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第306話 南の島へ

 



 イサキちゃん2号との戦いから一か月もしないうちにオレはイサキちゃん2号を軽く凌ぐ実力を得られるようになった。これはオレが修行をして強くなったのもあるが、それ以上にオレのマスターであるアメリ2号の式神の術の精度が上がった事による事が大きい。オレの姿もオーク以下の化け物から本来の美少女の姿に近づきつつある。それでも2号といる時はヴェールをかぶっているけどね。だって同じ顔が二人いるといろいろとめんどくさいじゃん。だからオレは謎の覆面剣士のままだって事だ。まあさすがのオレでもいつも式神の姿でいるわけじゃないけどね。オレの別人格であるアメリ2号が表に出たがった時だけ、オレは引っ込んで式神になるってわけさ。だからほとんどの日はオレは生身の体でいるんだよ。式神の体だと飯食ってもまずいからね。それである日、市場で買ってきた果物をかじりながらオレは思ったんだ。その果物は地球で言う所のスイカなんだけど、南に行けばこの高価で貴重なトロピカルフルーツを喰い放題なんじゃないかと。


 それにはまずサオリを引き入れないとな。


「サオリ。この黒メロン、美味いよな?」


「うん。美味い。地球で食べたスイカを思い出すよね。」


 オレの向かいで食べていたサオリは種を吐き出しながら答えた。


「これは今朝市場で買ってきたんだけど、南の島からはるばる運ばれてきた物でけっこう高かったんだ。なんせ輸送費がかかっているからね。これを南の島で買えばすごく安く手に入ると思わない?」


「え!また、あんたは思い付きで。今度は南の島に行くのね?」


「さすがはサオリ。察しが良い。南の島でこの貴重なトロピカルスイーツを大量に仕入れて王都で大儲けしようぜ。」


「何々?今度は南の島に行くの?今度こそ私を連れて行きなさいよ。」


 横で黒メロンを食べていたリオがオレ達の話に食いついてきた。しかたないな。まあ早いもん勝ちと言う所でリオを連れて行くか。となるとあと一人誰か連れて行きたいんだが。リオの横で食べていたアーリンが無言で凄い顔で睨んできた。


「わ、わかったよ。アーリン。お前も連れて行くよ。」


「やったー!」


 アーリンは立ち上がってガッツポーズをしていた。


「そんなに行きたいの?辛い旅になるかもしれないのに。」


「私も冒険者の端くれですからね。冒険の旅に出たいですよ。」


 やれやれアーリンも物好きな事。現代日本での豊かで便利な生活を知っているオレとしては、アーリンの立場なら今でさえ十分に不便なのにこれ以上不便な思いをしてまでわざわざ旅に出たいとは思わないけどね。なんせサオリが帰ってきたらワープ一発でそこに行けるんだから。


「よし!そんなに行きたいならアーリン、オレを手伝え。今から南に行く定期便を調べに行くぞ。」


「は、はい。」


 休みの日に使うのは悪いとは思ったけど、やる気満々のアーリンなら文句も言うまい。二人で馬車の停車場に調べに行ったら、さすがに大陸の南端まで直通で行く便はなかったが乗り換えを二回すれば南の端の町ケープまで行ける事がわかった。目的地の南の島ストーン島へはケープから船で行けるらしい。計一週間に及ぶ一大旅行であった。黒メロンが高いわけだ。オレ達は自家用の馬2頭と馬車を持ってはいるが、長距離な事、片道だけで良いため帰りの馬車の扱いに困る事を考え今回はやめた。


 さすがに昨日の今日で出発と言うわけにもいかないから、出発は一週間後とした。みんなに言ったところ、案の定自分も連れて行けだの、勝手すぎるだのうるさかったが無視した。美少女戦隊のリーダーはこのオレ様だ。文句は言わせないぜ。



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