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第325話 正義の冒険者

 



「オレがホノカを嵌めたのはホノカのスキルを発動させるためだし、みんなが助けなかったのはオレに命令されていたからだし悪気は無かったんだよ。でもどうしても許せないと言うならいつでも裸で走り回るよ。」


「それだけはやめて。こっちこそ間接的にせよアメリを襲ったりしてごめんね。わたしこそ裸で走り回らないといけないよね。」


 そう言ってわたしは服を脱ごうとした。


「おい。誰も止めんのかい。」


 わたしは一人でつっこんだ。


「いや。だってアメリと違ってホノカはそんな事は絶対にしないでしょ?ポーズで謝られてもね。アメリだけでなくわたし達全員巻き込まれたんだからこれは美少女戦隊全員に対する貸一つよ。分かった?」


「は、はい。すみませんでした。」


 サオリは中々手厳しい。わたしは素直に土下座した。


「まあまあ、こっちもだまし討ちしたんだからどっちもどっちと言う事で仲直りしよ。頭を上げて。ただしホノカ、これだけは約束して。あんたのその能力は特殊だから私利私欲に絶対に使わないで。」


「は、はい。約束します。」


「オレ達はしがない冒険者だけどさ。常日頃から正義の冒険者でいたいと思ってるからね。私利私欲で動くような悪党は絶対に許さないよ。」


「分かりました。」


「よし。これで仲直り成立。」


 わたしはアメリとがっちりと握手をした。


 *


 わたしの誘惑テンプテーションは女性にも効く事が後の検証で分かった。これはアメリとサオリ立会の元で宿のおかみさんにかけて分かった。と言う事で美少女戦隊のみんなに効かないのはレベル差があるからだと分かった。


「わたしの能力スキルって弱い相手にしか効かないし、しかも簡単に使うわけにいかないし使えねえ。」


「いや。そんな事ないよ。対人関係で理不尽な事に巻き込まれてもホノカが覆してくれるから使えるよ。」


 わたしが愚痴を言ったらアメリがフォローしてくれた。そうかようは使い方次第だよね。悪い奴をどんどん誘惑して味方に付ければ良いんだ。希望が持ててわたしは少し元気が出た。


 後、効果の効き目時間はおおよそ3分ぐらいだと言う事も分かった。切れたらもう一度かけ直せばさらに3分間効果があった。


 効果として簡単な命令を出せるが操られない事もアメリとの戦いで分かっていた。これはスキルの精度を上げて行けばもっといろいろできるだろうとアメリが言ってくれた。スキルもレベルアップできるらしかった。


「あー。でもイケメンは誘惑するなよ。誘惑するなよ。絶対だぞ。」


 えー?それってふり?誘惑しろって事?


「イケメンのつてでもあるの?」


「オレ達美少女戦隊は一応もてるからな。その気になれば合コンぐらいは簡単にできちゃうよ。オレはもてないけどな。」


 後からサオリに聞いた話によると合コンでふられたショックで心の中にいた2号が表に出てくるようになったらしい。こんな自信満々で女のわたしでも惚れるほど男らしいアメリでもふられるんだ。恐るべしこの世界のイケメン。でもやっぱりわたしは誘惑テンプテーションは使わないよ。そんな一時的に惚れさせてもねえ。空しいだけだわ。


「合コンか。じゃあサオリとかはうまく行ったの?付き合ってる人いるんだ?」


「いたけどさ。あんな軟弱者は速攻でふってやったわよ。」


 サオリがぷりぷり怒って言った。まあ確かにサオリと釣り合うような男は中々いないよね。でもこっちの王国人てわたしからすればみんな美男美女なんだけど。わたしはサオリみたいに贅沢な事は言わないわ。みんなのおこぼれでもありがたくいただくわ。今度合コンがあったら絶対に付いて行こうと。


「それでこれが一番重要なんだけどさ。その誘惑テンプテーションが人間以外にも効くかどうかだけど。」


 そう言ってアメリは近くにいた子猫を餌で釣ってわたしの前に連れて来た。


 結論から言うと効いた。ただし人間以外はその目を見ないとかけられない事も分かった。人間は言葉でもかけられるみたいだけど。これって瞳術?もしかしたらスキルを磨いて行けば相手に幻を見せる事も可能なんだよね。でも魔物にも効くのかしら。


「ねえ。わたしの誘惑テンプテーションて魔物にも効くんだよね?」


「うん。効くと思うよ。でも魔物っていろいろ手強いから効いてもせいぜいゴブリンぐらいまでじゃないかな。」


 わたしの問いにアメリが答えてくれた。でもそしたらあの恐いお兄さん達はゴブリン以下って事?そう考えたらあんな奴らたいした事ないと思うけど、よく考えたらわたしはそのゴブリンから半日逃げ回ってたんだっけ。いずれにしろゴブリンに効くならああしてこうしてやるわ。人間に対してのスキルの発動は制限されてるけど魔物に対しては使い放題だからね。人間に使えない分魔物に使ってうっぷん晴らしてやるわ。今から魔物との対戦が楽しみなんだけど。


 ぐふふっとわたしが笑っていると、


「あー。ホノカったらゴブリンでうっぷん晴らそうとしてるでしょ?」


 サオリが言った。サオリってわたしの心が読めるの?


「サオリ凄い。わたしの心が読めるんだ。」


「ていうか。誰でも読めるよ。ホノカ、あんた。アメリと思考回路が一緒なんだもん。」


「オレと一緒ってどういう事だ?」


 アメリがむっとして聞いた。


「単純だって事。」


「「なんだと!」」


 アメリとハモってしまった。どうやらわたしとアメリはサオリの言う通り単純人間みたいだった。




 ********************************


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