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第363話 二号(アメリ)のプレゼント

 



 わたし達五人は地元民のユウを先頭にハナハナの街を練り歩いた。ギャングの親分の二号アメリを筆頭に妖しさ満点の集団であったが、男装のおかげでか素性がばれる事はなかった。


 ユウの案内で入ったお店は中々おしゃれで落ち着く雰囲気のお店だった。窓際の席に座るとトロピカルなフルーツジュースにパンケーキみたいなスイーツを各自注文した。普通ならこれから楽しい女子会が始まる所だが、今回の集まりはトシコとユウの確執を取り除くと言う大きな課題がわたしにはあった。わたしが骨を折っても良かったがリーダーの二号アメリがいるのにしゃしゃり出るのもおこがましい。二号アメリに任せてとりあえずは黙っている事にした。


「ねえ。ホノカとユウはトシコの部屋に来たけど、何か用があったんじゃないの?」


 黙っていようと思ってたんだけど、二号アメリに問われたなら仕方ない。


「うん。用というほどのもんじゃないんだけどさ。ユウがトシコにリベンジしようと考えてるみたいだから、できたら仲直りさせられないかなと思ってさ。」


 わたしは答えた。


「そうなの?ユウ。」


「リベンジって言ってもトシコよりも強くなって試合でぎゃふんと言わせたいだけだから心配いらないよ。アメリ。」


「なあんだ。リベンジって言うからトシコを裸にしようとしているのかと思ったわ。」


「そんな下品な事はしないよ。」


「下品で悪かったわね。わたしの技は下品なのばっかりだから、また裸にしちゃうから。」


 トシコったら黙っていれば良いのに、また余計な事を言った。


「やれるもんならやってみなさいよ。今度はそっちが裸になる番よ。」


 下品な事はしないって言ったくせにユウったらトシコを裸にする気満々だった。


「もう。あんたら。裸裸ってブラジャーぐらいは付けなさいよ。」


 そう言って二号アメリは二組のブラジャーをアイテムボックスから出した。


「これは?」


 ユウが受け取って聞いた。


「サオリ用に作らせたものだけど、未使用だから安心して。」


「あ、ありがとう。」


 ユウはお礼を言ってブラジャーをしげしげと見ていた。


「とりあえずは付けて見て、たぶん合うはずだから。」


「わ、わたしのは?」


「あんたのはこれよ。」


 そう言って二号アメリはトシコに手渡した。


「それでこれは?」


「ああ、わたしの予備よ。もちろん未使用だから。」


 つまりはユウは日本人サイズでトシコは王国人サイズって事ですか。なんかトシコに負けた気がするわ。


 二人はさっそくトイレに行って装着してきた。


「びっくりするほどピッタリなんですけど。」


「うん。サオリ用を手直ししてもらったからね。」


「でもなんでわたしのサイズが分かるのよ?」


「うん。鑑定とあとこの手でもんだからね。」


 そう言って二号アメリは両手を握ったり開いたりした。


「じゃあわたしのもそう言うわけなんだ。」


 どうやらトシコのもぴったりだったみたいだった。恐るべし二号アメリ


「これで服を破られても大丈夫だわ。もうあんたの下品な技はわたしには通用しないわよ。」


「あら?あんた慎み深いジパン人なのに下着を見られても平気なの?」


「う!それも困る。」


 ユウは真っ赤になってうつむいた。どうやら口合戦はトシコに軍配が揚ったみたいだった。


「うーん。わたし達は仲良しこよしの集団じゃないから無理に仲良くしろとは言わないけど、ユウは勝負に負けたんだからとりあえずはトシコに従いなさい。」


「そうよ。あんた年下のくせに生意気なんだから。」


「トシコ!わたし達に年上だの年下だのも先輩後輩もないから!」


「は、はい!」


「よし!二人とも握手して。ほら。にっこり笑って。」


 二号アメリがトシコとユウに握手させたが二人ともその笑顔はひきつっていた。


「よし!これで仲良しね!もしまだ文句があるようだったらわたしが相手するけど!」


 二号アメリが笑顔で言ったけど、そこには有無を言わせないものがあった。二号アメリは一見大人しいけど中身はあのアメリなのだからわたし達は誰も逆らえる者はいなかった。おかげでトシコとユウの確執も少しは解消したかな。



 *



 ユウの場合、ジパン国内での移動であるため乗船手続きは簡単な物であった。ちなみにユウはハナハナから出るのも船に乗るのも初めてと言う事で非常に興奮していた。わたし達はと言うとまたあの退屈な日々が始まるのかと思うとうんざりしていた。あ、王国語とジパン語の学習会もあるんだった。退屈だとか言ってられないわね。ジパン語はともかく王国語は早急に覚えなきゃ。



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