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第31話 サオリ最強

 は、初めての評価をいただきました。ありがとうございます。


読者様は神様です。


神様、良かったら、お手数かけてすみませんがブックマークや評価をお願いします。


 翌朝、早朝、オレはリオの部屋で朝ごはんの用意をしていた。と、言っても、アイテムボックスから、あらかじめ買っておいたパンやソーセージなどの料理、食器等を出してテーブルに並べるだけなんだけどね。


 ちょうどテーブルに並べ終わったところで、サオリとセナが来た。二人は孤児院からワープしてリオの部屋の前まで来ていた。


「オハヨゴザイマス。」「おはよ。」


 朝から元気なサオリに比べてセナのほうは眠そうだった。


「おはよう。サオリ。セナ。ちょうど今準備ができたところよ。早く食べよ。」


 オレは二人を席につかせた。今日の朝食は焼き立てのパンとソーセージ、飲み物は熱いスープだ。


「それじゃあ、いただきます。」


「「「いただきます。」」」


 オレ達は手を合わせた。この世界では食事の前の祈りの習慣はなかったが、オレとサオリの姿を見てリオとセナも真似るようになっていた。


「うま。このパンの柔らかさ。そして、ソーセージと合わせてほっかほっか。」


 リオが感動していた。


「スープも熱々でおいしいわよ。」


 セナも感動していた。


「ソーセージは屋台のだけど、パンもスープも町一番の有名店の出来立てだからね。特別に頼んで出来立てをもらって、冷めないうちにオレのアイテムボックスに入れたから、いつでも出来立てのホカホカが食えるってわけさ。」


 オレはちょっと自慢げに答えた。


「このチート野郎。」


 リオがすかさずにツッコンだ。


「なによ。誰のおかげで朝からこんな贅沢ができると思ってんの。」


「はい。アメリ様のおかげです。」


 食うや食わずの貧乏人だったリオは毎食感動してくれる。ありがたい。ありがたい。


 朝食が終わり、食器をかたづけると、オレ達はサオリのワープで東のダンジョンの地下五階に飛んだ。


 今日も登校前にオークを狩って、経験値と収入を得るためである。


「学校での魔法の練習があるから、魔力はできるだけ温存しよ。ボス戦といざというとき以外は魔法禁止ね。」


 オレはみんなの前で今日の作戦を告げた。年齢で言えばリオが一番年上であるが、リオ達がオレの事を勇者と勘違いしていることもあり、自然とオレがみんなを仕切っていた。


「えっ。昨日覚えた魔法を実戦で試そうと思ってたのに。」


 リオが不満を漏らした。


「覚えた魔法はすぐに使ってみたいか。そりゃそうだよねー。じゃあ、一回使ってみ。リオの魔法が相手に決まってから、全員で突撃ね。」


「「「おう。」」」


 リオが魔法を使うと言う事で後ろにさがり、代わってサオリが前に出た。前衛二人後衛二人のポジションであった。


 しばらく歩くとオーク四匹が現れた。オークは豚面の亜人で手には冒険者から奪った剣や槍を装備していた。


「リオ。まかしたわよ。」


 オレはリオに声をかけた。リオはうなずくと呪文を唱え始めた。


「ファイアー。」


 リオの掛け声とともに、オーク4匹がいた場所が燃え上がった。燃えたのは、あくまで今までいた場所で今現在こちらに走って向かってきているオーク達は無傷であった。


「「使えねえー!」」


 オレとサオリは叫びながら、目の前に来たオークに突きを撃った。残りの二匹は後衛のリオとセナに向ってきた。


 リオは自分の前に来たオークを横なぎに切り払うと、セナの槍で動きの止まったオークにとどめの突きを入れた。


「ごめーん。わたしのファイアーが全然当たらんかって。もう、魔法は撃たんほうがいいかな?」


 リオが頭を掻きながら言った。


「ファイアーって使えないね。メアリー師匠が使わないわけだわ。」


 セナが言ったが、オレは使い方次第だと思っていた。


「今度はオレに撃たしてくれんかな?ただし、前衛でね。」


 オレが言うと。


「何か。考えがあるのね?」


 リオが聞いた。


 オレは無言でうなずいた。


 そして、次に現れたオークも4匹だった。


 オレは走り出した。一人走り出したオレに向って4匹が同時に向ってきた。


「ファイアー。」


 オレは向かってきた4匹が至近距離まで近づいた瞬間にファイアーを撃った。オレの前に突然できた炎の壁につっこんだ2匹は悲鳴をあげて苦しんだ。残りの2匹は炎の壁にひるみ、足を止めた。オレは炎に焼かれている2匹にとどめをさした。ひるんだ二匹は追いついたリオとサオリが切り払った。


「どお?魔法はこう使う物よ。動きまわってくる相手をめがけてただ撃っても、だめよ。動きを読んで撃たないと。あと、呪文は前倒しで唱えとかないとね。」


 オレはどや顔で解説した。


「すっごーい。さすがアメリ。勇者様は違うね。」


 リオが感心して言った。


「今のはわたしの能力とは関係ないよ。違うのは頭ね。頭。」


 オレは頭を指してリオに自慢した。


 サオリにも日本語で解説して自慢した。


「脳筋娘にしてはやるじゃない。脳筋ナンバーワンはリオだったって事ね。」


 サオリが茶化した。


「ねえ。サオリはなんて言ったの?」


 自分の悪口を言われているのを敏感に察知したリオが聞いてきた。


「脳筋ナンバーワンはリオだってさ。」


 オレは正直に答えた。


「どうせわたしはバカですよ。剣も魔法も自慢の美貌だってサオリにはかなわないし、わたしはミソっこですよ。ふーんだ。」


 リオが拗ねてしまったが、それはどうでもいいが、今なんか気になる事を言ったな。


「サオリのほうが自分よりも美人だと思っているの?」


 オレは聞いた。


「当たり前じゃない。わたしはサオリほどの美人は見たことはないわ。」


 さも当然とばかりリオが答えた。


「サオリって美人なの?」


 オレはセナにも聞いた。


「うん。とってもきれい。」


 えー。驚いた。サオリはまあまあ整った顔をしているが、そんな美人と言うほどでもない。元日本人のオレの感性では。リオやセナのほうがはるかに美少女だと思うが。ちなみにオレ自信もサオリよりもはるかに美人だと思っていたのだが。この世界では違うみたいだった。よく日本人の女の子が海外でもてると言うが、それか。


「さっきから、サオリ、サオリって言ってるけど、みんなは何て言ってるの?」


 サオリが自分の名前が出てきたので聞いてきた。


「ああ、あんたが一番美人だってリオとセナが言ってるのよ。けっ。」


「え。まじで?」



「そうよ。まじよ。けっ。」


 オレはふてくされて言った。


「あんた、なんで不機嫌なの?まあ、いいわ。それで、えー。わたしってやっぱり美人なんだ。でも、絶世の美少女のリオよりも?セナだってすんごい美少女なんだけど。あ、アメリもそこそこね。」


「はいはい。わたしはどうせそこそこですよ。日本じゃそこそこのあんたもこの世界じゃ絶世の美少女みたいよ。良かったわね。」


「えー。そうなんだ。」


 サオリは満面の笑みだった。


「なんか、サオリがすごい喜んでるみたいだけど?」


 リオが聞いた。


「わたしたちの元の世界では、サオリは美人じゃないの。おそらく、人生で初めて美人っていわれたもんだから舞い上がってんのよ。」


 オレが答えると。


「えー。うそー。こんなに美人なのに、なんで?」


 リオが驚いた。


「なんでかはオレが知りたいけど。美人の基準はこっちとあっちでは違うみたいね。リオはあっちの世界でも美人だけどね。」


「そうなんだー。わたしたちとあんたたちは価値観まで違うんだね。まあ、わたしが美しいのはどこに行っても変わらないみたいだけど。」


「価値観とかそんな大げさなもんじゃないけどね。まあ、あっちの世界でもあんたはアホだけどね。」


 「アホってなによ。女の子はちょっと抜けてるくらいがかわいいってみんなが言ってくれるんだから。」


 リオがふてくされた。


「ああ、そう言う事はわたしたちのいた世界でも言うわね。でも、それは女は男より下だと思っている男達の勝手な言い草よ。わたしたちは男にも大人にも頼れない冒険者なのよ。生き残るためにもっともっと頭を使わないとダメよ。サオリに脳筋だと言われてるオレでさえ、こうしてない頭を使って、工夫してるんだから。」


「わかった。わたしもなるべく頭を使って脳筋ナンバー1から脱却してナンバー2を目指すわ。」


「そこは脳筋からの脱却を目指すでしょ。脳筋同士で張り合ってどうするのよ。だから、脳筋ってサオリに言われるのよ。」


「ごめん。」


 サオリが委縮してしまった。フォローを入れないと、めんどくせえな。


「まあ、難しい事はオレとサオリで考えるからリオは今まで通りみんなを明るく盛り上げてくれるといいよ。リオの良さはその明るい性格だから。」


「うん。そうだよね。わたしにはわたしの良さがあるよね。」


 リオが明るく答えた。ちょろいな、このちょろさがサオリに脳筋て言われる原因だろうな。困ったもんだ。


 話しが大分それてしまったけど、ここはダンジョンの中だ。ダンジョンの事を考えるのが最優先だ。覚えたての魔法を実戦で使うのは良いことだ。オレとリオを脳筋野郎とさんざんバカにしてくれたサオリさんに頭を使った魔法を見せてもらおうじゃないか。


「ねえ。みんな聞いて。

 学校の授業で覚えた魔法を実戦で試すのは、大変良い事だと思うわ。さっきのリオみたいに失敗しても、それを工夫で立て直す事ができるし、魔法の弱点もわかるし。それで、順番に一人ずつ昨日覚えたファイアーかサンダーを撃つってのはどう?」


 オレはみんなに提案した。


「それはいいわね。わたしとアメリはもう撃ったから、次は頭のいいサオリさんに手本を見せてもらおうよ。」


 リオがにやにやして言った。サオリの失敗を期待しての事だと思うけど、オレも今気づいたけどサオリにはあの技があった。オレは渋々サオリに伝えた。


「わかった。魔法の使い方を教えてあげるわ。わたしも前衛でお願いね。」


 サオリは答えるとリオと入れ替わった。


 しばらく歩くと遠くにオーク3匹が見えてきた。


「トマッテ。」


 サオリが王国語でみんなに指令を出すと同時に。


「サンダー!」


 遠くにいたオークの一匹が倒れた。


「サンダー。」「サンダー。」


 残りの二匹もサオリの掛け声と同時に倒れた。


「えー!何今の。凄すぎるんですけど。説明して。」


「そうよ。説明して。」


 リオとセナが魔法を撃った当事者のサオリと通訳のオレに詰め寄った。


 オレはサオリに説明するように言った。


「今のはね。サンダーをオークの真上から落ちるんじゃなくて、わたしの槍の先から飛ぶようにしたのよ。まっすぐオークに照準を合した槍のね。わたしの必殺技、サンダービームよ。」


 得意満面でサオリは解説した。この世界には銃と言う物はなく、ましてレーザービームなんてものは考えも及ばない。雷がまっすぐ光の速さで進むなんて知っている者もいない。サンダーをこのように使うなんて元日本人のサオリだからこそ思いついたわけであった。


 オレはいやいや通訳してやった。


「なんかよくわからんけど、呪文を唱えてないのは?」


 リオが聞いてきた。


「一発目はあんたたちもやってる呪文の前倒しよ。二発目、三発目は無詠唱だけど。これはついでよ。」


 サオリが答えた。


「バカのわたしにはよくわからんけど。わたしたちにもできるかな?できるんだったら教えてよ。」


 リオがサオリと通訳のオレに頭を下げた。


 こうして、サオリ先生のサンダービーム講座が始まった。槍や刀を鉄砲に見立てて狙いを付けて槍や剣の先からサンダーを飛ばすもので、オレの必殺技のファイアー突きをマスターしている、オレも含めた三人は武器の先からサンダーを撃つのは難しい事ではなく、すぐにマスターした。


 もちろん、他の人の前で絶対に使わないように二人に釘を刺しておいた。とくにリオに。


 今日はまったくサオリデーであった。リオもセナもサオリをほめてチヤホヤしていた。


 おもしろくないオレはオレの魔法の番が回って来たときにサンダーを撃った。


 オレの撃ったサンダーは動き回るオーク達を追いかけるように曲がり当たったように見えた。実際は速過ぎて肉眼では見えてないが、それだけ広範囲に散ったオークを逃さなかったって事だ。


「な、何―。今のは。」「説明して。」


 また、リオとセナが詰め寄ってきた。


 オレは雷の性質を簡単に説明した。


「サンダーはね。剣や槍などの金属をめがけて落ちるのよ。あと、高いものにね。ここは何にもないから、周りより一番高くて金属を持ったオークたちに落ちたのは当然ってことよ。逆に言えば、サンダーを避けるには武器を放り出して伏せればいいって事よ。」


「じゃあ、サオリのサンダービームも避けれる?」


 リオが聞いてきた。


「サンダーの速さは光速と言ってこの世で一番速い物なの。だから、絶対に避けれないわ。魔法を使った稽古でわたしがサオリにかなわないの知ってるでしょ。」


 オレは不機嫌に答えた。


「やっぱり、サオリ最強。」


「天才。」


 オレが褒めたたえられるはずが、リオもセナもサオリのほうを褒めたたえて、いろいろ言ってきた。いちいち通訳させられたオレは面白くなかった。


 調子に乗りやすいタイプのサオリは調子に乗った時は本当に強い。ボス部屋のオークロードと手下のオーク二匹を一人でやっつけてしまった。


 このチート野郎め。


 ダンジョンのラストボスであるオークロードを倒すとオークロード達の死体は光の球になって消えて代わりにひときわ大きな魔石が一個と大きな魔石が二個現れた。魔石を拾ってしばらくすると、ダンジョンの入り口まで飛ばされた。ダンジョンに強制排除されたわけだ。




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