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第35話 なつかしき食べ物2

 登場人物紹介


アメリ・・・異世界転生者、脳筋野郎2


サオリ・・・異世界転移者、王国語を話せない


リオ ・・・魔法剣士、脳筋野郎1


セナ ・・・賢者の卵、守銭奴


メアリー・・四人の師匠、ドエス

 オレはサオリと一緒にメアリー師匠の家の台所に立っていた。


「アメリ。今日は何を作るの?」


「この間、これを市場で見つけたから、今日はこれを使ってみようと思うの。」


オレはアイテムボックスから野菜をどさどさと取り出した。


「え?キャベツ?」


「うん。正確には違うかもしれないけど、色と言い形と言い味と言いキャベツね。それと、これも使ってみようと思うの。」


「ニンニクとジャガイモにトマト?」


「うん。もどきだけどね。それとこれね。」


オレはある液体を詰めた小瓶を取り出した。


「え!これって?」


「もちろん、わたしたちの使ってた物とは全然違うけど、味は結構近いよ。あと、これね。」


「これはバターね。」


「うん。チーズやバターなどの乳製品はこっちの世界でも普通に作られてるから、これは簡単に手に入るよ。あと、忘れてたけど最後にこれを入れないとね。」


「え!それって?」


「うん。これは家の店にあった食材で作ったオレの特製品ね。締めにいれようと思って。」


「あ、アメリの作ろうとしてるものが何かわかったわ。懐かしい。わたし、大好きだよ。」


「こっちの世界の人の口に合うかわからんけどね。」


オレはサオリに手伝ってもらって、ジャガイモもどきの皮むきやキャベツもどきのざく切りなどの料理の下準備をした。切った食材を大皿に盛るとみんなが待つ食卓に二人で持って行った。


「え?もうできたの?」


リオが聞いてきた。


「料理はこれからよ。」


オレはリオに答えると、アイテムボックスから出した小型の魔導コンロに大鍋を置いて火を着けた。鍋にはあらかじめお店で作ったおいた出汁を満たし、ニンニクもどき、ジャガイモもどきを入れて煮込んだ。ジャガイモもどきに十分に火が通ったところで、白ワインを入れてオークの薄切り肉とキャベツもどきとトマトもどきを煮た。最後は小瓶の黒い液体で味を調えた。小鉢とスプーンとフォークをみんなの前に配ると、オレはみんなに声をかけた。


「オレとサオリの国の料理でお鍋と言います。お玉で自分で自由にすくって食べてください。お好みでバターを入れると美味しいと思います。」


「その前にお祈りね。いただきます。」


メアリー師匠が合掌をした。


「「「「いただきます。」」」」


オレ達も合掌をした。


メアリー師匠から順にお玉ですくった。


「あつ、あっつい。」


リオがハフハフ言いながら食べていた。


「これはニンミクが隠し味で効いていて旨いわね。あと、この茶色いスープが絶品ね。最後に入れた黒い液体が味の秘密とみたわ。それは何?」


メアリー師匠が味の分析をしてくれて、オレに聞いてきた。


「これは魚醤と言いまして、南の漁師町で作られているそうです。」


オレは小瓶をメアリー師匠に渡すと説明した。


「こ、これは非常にしょっぱいので飲まないほうがいいですよ。」


小瓶の中身を飲もうとしたメアリー師匠をオレはあわてて止めた。


「アメリの料理はやっぱり、お酒に合うわね。」


失態をした照れ隠しでメアリー師匠が言った。


「そう。言われると思って買っておきました。」


オレはアイテムボックスからキンキンに冷えたエールと陶器製のグラスを出してみんなに配った。


「お酒も合うけど、パンと食べても美味しいよね。今日はあの美味しいパンは?」


お酒よりもがっつりと食いたいリオが立ち上がって聞いてきた。


「うん。パンも合うけど、もっと良い物があるの。後の楽しみに取っておいて。」


「わかった。後の楽しみね。」


食いしん坊のリオがワクワクして座った。


オレ達は冒険者アカデミーであった事を面白おかしくメアリー師匠に話した。4対4の決闘や組手の話であった。リオのバカがオレがローク校長に瞬殺された事まで言いやがった。


「ああ、ロークね。アメリじゃ、まだまだ敵わないでしょうね。」


「え?メアリー師匠はローク校長を知ってんですか?」

オレが聞くと。


「まあ、わたしよりは弱いけど、有名な冒険者だった男よ。わたしと同じ魔法剣士だけど、奴は魔法よりも剣の腕が立つタイプだったわね。」


「ええ。そんな感じでした。」


「アメリ、良い先生を見つけたわね。うちのポンコツおやじ(グレイグ)よりもよっぽど腕が立つわよ。ビシビシと鍛えてもらいなさい。」


「ええ、もう充分に鍛えてもらってます。」


オレは腕のパワーリストを外すとメアリー師匠に渡した。


「まあ、良い物を着けてるじゃないの。でも、これも中には金属が入ってるんでしょ。なんで、サオリのサンダーが当たらなかったの?」


「雷様と戦うんだもの、前もって外しておきましたよ。」


「アメリ。やっぱりあんた。最初からわたしを避雷針にしようと目論んでたのね。」


「わかりましたー?」


「わからいでか(笑)。」


オレはメアリー師匠に頭を小突かれた。


「アメリー。セナがお肉ばっかり食うから、お肉がもう無いんだけど、この皿のお肉入れても良いの?」


リオが聞いてきた。欠食児童のリオはともかく、セナまでがっついているとは、この世界の人達にもオレの作ったお鍋が受けているって事だ。


「うん。お鍋の良い所は食べる人が自分で料理して自分で取って自由に食べる所よ。じゃんじゃん入れて良いよ。あと、セナはお野菜もちゃんと食べたほうが良いよ。」


「お鍋の良い所はみんなでワイワイ言って一つの鍋をつまむところね。」


セナが照れ隠しで言った。


「あんたのつまんでるのはお肉ばっかりじゃないの。」


すかさず、リオが突っ込んだ。


お肉と野菜が少なくなってきた所でオレはある物を鍋に投入した。


「後のお楽しみって、それね。その細長いのは何?」


リオがお肉をほおばりながら聞いた。


「うん。これはオレの家の食堂で出してるパスタの材料で作ったんだけど、うどんって言ってパスタの一種ね。お鍋のスープと一緒に食べると美味しいわよ。ちょっと煮えたら、食べごろよ。」


オレはすぐに食べようとお玉を持ったリオを制して言った。


「うまーい。このスープにはお肉とお野菜のエキスが溶け出して絶品だわー。このうどんにこの美味しいスープが絡んで、お腹いっぱいだったのにまだまだ食べれるわー。」


リオを制している間に、セナが勝手にうどんを器用にフォークですくって食べて言った。


「あ、ずるい。わたしも食べる。」


リオもまだ早いと言うオレを無視して、お玉でうどんとスープをすくって食った。


「本当に旨いわー。このうどんとこのスープのコンビは最高ね。」


「わたしもこんな太いパスタは初めてだけど、このお鍋にはやっぱりこれじゃないとダメよね。」


メアリー師匠も大絶賛だった。



こうして、オレの作ったお鍋は大好評で終わったが、全員食べ過ぎで動けなくなり、その日の冒険者アカデミーの授業が散々だったと言う落ちまでついてしまった。




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