第290話 合コン
「え!今日は家に帰らないって?」
「ごめんね。サオリ。わざわざ王都から来てもらったのに。」
オレは待ち合わせの場所である冒険者ギルドに迎えに来ていたサオリとリオに謝罪した。王都から迎えに来たと言ってもワープで飛んで来ただけであるが。
「何で?」
当然理由を聞いてくるよね。
「あー。ちょっと野暮用ができてな。」
オレが返事を濁そうとすると、
「合コンに行くんですよ。」
ば、ばか。ジュンめ。余計な事を言いやがった。
「ジュン。今、合コンって言った?わたしの聞き間違いじゃないよね?」
「は、はい。確かに言いました。」
案の定合コンと言う言葉に過剰に反応したサオリがジュンに詰め寄った。
「ちょっとアメリ。どういう事か説明してもらおうじゃないの。」
今度はオレに詰め寄って来たか。オレは仕方なしに合コンを開くことになった経緯を話した。
「ちょっとリオさん。わたしらがダンジョンで命がけで戦っている時にこいつらは男と仲良くなって、その上さらに合コンまで開こうとしているのよ。どう思います?」
「あ、オレ達もダンジョンで命がけで戦っていたよ。」
「シャラップ。わたしはリオに聞いているのよ。」
サオリにぴしゃりと言われた。こえー。
「あー。合コンって何かよくわからないけど要するに若い男とお酒を飲んで仲良くなるんでしょ?これは私達も参加するしかないよね。」
やっぱりリオは参加すると言い出した。
「あのう。そうすると女6人男4人になって女が二人余る事になるんですけど。」
「そんな事言うんだったらアメリ。あんた留守番してなさいよ。」
「一応オレが主催者って事になってるんですけど。」
「あのう。私には一応マスターがいますから男性はちょっと。私が留守番しましょうか。」
サオリに詰められてオレが困っているとジュンがおずおずと手を上げた。そうだよね。浮気はいかんよね。あと一人、クロエにもなんか上手い事言って留守番させようと思っていたら、
「別に良いんじゃない。全員参加で。」
リオさんがとんでもない、いや画期的な事をおっしゃった。合コンってまあ人数が合わない事もあるかもしれないけど、そうしたら少ない男を取り合う女のバトルになるじゃないの。普通は女って男に選んでもらえるものじゃないの。でもこれはこれで面白いかも。
「そ、そうだね。人数が多いほど盛り上がるかも。全員参加で行くか。」
「そうこなくっちゃ。じゃあみんな王都の家に帰るよ。」
「え!サオリさん。今晩は合コンがあるから帰らないってさっき言ったけど。」
「何言ってんの。アメリ。あんたその恰好で合コンするの?まあライバルが減るのはうれしいけど。合コンはオシャレして望まないでどうするのよ。」
サオリの言う通りオレ達の格好はダンジョンで着ていた動きやすさと丈夫さを重視した服装だ。顔を見なければ男と思われても仕方ない恰好だった。その上返り血や汗や埃でちょっと臭いかも。お風呂にも入りたいなあ。
「よし!なら一旦王都に帰って身支度したらオレの部屋に集合な!みんなおしゃれして来いよ!」
「「「「「おう!」」」」」
そう言うわけでオレ達は来たる戦い(合コン)に備えて王都の拠点に戻る事になった。
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