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第296話 オークの村を壊滅せよ

 



 私はアーリン。美少女戦隊一の魔法の使い手にして一番の美少女よ。なんか男女アメリが最近変だと思っていたら本当に変になったらしい。いや、前が変だったからまともに戻ったのかしら(笑)。黒髪サオリの話だと、多重人格と言って男女アメリは二つの人格を持っているとの事だ。今までの男らしいアメリから今の女々しいアメリに人格交代したらしい。脳筋リオとかが前のアメリを出せとか言ってたけど、私は今のアメリも好きだから今のアメリでも良いと思うわ。でもさすがに今のアメリでは海千山千の軍団の美少女戦隊をまとめるリーダーは務まらないわね。そこで私の出番よ。私が女々(アメリ)を鍛えてやろうじゃないの。なんせ男女アメリには以前ずいぶんとかわいがってもらったからね。お返しをしないとね。


 そう言うわけで私達は今オークの集落に来ているんだ。なぜって?女女アメリがオークが苦手で逃げ回っているって聞いたからよ。かって私が幽霊が苦手だった頃、男女アメリは私を幽霊マームエイハブの住処である幽霊船に住まわせてくれたからね。おかげで幽霊や亡霊などの霊的な魔物への苦手意識は克服できたわ。男女アメリには感謝しているわ。でも同時に恨みもあるのよ。正直な話。ほんのちょっとだけどね。いつか返してやろうと思ってたんだ。チャンス到来よ。楽しみだわ。


 メンバーはアーリン女女アメリ傲慢娘イサキ幽霊娘クロエ魔物娘ジュンの5人だ。ハッキリ言って私と傲慢娘イサキ以外は役立たずのポンコツだわ。オークの集落殲滅なんて簡単なクエストなんだけどね。本来は。でもメンバーが悪いから気は抜けないわ。女女アメリを鍛える余計な仕事もあるしね。


「ねえ、今日はもう止めにしない。わたしもう歩き疲れちゃった。」


 さっそく女女アメリが泣き言を言い出したわ。


「何言ってんの。2号ちゃん。疲れたんじゃなくて恐くなったんでしょ。頑張れ。」


 傲慢娘イサキが2アメリを励ました。本来は今のアメリの方が1号らしいけど、私達にとっては消えたアメリの方が1号だから傲慢娘イサキは現アメリの事を2号と呼んでいた。私もめんどくさいから以後2号と呼ぶわ。


「いや。アメリさんの言う通りこの辺りにベースキャンプを張って体を休めて夜襲に備えましょうよ。あまり近づくとオークに気付かれますし。」


 私達はかってオークの集落を潰した事がある。その時の経験から言ってもその時の集落程大規模でないにせよ、集落を潰すのには夜襲は有効だ。


「まあ、アーリンもそう言うならここで休むか。クロエ、ジュン、休むよ。」


「「おう!」」


 待ってましたとばかりに2アメリがキャンプ道具をアイテムボックスから出して広げていった。2号も基本的に1号と同じ能力を持っているらしい。そのことを考えても2号で良いんじゃないかと思うんだ。1号もまめに私達の世話をしてくれたけど、2号はそれ以上に気配りができる。さすがは女の子ってとこかしら。私は2号の淹れてくれた冷たいお茶を飲みながらそう思った。


「それで作戦だけどどうする?ここはやっぱりリーダーである2号に考えてもらおうか。」


「私もそれが良いと思います。前のオークの集落潰しの時はアメリさんが見事な作戦を考えてくれたおかげであんな大きな集落を簡単につぶせましたからね。」


 傲慢娘イサキと私は2アメリに作戦を考えてくれるように促した。


「ご、ごめん。わからないの。どうやったかも覚えてないの。」


「使えねえ。」


 傲慢娘イサキがバッサリと切り捨てると2アメリはもう泣き顔だった。


「ちょっとイサキさん。最初からは無理ですよ。私達がフォローしてあげないと。」


「・・・アーリン。」


 2アメリがすがるような顔で私を見つめてきた。しかたないなあ、私がフォローしてあげよう。


「この中で1号さんの作戦を知っているのは私だけみたいだから私が2号さんに代わって説明しますね。」


 私はかって1アメリの考えた作戦をみんなの前で披露した。


「さすがは1号だ。完璧な作戦じゃないか。」


「火責めにするとは思いつきもしなかったわ。」


 傲慢娘イサキ幽霊娘クロエもベタ褒めであった。


「わざと逃げ口を作っておいて焼け死ななくて逃げ惑う奴らをそこで待ち伏せて斬り払ったのよ。しかも燃え盛る火の強い光を見て夜目が効かなくなった奴らを暗闇で待ち伏せてね。」


 みんなが褒めるので説明する私も力が入った。


「ふーん。じゃあ今回もその1号の立てた作戦で行くか。」


「それがイサキさん、前回はどこでも瞬間移動できるサオリさんがいましたからね。今回はその作戦で行くにしても大幅な修正を加えないと。」


「そっかー。じゃあサオリの役は私がやろう。2号も空に浮くぐらいはできるよね?」


「う、うん。できるよ。」


 自信なげに答えたが2号は基本的に能力を1号から引き継いでいるみたいだった。


「決まりね。斥候役はイサキちゃん2号とアメリちゃん2号に。」


 おいおい偉そうな事を言って自分は影武者のイサキちゃん2号を使うのかよ、傲慢娘イサキは。まあ斥候は一番危険な役割だから式神を使いたくなるのもわかるけど。


 こうして私と傲慢娘イサキで作戦をどんどん考えて行った。ほとんど1アメリの考えた作戦に修正を加えただけなんだけどね。



 *



「「ただいま。」」


 斥候役のイサキちゃん2号とアメリちゃん2号が帰って来た。


「どうでした?」


「そうね。総数20匹ぐらいかしら。中程度のオークの集落と言った所ね。」


「ふん。そんな物、私なら一人で十分ね。」


 イサキちゃん2号の報告を受けて本体の傲慢娘イサキがいきって言った。


「一人なら十分ってどうせまた2号ちゃんに行かせるんでしょ?高みの見物ばかりしてないで自分自身でリスクを取りながら挑戦しなさいよ。」


 あ、2アメリったら斥候係の緊張が解けて興奮しているのか思っていても言ってはいけない事を言っちゃった。


「なにーい。イサキちゃん2号に行かせている私が臆病者だと言うのか?」


「誰も臆病者だとは言ってないわ。自分でも汗を流しなさいと言っているのよ。それとも臆病者だと言う自覚があるからそんな事言うのかしら。」


 あらあらどっちが臆病者か分からないけど、この2アメリは人を挑発するのがうまいわね。傲慢娘イサキったらもう刀の柄に手を掛けているわ。これ以上言ったら2アメリが危ないわ。


「ちょ、ちょおっと待ってください。今仲間割れしている場合じゃないでしょ。そしたらアメリさんとイサキさん自身の二人で攻撃したら良いんじゃないでしょうか?そうですよね?クロエさん。ジュンさん。」


「うん。私もジュンも自由に空を飛べるわけじゃないので地上で待ち伏せするしかないから空を飛べる二人に攻撃を任すので良いと思うわ。」


 幽霊娘クロエの意見に魔物娘ジュンも大きくうなずいた。私達下っ端3人に言われたら従わざるを得ない。


「わかったよ。イサキちゃん2号は戻すわ。私自身が敵陣に乗り込むわよ。それで良いわね。アメリ。」


「おう!」


 あれ?気のせいか傲慢娘イサキの顔が青ざめているわ。もしかして傲慢娘イサキも怖いんじゃない。そう言えばやばい場面はいつも代わりの式神(2ごうちゃん)使っていたよね。この人。


 ********************************



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