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第309話 水着で勝負

 



 普通はたらふく食ったら後は昼寝と相場は決まっているんだが、馬車の中で散々眠ったんだろう。リオ達はみんな元気だった。と言うより狭い所(馬車)に閉じ込められていたから広い所でのびのびしたいのだろう。


「よーし!ちょっと散歩に行くぞ!」


 リオがアーリンの手を引いて連れ出そうとしていた。やれやれ元気だねと思っていたら。


「何他人事みたいな顔しているのよ。コメリちゃんも行くのよ。」


 オレも文句を言わせずにつれていかれた。オレが行くと言う事はマスターの2号も必然的に行く事になった。残る一人のサオリも特に反対はしなかった。と言う事で結局五人全員が村の外に出る事になった。


 村の側にはきれいな川が流れており先程食べた魚はここで獲れたものであろうと思われた。早速オレ達は川の中に入った。水は少々冷たかったが気持ちよかった。あ、オレは式神だけど冷たいとか熱いとかの感覚は人間と同じだからね。


「ねえこれって泳げるんじゃない?」


 最近泳ぐことを覚えたリオは水があればどこでも泳ぎたがる。水場は人間にとって大事な水の確保場であると同じように魔物にとっても大事な場所である。そこを裸同然の水着姿で泳ぐなんて無防備すぎる。無防備すぎるけど、裸とは言えオレ達に傷をつけられるような魔物はおいそれとはいないだろう。


「水着ならいくらでもあるよ。」


 オレはリオに乗ってアイテムボックスからみんなの水着を取り出した。


「え!こんな所で泳ぐなんて危険すぎる。」


「さすがはサオリさん。危機管理がしっかりしてらっしゃる。じゃあサオリが監視役ね。」


「ちょっと。みんなが遊んでるのにわたしだけに見張り役を押し付けるの。わたしも川で泳いでさっぱりとしたいよ。馬車の中は結構ムシムシしてたんだからね。」


「わかった。わかった。じゃあこれから全員で泳ぐぞ。だけど水場は外も中も危険だからくれぐれも警戒を怠らないように。」


「「「「おう!」」」」


 2号もアーリンも泳ぎたかったんだろう。みんな争うようにオレから水着を取っていった。更衣室?そんな物ありはしない。みんな剣と鎧を脱ぎ捨てるとあっという間にすっぽんぽんになった。すっぽんぽんで泳いでも良いけど、さすがにそれは恥ずかしいよね。だってこれでも一応乙女なんだから。その代わり水着は凝ったぜ。この世界には水着なんて無いから、全部特注品だ。本当はビキニにしたかったけど一部の隊員の反対でオーソドックスなワンピースタイプとしたぜ。でもこれでもこの世界では大胆過ぎるんだぜ。色とデザインは統一しようかとも思ったけど、そうするとどれが誰のか分からなくなるかもしれないので一人一人変える事にした。黒地に赤はリオ、黒地に黄色はサオリ、黒地に青はアーリン、2号は黒地に白でオレは全部黒だぜ。こうして水着を着て5人並ぶと○○レンジャーみたいでかっこいいだろ。五人揃って○○レンジャーとかキメ台詞を言ってみたいもんだぜ。


 ダンジョンの中とか魔素の濃い所で多くの魔物は発生するから、人里などの魔素の薄い所では魔物の心配はそれほどしなくても良いだろう。出るとしてもスライムとかホーンラビットとかの弱い魔物だろう。そう言うわけでオレも鑑定での索敵を一時的に止めて楽しむことにした。だってMPを使わないと言え鑑定は結構疲れるんだぜ。脳みそをフル回転して使っているようなものだからね。オレだってたまには頭のスイッチを切ってぼーとしたいんだぜ。


 川は清流と言う表現がぴったりのきれいな水だった。工場も大都市も無いこの世界では当たり前と言えば当たり前なんだけどね。底まできれいに見渡せ泳いでいるたくさんの魚が見えた。魚を見ると獲りたくなるのが人情ってもんだろう。


「ねえみんな!このいっぱい泳いでる魚を獲ってみたいとは思わない?」


 泳ぎまくって冷えた体を川原で日光で温めていたみんなにオレは提案した。


「魚釣り?良いね。」


「そうね。ただ泳いでいるだけじゃつまらないもんね。」


 オレの両わきで寝そべっていたリオとサオリが乗ってきた。


「よし!じゃあ魚獲り勝負をしよう。」


 そう言ってオレはアイテムボックスから取り出したヤスをみんなに渡した。この世界でもあった生ゴムを柄に着けて水中で発射できるようにした優れもんだぜ。もちろんオレのアイデアで職人さんが作ってくれた物だけどね。


「こうやってゴムを伸ばして柄をつかむんだ。手を離すとゴムが縮んでヤスが勢いよく飛ぶだろ。」


 オレはヤスの使い方をみんなに教えてやった。


「ふーん。これなら獲れそうね。」


 リオ達異世界人もヤスの威力に納得したみたいだった。


「そう言うコメリちゃんはヤスを使わないでそんな針金一本で獲るの?」


「ああオレはこれ一本で良いよ。」


 さすがはサオリ目ざとい。オレがヤスを取らないで針金を選んだことを見逃さなかった。


「あんた。魔法で獲ろうとしているね?魔法は禁止でしょ?」


「も、もちろんさ。」


 やばい。バレてる。素人がヤスで突いて簡単に獲れるほど野生の魚は甘くない。だから針金の先から電流を流して獲ってやろうと思ってたのに。


「じゃあこれから10分で魚をどれだけ多く獲るか勝負な。ただし魔法は禁止ね。1位の人には臨時ボーナスを出そう。だからみんな頑張って。それから・・・・」


「オッケー!」


 ボーナスと言う言葉にいち早く反応したリオが真っ先に川に飛び込むと釣られてみんなが後を追った。オレは一人川原に取り残された。まだ話の途中なのに。




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