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第293話 告白タイム

 



「みんな!意中の人は決めたかな?フリータイム終了だぜ!話し足りなかったらカップルになって好きなだけ話してくれ!いよいよ告白タイムの始まりだぜ!」


 MCに戻ったオレはみんなに言った。


 告白タイムだと言っているのにみんな尻ごもりして動き出そうとはしなかった。仕方ないなあ。やはりオレが先陣を切らないといけないか。


「ん?誰も行かないのか?じゃあオレから行くよ。」


 そう宣言したオレはアーサーのテーブルに向かおうとした。アーサーのテーブルに近づいた時に、


「ちょっと・・・・」


 予想通りサオリが待ったをかけようとした。オレはその声を無視してアーサーのテーブルを素通りした。


「あ、汚い!」


「汚くなんかないぞ。オレはまだ誰にも告白していないぞ。だから今のはおとがめなし。」


 今のフェイントでサオリの狙いはわかった。あぶねえ。サオリと男で争って勝てる気はしない。元々アーサーにはそんなにときめいてはいなかったし、良かった。良かった。


 そして本当の狙いであるレトのテーブルに向かった。


 あれ?ジュンが動かないな。オレに遠慮しているのか。それともシステムをよく理解してないのか。後者の可能性の方が高いな。


「おーい!ジュンさん!このままだとレトさんが盗られちゃうよ!」


 オレはご親切にライバルであるジュンの尻を叩いた。


「あ、ちょ、ちょっと待った!」


 オレに促されてやっとジュンが出てきた。面白いこうでなくっちゃ。複数の女で一人の男を取り合う醜い争い。これこそお見合い大作戦の醍醐味だぜ。


「さ、盛り上がってきましたよ!もて男レトのテーブルには二人の女が来た!はたしてレトはどっちを選ぶのか?それともどっちも選ばないのか?どうなってしまう!」


 オレはMCの役割も忘れてないぜ。自分で自分を実況中継するのはそうとうはずかしいけどね。


「さあ、まずはオレ、アメリの告白だ。前に冒険者ギルドで何度か見かけていた時から気になっていました。それが今日お話しして恋に変わりました。よかったら仲良くしてください。」


 そう言ってオレは花束をレトの前に差し出した。もちろん他の女どもにも花束は事前に渡してある。


「あまりお話できませんでしたけど、良かったらお友達になってください。」


 オレに促されてジュンも告白した。ジュンも見た目だけなら黒目黒髪のこの世界の男達の好みのど真ん中だ。ちょっとやばいかも。


 二人の女に突然告白されてレトはしどろもどろになっていた。


 さあ、早くオレの花束を受け取るんだ。迷ってんのか?迷う事なんてないだろう。美少女戦隊一の美少女であるこのオレ様が告白したんだぜ。


 迷うだけ迷ったんだろう。しばらくしてレトはジュンの花束の方を受け取った。


 え!え?オレじゃないの。自信満々だったオレはあまりのショックにその場にへたりこんでしまった。


 他のみんなもあっけに取られてシーンとしていた。ま、まずい。場がしらける。気力をふりしぼって立ち上がるとオレは後をサオリに任せる事にした。


「サ、サオリ。司会は任せた。うわーん!」


 そう言うなりオレは店の外に向かって走り出した。恥ずかしい。もうこの場にはいられない。




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