第337話 このバカ
わたし達があわてて階段を降りて下の階に着くと、ちょうどボス部屋の扉が開いてホノカが外に出てくるところだった。
「ホノカ、大丈夫?」
わたしが声をかけると同時にホノカに駆け寄る者がいた。
「このバカ!」
クロエだった。クロエはいきなりホノカの頬をはたいた。
「ちょっと!いきなり何するのよ!」
ホノカが抗議するのを遮ってクロエの説教が始まった。興奮して早口でまくし立てるクロエのイーラム語を日本語に通訳するのは大変だった。
「たしかに出過ぎた事したわたしが悪いかもしれないけど、殴る事ないでしょ!」
ホノカとチビ太が反撃に出ようとした。
「ちょっと待ちな!ホノカ!言いたいことは分かるけど、ここは素直に謝っとき。オレ達がどんだけ心配したと思ってるんだよ。ここにいる2号なんて責任を取って、オレの許しも得ずに命を断とうと考えたほどだぞ。」
「え!」
1号が余計な事まで言うもんでさすがのホノカも絶句して考え込んでいた。
「ごめんなさい!勝手なことして皆さんに多大なるご迷惑をかけました。すみませんでした!」
なんといきなり土下座して謝罪をし始めた。
「これって土下座だよね?」
「そう。ホノカの国の最大限の謝罪方法よ。」
イーラム人のクロエにホノカが深く謝罪している事を伝えた。
「もう良いよ。顔を上げて。ボス部屋に入るなと言わなかったこちらにも非があるからそんなに謝らなくても良いよ。ただしこれからはこんな時は魔道具で必ず連絡してね。」
わたしは2号の手を取って立たせた。
「ありがとう2号。」
ホノカが礼を言った。
「お礼は良いからどうやってボスを倒したのか話して。」
「そうよ。わたしもそれが気になる。」
クロエも気になったのかわたしと一緒に聞いてきた。
「そう。そんなに聞きたいなら話すけど。」
ホノカがどや顔で語り始めようとした。ちょっとむかつくんですけど。
「いや。話したくないなら聞かないけど。」
「ごめん。すみません。聞いてください。」
わたしがちょっと意地悪な事を言ったらホノカはあわてて話し始めた。自慢したかったんだろ。素直じゃないんだから。
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