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第314話 双子?

 



「コメリさん。あんた双子なのかい?」


 オレの横で馬車を操るフレデリックが聞いてきた。しまった。泳ぐのに邪魔だしどうせ誰も見てないと思ってベールを脱いでたんだよなあ。


「あれ?わかりました?」


 まあ双子ってしといたほうが無難だわ。オレがまさか2号の式神だとか口が裂けても言えんしね。


「そりゃあわかるさ。同じ顔が二人いりゃあな。」


「さすがですね。いろいろとめんどくさいからオレの方は顔を隠してるんですよ。」


「ふーん。双子ってのも大変そうだな。せっかくの美しい顔まで隠さないといけないなんて。」


「そんな美しいだなんて。」


 思わず真っ赤になって照れてしまった。お世辞かもしれないけどフレデリックさん口が達者じゃないか。オークよりも不細工だと言われた式神オレも美しいとまで言われるようになったんだなと思うと素直にうれしかった。


「それでどうせ素性がばれてるんだからその被りベールを脱いだらどうだ?そんなもん被ってたら暑いだろ?」


 たしかに今日みたいな暑い日に被りベールはちょっときつかった。式神のオレだって暑い時は暑いし汗もかくんだ。


「そうですね。暑いしもう脱ぎますわ。」


 オレは被っていたベールを脱いだ。顔に当たる風が心地良い。生き返った。


「おお。やっぱり美しい。こんな美しい顔を隠しておくなんてもったいないぞ。」


「もたいないって誰かに見せるわけじゃないから良いんですよ。」


「いやいや。俺に見せてくれよ。」


「オレなんかの顔で良かったらいくらでも見せますけど、中の子達の方が美女じゃないですか?」


「たしかにお前さん達は美女揃いだけど、俺の好みから言ったらコメリさんあんたが一番だと思うけど。」


「まったく口が達者なんだから。でもありがとうございます。」


 くうー。リオとサオリにも今の言葉を聞かせたかった。


「いやー。うれしいですね。まあこれでも飲んでください。」


 オレは気分が良いのでアイテムボックスから冷えたエールの瓶を取り出すとコルクの栓を抜いてフレデリックに渡した。


「これはキンキンに冷えたエールじゃないか!どっから出したんだ?」


「オレはマジシャンですからね。手品のタネは明かせませんよ。」


「え!冒険者じゃなかったの?まあどっちでも良いや。ありがとう。」


 お礼を言うとフレデリックはごくごくとエールを飲み干した。


「くー。美味い。まさかこんな所でキンキンに冷えたエールにありつけるなんて思ってもいなかったぜ。」


「もっとあげたいところなんですけど、今は運転中なんで控えてください。」


「運転中と言うか仕事中だから我慢するよ。でもおかげで俺も一気に涼しくなったぜ。ありがとうよ。」


「代わりと言ってはなんですけど冷たいお茶やジュースならいくらでも出すので言ってください。」


「いやあ、至れり尽くせりで悪いね。でも外の俺達がこんな贅沢してたら中の人達に悪いんじゃないかな?」


「ああ。良いんですよ。中の人達はとっくに爆睡中ですから。」


 オレは振り返って馬車の中を見渡して答えた。



 *



「フレデリックさん。悪いけど、馬車のスピードを上げてもらえないですか。」


「え!どうしたんだ?」


「つけられてますね。魔物の群れに。」


「振り切れるのか?」


「いや。無理ですね。つけてるのはワーウルフですから馬車より速いですね。」


「じゃあ馬車を止めて戦った方が良いんじゃないか?」


「そしたら一気に取り囲まれますよ。さすがのオレでも10匹近くの魔物を一遍で相手にするのは分が悪いですよ。」


「え!何言ってんだ。中の仲間に助けを求めないのか?」


「ワーウルフごときに助けを求めたら笑われますよ。」


「え!今分が悪いって。」


「と、とにかくですね。フレデリックさんは運転に集中してください。馬車はオレが絶対に守りますから。」


 フレデリックにそう告げるとオレは馬車の屋根に登った。登ったは良いがこんな不安定な場所では得意の刀も槍も振り回せない。落とされないように屋根にしがみつくので精一杯だった。


 なぜこうも魔物に合うんだ。本来は安全なはずの街道でも魔物に襲われる。もしかしたらオレ達の内の誰かが魔物を呼んでいるんじゃないか。スタンド使いがスタンド使いを呼び合うように。おっと今は魔物に集中しないと。




 **************************













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