降り注いだ。しかし、サンダーはすべて竹刀の避雷針に落ちた。なのに、なぜかサオリは棒立ちしていた。オレはファイアーボールを避けた体勢を立て直すと。


「そして、突きー!」


オレは棒立ちしているサオリの顔面に右ストレートを決めた。


「何―!なんでなんでー?避雷針にサンダーは落ちたんじゃないの?」


またもや、負傷者を放り出して審判のメアリー師匠が詰め寄ってきた。


代わりにオレはサオリにヒールをかけてから説明した。


「ええ。見事に落ちましたよ。」


「じゃあ、なんでサオリは棒立ちしてたの?」


「それは地面を見てください。先程のセナが喰らったオレのウオーターボールでサオリのいた地面はビショビショでしょ。」


「あ、本当だ。」


「しかも、サオリはずぶ濡れのセナを介抱していたから自分も濡れていたんですよ。」


「え?それがどうしたの?」


「やっぱり、メアリー師匠は脳筋だ。あ、失礼。濡れた手で電気製品を触るなってのはオレのいた世界じゃ常識なんですよ。水は電気を通しやすいですから。竹刀の避雷針に落ちたサンダーは地中に流れずに濡れた地面を流れてサオリにまで流れたんですよ。駄目押しですけど、昨日行った海の水をアイテムボックスから取り出して作ったオレの特性ウオーターボールは普通のウオーターボール以上に電気を通しますからね。」


「でも、サオリがファイアーボール以外を撃ってきたら、どうしたの?」


「まあ、最初から避けるつもりだったから何撃ってきても避けれますよ。それにサオリはファイアーボール以外は撃ってきませんよ。なぜなら、自分の必殺技をオレに破られて頭に来てますからね。オレの必殺技で返してくるでしょ。それに、そうさせるように挑発しましたから。」


「アメリ。あんた最高だよ。」


オレは頭をガシガシとなでられた。


「じゃあ、次はわたしの番ね。」


メアリー師匠がサオリの竹刀を取ってオレに対峙した。


「そこで、いいんですか?」


メアリー師匠は先程までサオリが倒れていた濡れた場所にいた。


「あっ。そうか?まずいかな?でも、場所移るのめんどくさいからここで良いよ。あっ。リオが審判して。」


チャンス。この脳筋野郎に日ごろの恨みを返せる。呑気に竹刀を構えやがって、オレがやったサンダービーム対策もしないのかよ。これはサンダー突きのチャーンス。


「それでは、始めーっ!」


リオが合図した。


「サンダ・・・」


オレが呪文を唱え終わる前にメアリー師匠の突きが飛んできた。また縮地かよ、と思いながらオレは気絶した。




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 読んでくださってありがとうございます。ブックマークしていただいてありがとうございます。

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