第359話 ハナハナ到着
カタリナの次の寄港地はハナハナであった。地図で見るとハナハナは絶海の孤島であったが、ジパン領であったためついにジパンに到着したと言っても良かった。と言ってもジパン本土に着くまではあと三日かかるのだけど。ジパンが地球で言う所の日本だとするとハナハナは沖縄って言う所か。まあ要するに本土から遠く離れた南海のリゾート地って所ね。公用語もジパン語なのでジパン人のイサキがいるわたし達にとって不便のない土地だった。
「ねえ。ハナハナってどんな所?」
「そうね。元々はハナハナ王国ってのがあったけど、遠い昔にジパンに併合された所でハナハナ王国由来の遺跡とかたくさんあって海もきれいだし観光地として賑わってるわね。」
一号がイサキに聞いたんだけど、イサキと一号の会話は王国語でわたしとトシコにも分かるように一号が日本語に通訳していてくれたわ。ちなみにわたし達美少女戦隊の公用語は王国語でわたしもトシコもエリナもただ今絶賛勉強中って所ね。半年分のアドバンテージがあるからわたしは二人に比べたらだいぶ王国語がわかるけど、それでも日常会話程度でヒアリングは少しできるけどスピーチはまだまだって所なの。だから一号の通訳なしでも言ってる事はあらかた分かるんだけど込み入った所までは分からないって感じね。話を戻してハナハナの事なんだけど、まさに沖縄じゃないの。あるいはアメリカならハワイかグアムか。とにかく楽しいリゾート地に違いないわ。
「よし!それじゃあ今日はビーチに繰り出そうぜ!」
やった。良かった。脳筋一号の事だからダンジョンに行こうとか言い出すんじゃないかと心配してたんだ。
簡単な入国の手続きをすませるとわたし達は宿を手配した。宿のいくつかはなんとビーチの真ん前にあるのよね。津波がきたらどうするのかしらと言う余計な心配は置いといて、最高な立地であるのは確かだわ。その中で一番立派できれいそうな宿を一号は手配したわ。分かってるじゃないの。一号。わたし達元日本人の宿に求めるレベルって高いからね。この世界のごく一般的な宿だとわたし達元日本人にとったら汚くてぼろいからね。まあでもお高いんだけど、わたしが払うわけじゃないしね。
かさばる物は一号のアイテムボックスの中に入れているからわたし達の荷物は手に下げた鞄ぐらいの物なんだけど、それを部屋に放り出すと水着に着替えてわたし達は目の前のビーチに駆けつけたわ。ちなみに一人一部屋よ。贅沢かもしれないけど、今まで船の中で雑魚寝だったからプライバシーもへったくれもあったもんじゃなかったからこれは本当にありがたかったわ。
当然わたし達は全員水着なんだけど、なんか現地の人達ってこう言った体にぴったりと密着した水着を着てないんだよね。普通のシャツに半ズボンって感じなの。何が言いたいかって言うとわたし達7人は非常に目立つの。ビーチの視線を独り占めよ。日本じゃ普通のワンピースの水着もここじゃ、めっちゃ、エロいみたい。一人だと恥ずかしくてこの格好じゃ到底いられないと思うけど、7人もいたら堂々としたものよ。見たければ見れば。どうぞってなものよ。
やはりって言うか当然と言うか。一号とリオの二人の王国人のスタイルは凄いわね。わたし達日本人組もジパン人のイサキもそれなりにスタイルは良い方だと思うんだけど、この二人には到底敵わないわ。特におっぱいがね。何食べたらこんなに大きくなるんだろ?あ、わたし達も同じもの食べてるか。でも意外だったのはトシコよ。日本人なのにおっぱいだけなら二人に負けてないのよ。サオリもイサキもそれなりにあって、わたしだけちょっと悔しい。あまりにも悔しいのでトシコのおっぱいをもんでやったら一号に注意されたわ。
「おい!ホノカ!誰に断ってトシコのお乳をもんでんだ!トシコのお乳をもんで良いのはオレだけだぜ!」
そう言って一号もトシコのおっぱいをもんでいた。
「ちょ!やめてよ!そんなことするならわたしもするわよ!」
そう言って今度はトシコが一号のおっぱいをもみ返した。
わたしもどさくさに紛れて一号のおっぱいをもんだんだけど、やはりわたし達日本人じゃ王国人には敵わないとわかったわ。張りが違うのよ。張りが。
それを検証するためにリオのオッパイもももうとしたら海の中に沈められちゃった。
*
海で泳いだ後は浜辺で体を焼きたいところだけど、この世界じゃろくな保湿クリームもないから、一号の取り出したパラソルの下でお昼寝よ。美肌を保つためには焼きすぎるのは厳禁よ。元々白い王国人達はそんなに美白に気をつける必要ないんだけど、彼女らはわたし達日本人に比べてお肌が弱いみたい。だから日差しが苦手みたいなんだよね。それで彼女らもパラソルの下に避難してるんだよね。
こんだけエロい格好をしたエロい娘たちが7人も集まって大騒ぎしてるんだから、前にも言ったけどビーチの注目を独り占めしていたわ。多くは遠巻きに眺めているだけなんだけど、中には勇気を出して話しかけてくる人達もいたわ。そのほとんどはジパン人の若い男の観光客みたいで、いわゆるナンパね。イサキが適当にあしらってたわ。
そんな中一人の女の子が声を掛けてきた。
「すみませーん。」
わたし達は飛び起きたわ。だってその子の言葉、ジパン語じゃなくて日本語なんだもん。
「あのう、あなた達はもしかして日本人ですか?」
「そうだけど、あなたもね?」
一号が何か言いたそうだったのを制してサオリがその女の子に言った。だって一号の見た目に日本人の要素は一ミリもないもんね。
「うん。まあそんなもんだけど。懐かしいわ。ねえ、わたしも海水浴に混ぜてもらって良い?」
「もちろんよ。」
サオリに言ったけど、そんな食事の相席みたいな軽い感じで良いの。わたしは納得がいかなかった。
「ねえ。あんた。随分覚めてるけど、日本人に会えてうれしくないの?わたしもトシコも会えた時は涙が止まらなかったのよ。」
「もちろんうれしいけど、わたしジパン人だし、それに日本人に会うのは初めてじゃないから。」
「え!」
その子が答えた事をかいつまんで言うと、その子、ユウはわたしやサオリやトシコみたいな転移者じゃなくて、いわゆる転生者で最近前世の日本人であった記憶を思い出した所であり、ジパンでは迷い人いわゆる転移者がそれほど珍しくもなく、わたし達以外にも何人かの転移者とあった事があると言う事だった。
「だからそれなりには感動するけど、泣き叫ぶほどじゃないのよ。」
「悪かったわね。泣き叫んじゃったりして。」
こいつなんか感じ悪い。わたし、好かんわ。
「それでユウはどうしたいんだい?まさか海水浴を楽しんだらさよならって事はないよね?」
「え!異人さんなのにずいぶん日本語うまいね。」
王国人の一号が流暢な日本語で聞いた物だからユウはびっくりしていた。
「あー。申し遅れたけど、オレも転生者みたいなもんだから。で、どうしたいんだい?」
「そうなんだ。かわいい子に転生できて良かったね。うん。わたしただの町娘だったけど前世の記憶を思い出したからには冒険者になっていろいろと見聞を広めたいと思ってたんだ。そしてわたし、これからジパン一、いや世界一の冒険者になるつもりなんだ。
あんた達ただの旅行者じゃないよね。冒険者なんでしょ。どうせなら強いパーティに入れてもらいたいと思ってたんだ。どう?わたしを入れてくれない?」
「もちろん良いけど、オレ達はユウの思うような強いパーティじゃないかもしれないぜ。」
「ふん。ご謙遜を。転移者が4人に転生者が一人のパーティが弱いわけないじゃないの。」
「まあそれなりには強いけどね。」
一号は強いと言われて嬉しそうだった。
「そう言うあなたは強いの?ユウ。」
トシコが聞いたけど、わたしもそれが気になる。
「弱いよ。だってまだただの町娘だもん。そこの宿屋の従業員よ。料理なら負けないけどね。あ、でもそこそこはイケるんじゃないかな。毎日素振りしてたからね。」
素振りで強くなれるならわたしだってするちゅうの。大体何なの。そこそこイケるとか。冒険者なめるんじゃないよ。ゴブリンの巣に放り込んでやろうかしら。そう思ってたのはトシコも同じだったみたい。
「あんた、そんなに自信あるなら。わたしと立会なさいよ。わたしの剣も自己流だけど、それなりのものはあると思ってるよ。」
「ねえ。アメリ。ユウの入団テストでわたしと試合するのはどう?」
「どう?ってうちに入団テストなんてないけど、面白そうだから許可する。」
そう言って一号はトシコとユウの二人に竹刀を渡した。
「ふーん。アイテムボックスか。初めて見たけど、やはり只者ではなさそうね。」
驚くべきことにユウは一号のアイテムボックスを知っていた。
「魔法でも何でもばんばん撃ってきても良いよ。手加減は要らないから。」
さっそくユウはトシコを挑発した。
「ふん。おまえをぶちのめすのに魔法なんか要らないぜと言いたいところだけど、わたしは魔法なんか知らないよ!」
「え!そうなの?ちょっと待って!そうしたら素人同士のただのチャンバラになっちゃうじゃないの。魔法ができる人いないの?」
「お、おまえ!わたしを素人と言うのか!」
素人扱いされてトシコは怒り心頭だった。
「まあまあトシコ。押さえて。どうやらユウはわたしを指名しているみたいよ。」
わたしは怒るトシコをなだめて竹刀を受け取った。
「あの。わたしの指名してるのはアイテムボックス持ちのそこのリーダーらしき子なんだけど。」
「え!オレ?」
「何この子!むかつく!アメリがわざわざ出る事もないわ!アメリと戦いたかったらわたしを倒してからにしなさいよ!」
こいつどんだけ自信満々なんだ。一号と素人じゃ話にならないぞ。わたしだって本気でやられたら命の保証も無いって言うのに。無謀にもほどがある。その大口を黙らしてやるわ。
「お望み通り熱いファイアーボールをお見舞いしてあげるわ!まあわたし程度の魔法なら死にはしないから安心しなさい!ただちょっとだけ熱いから火傷に気をつけなさいよ!」
おおかたスピードには自信があってファイアーボールぐらいなら避けられるとでも思ってるんでしょ。あるいは詠唱中にこちらを攻撃しようとでも思ってるんでしょ。良いわよ。あえてその思惑に乗ってあげる。
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